乂阿戦記3 第三章 黄衣の戦女神 峰場アテナの歌-14 三すくみの激闘
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一方その頃、メティムたちは――
突如上空に現れた、かつて見たこともないほどの巨大な敵を前に、さすがに動揺を隠せずにいた。
無理もない。その異様な威容は、理性を凍らせるに足る“災厄の前触れ”だった。
しかしメンバーの内、ギルトンだけはワクワクしている様子があった。
何故なら強敵が現れたからだ!
こいつらは絶対に強いと本能で感じていたのである。
それからしばらくして戦いが始まった!
まず最初に仕掛けたのは怪獣メフィスト・フェレスの方だった。
彼はエトナ火山の火口に飛び込もうとするケイオステュポーンを後ろから這い締めにすると、上に引っ張り上げようと力を込めた。
「女神メティムよ!巨竜王様の肉体を再びエトナ火山に封印させたりなどさせんぞ!!」
叫び声と同時に、その巨体が突如として掻き消えた――
次の瞬間、残されたのは蠢くような黒い霧だけ――肉体は霧と化し、姿なき怪物と化していた。
つまり今の状態では物理攻撃は一切当たらないという事である。
恐らくこの状態こそが彼の作戦なのだろう。
そしてそのまま黒霧と化したメフィスト・フェレスによって、ケイオステュポーンは火口の上に上昇していったのだ!
ズドォーン!!という轟音と共に土煙が舞い上がる。
スパルタクス、デウスカエサル、アング・アルテマレーザー――
三つ巴の戦いで、まず最初に動いたのはスパルタクスだった。
彼は空中高く飛び上がり氷の槍を構えると、一気に急降下して行った!
「神をも滅ぼす、神殺しの槍を受けよ!! 聖約・運命の神槍!!!」
そして地面に衝突する寸前で体勢を変え、強烈な一撃を叩き込んだのだ!
スパルタクスの放った必殺技は凄まじい威力を発揮して、デウスカエサルを吹き飛ばしたのだ!
「ぐおああああああ!」
さらにそこから追撃を仕掛けようとした時だった。
地を揺るがす轟音と共に、地中から巨大な影がせり上がった――まさに神殿をも薙ぎ払う“雷の巨神”。
「調子に乗るなよスパルタクス〜〜!」
それはデウスカエサルの分身である天空神機Z-ゼウス。
紛れもなくオリンポスの中でも最強級の強さを誇る機械神であった。
デウスカエサルの分身Z-ゼウスは大きな雷の棍棒を振り回して暴れ回ると、近くの石柱を次々と薙ぎ倒しながらスパルタクスに襲いかかっていった。
Z-ゼウスは恐るべきパワーを秘めており、雷霆の一撃で天空を揺らしたかと思うと、次の瞬間には粉々に粉砕してしまう程の破壊力を有していたのだ!
しかもそれだけでなく、伸縮自在の腕でスパルタクスを捕らえると空の彼方まで放り投げてしまったのである!!
「ぐわぁあああ!!!」
絶叫を上げながら吹き飛ばされていくスパルタクスだったが、空中で姿勢を整えオリンポス要塞の上層階への着地に成功したのだった。
そこに今度は上空から大量の隕石が降り注いできたのである!
それも一つ二つではなく、数百にも及ぶ大岩の群れが次々とスパルタクスを襲った。
「アルティメット〜メテオヴォールズゥ〜!!」
それはアング・アルテマレーザーが放った攻撃だった。
彼はスパルタクス、デウスカエサルをもろともに仕留めるつもりでいるらしい。
「チイイイイ!」
「むう!なんの!!」
だがデウスカエサルもスパルタクスも、その全てを拳で打ち砕くことに成功したのだった。
しかしその直後、突然デウスカエサルの背後から何かが飛び出してきたのだ!
それは錐揉み状に回転しながら突っ込んでくる戦王アングだった。
「アルティミットクラッシャアアータアアックル!!」
アングは猛烈な勢いで拳を叩きつけると同時に、回転エネルギーで巨大な竜巻をも発生させたのである!
それによってオリンポス要塞全体が大きく揺れ動き、崩壊を始めたのだ!!
「おのれええええ!!!俺の美しい宮殿をよくも壊してくれたなあああ!!!」
激昂したデウスカエサルは即座に雷霆の衝撃波をアングに放ち、瓦礫を巻き上げながら攻撃を仕掛けた。
が、なんとその全てが躱されてしまったばかりか、いつの間にか背後に回り込まれていたのだ!
「雷霆なんぞ使ってんじゃねええええ!!」
咄嗟に振り返ると同時に蹴りを放つことで迎撃を試みたが、相手はまるで幽霊のようにすり抜けてしまったのだ!
「どこを見ている!?」
そして一瞬のうちに背後を取られてしまい、そのまま激しい猛攻を浴びせられてしまった。
「デウスカエサル〜貴様の死に場所は…ここだ!ここだ!ここだ!ここだああぁぁぁぁっ!!!」
「チイイイイ!!」
デウスカエサルの分身Zゼウスが即座に防御にまわり攻撃を防いだが、Zゼウスの両腕はボロボロに破壊され、暫く運用不能の状態になった。
「機械神に頼るかザコが〜〜!」
「下郎があああああ!よくもこのオリンポス主神に対し舐めた口を〜〜〜!!」
デウスカエサルは激怒した。
全世界の偉大なる主神であるこの自分が、必ずやかの邪智暴虐なる敵を除かねばならぬと決意していた。
「フハハハハハハハ!! どうしたぁ!動きが鈍って来たぞぉ!!」
アングの攻撃は更に激しさを増した。
もはや誰にも止めることはできぬと思われたが、突如巨大な氷の機械神が飛来してきた。
「うおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」
それはなんとスパルタクスが招来した封獣モビーディックラーケンだったのだ!
モビーディックラーケンの氷の攻撃は強烈で、アングもデウスカエサルもたまらず防御に専念するほどだった。
スパルタクスもアングとデウスカエサルをまとめて仕留めようと、全開の力を出していたのだ。
そんな時だった。
三者の前に突如として、何者かが現れたのだ!
そいつは全身に漆黒の仮面と鎧を纏った剣士だった!
その姿を見た時、その場にいた全員が驚愕のあまり声を発することができなかった。
それも当然であろう!
なぜなら目の前に現れたのは、かつて黒き刻の魔女ルキユに仕えた幻の剣豪……
龍麗国伝説のアメンオサ“暗黒天馬”その人だったからだ!!
「おーっとっとっと〜お三人がた〜、俺のことは気にしないで殺し合いを続けてくれえ。俺はあんた達の戦いで地球が滅んでしまわないよう破壊の力を中和したいだけだ。あんたらの死合いに口は出さねえよ。さ、さ、さ、存分に殺し合っておくんなさんな。共倒れになってくれれば、なお都合がいい……ふふ、なぁに、俺にも“ちょっとした目的”があるだけさ。
たとえば――この星そのものの命運、とかね。」
「っ!!」
デウスカエサルは怒り狂った。
だが目の前の敵に集中しなければならないのも事実であった。
(なんだこいつは!いきなり現れて何をふざけたことを!!)
デウスカエサルは苛立ちながらも冷静さを失わず、戦局を分析しようとした。
いや、デウスカエサルだけではない。
アング・アルテマレーザーもスパルタクスも、今は冷静に――
どう戦局を自分に有利に動かすか、慎重に考えることにした。
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