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乂阿戦記3  第三章 黄衣の戦女神 峰場アテナの歌-13 同門対決!スパルタクスvsデウスカエサル


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氷の騎士――スパルタクスは、迫り来る雷撃をものともせず、大剣を高々と掲げた。

一閃。

大気を裂いた氷刃が雷を一瞬で霧散させ、間合いを詰める影は既に目前――


次の瞬間――氷刃が閃いた。

デウスカエサルの懐を斬り上げるその一撃は、容赦なき“先制の牙”だった。

「ぬおっ!?」

不意を突かれたデウスカエサルは思わずのけぞる。

そして次の瞬間、彼の胸元から血が噴き出した。

さらに間髪を入れず、別の方向から飛来してきた氷の矢が顔面に襲いかかる。

たまらず後ずさりするデウスカエサルに対し騎士は次々と襲いかかる。

両手持ちの剣を振るい斬撃を加え、同時に左右から挟み込むようにして氷のブーメランを放つと、それを防ごうとしたデウスカエサルの両腕に無数の切り傷が生まれた。

「ぬうう!スパルタクス!!」

そう! その氷の騎士こそはスパルタクス!

氷の封獣モビーディックラーケンを使うドアダ最強の男

「覚悟せよ雷帝!!」

「おのれぇえええ!!」

怒り狂った雷帝の放つ雷撃が辺り一面に降り注ぐ。

だが、スパルタクスは動じることなく巨大な絶縁体の氷の盾を作り出しやり過ごすと再び反撃に転じた。


スパルタクスの全身を包むのは、戦場の吹雪が鍛え上げた氷鉄の鎧。

並の攻撃では傷ひとつつかず、彼の体はまさに“冬の砦”と化していた。

手にした氷槍は、刺した瞬間に敵を凍結させる“絶対零度の裁き”。それは聖騎士にのみ許された、冷たき正義の象徴だった。


この男は武器術においても卓越した腕前を持っており、まさに無敵とも言える存在なのだ。

「ぐおおおお!!こしゃくなあああ!!」


――焦り。だがそれは凡百の兵が見せる狼狽ではない。

威光を纏い、王座に君臨する者にだけ許された“絶対”が――今まさに崩れ去ろうとしていた。

それは帝王にとって“敗北”以上の屈辱。

デウスカエサルの双眸が、ひときわ強く震える。


玉座とは力が座す場所。支配とは、絶対の象徴。

その象徴を打ち砕かれかけている現実に、雷帝の双眸が震える。

それはまさに、孤高の帝王が味わう“断罪の瞬間”――


誇り高き“雷帝”が、今やただの暴風と化して暴れ狂っていた。


「……く!」

激しい雷撃の出力にスパルタクスもダメージを受ける。


「――神聖天空拳奥義・零下一閃ッ!!」

スパルタクスの体から爆ぜる冷気が、地面すら凍てつかせた。

一閃、鋭く唸る氷の刃――

デウスカエサルの肩口に斜めの裂傷が走り、血飛沫が白い霧とともに舞い散る。

その直後、雷が炸裂する。だが彼は微動だにせず、次の構えに入っていた。


「なに!?くっ、舐めるなあぁああ!!」

デウスカエサルは両腕を大きく広げると、そこに凄まじい量の魔力を集中させ始めた。

それは圧縮され今にも爆発しそうな勢いである。

(まずいわね……スパルタクスさんでもあれはさすがに受けきれないかも……)

焦るメティム

「喰らえぇええええええ!!!!」

そして次の瞬間、氷の剣撃と雷霆の爆撃がぶつかり合い、凄まじい閃光とともに大爆発が起こったのだった。

威力はわずかに雷霆が勝っていた。

だがしかし、爆煙が晴れるとそこには体を黒焦げに焼かれつつも仁王立ちしているスパルタクスの姿があった。

「バカな!?」

「ふんっ!」

驚愕するデウスカエサルをよそに今度は彼が攻撃をしかける番だった。

彼は瞬時に間合いを詰めると目にも止まらぬ速さで剣を振り抜いた。

「ぐっ!!」

とっさにガードしたものの、あまりの衝撃に腕が痺れてしまうほどだった。

そのまま吹き飛ばされそうになるところをなんとか踏みとどまり体勢を立て直すことに成功するものの、すでに目の前には次の一撃が迫っていたのである。

「遅い!」

「おのれ!舐めるなぁあああ!!」

デウスカエサルは咄嗟に右手を突き出し電磁バリアを展開することで何とか直撃を免れることができたのだが、その衝撃で後ろに吹き飛ばされてしまった。

「おりゃああああ!」

スパルタクスはさらに追撃を仕掛けるべく距離を詰めにかかる。

対するデウスカエサルも負けじと応戦する

双方の戦闘力は、ほぼ互角といったところだ。

「調子に乗るなよスパルタクス!!」

デウスカエサルは激昂すると全身に魔力を漲らせていく。

「ぬおおおおお!!!」

雷帝と呼ばれた男の体から眩いばかりの光が放たれる。


アレスとギルトンは両雄の破壊の余波からメティムとプリズナを守る為、必死になって中和の結界を張っている。

「ひゃああ!やっぱあの2人もすげえなぁ!阿門が抜けてるからオラとアレスだけで破壊の余波を防がなくちゃならねぇのはキツイだ!」

ギルトンが嘆く。

「メティム!今のうちにケイオステュポーンに命令を!巨竜王の肉体に自殺消滅するよう命令を出すんだ!」

アレスが叫ぶ。

「わ、わかったわ!!巨竜よ、この星の核へと還れ!!」

メティムが命じると、ケイオステュポーンはゆっくりとオリンポス空中要塞から離れエトナ火山の火口に下降し始めた。

ところがその時、巨大な影が上空を覆った。

見上げると、そこには全長60メートルの異様な姿をした物体が浮遊していた。

その姿は一言で表すならば悪魔というのが相応しいだろう。

背中からは蝙蝠のような翼が生えており、頭部からは山羊のような角が生えている。

肌の色は紫色をしており目は赤く光り輝いている。

さらに背中には大きな黒い羽根が生えていた。

そしてその手には禍々しい形をした槍が握られている。

そんな異形の存在が今ケイオステュポーンに向かってゆっくりと降下しつつあるのだ。

「なにあれ〜!?」メティムは思わず叫んでしまった。

「我、巨竜王が腹心メフィスト・フェレスの名において命ずる!ギガス・オブ・ガイアの同胞達よ、今こそ巨竜王様の下に集え!」

突如として空から現れた謎の巨大生物が呪文を唱えると、それによって大地が大きく揺れ動いた。

そして、轟音とともに地面に着地をすると、すぐさま近くにいた人々に対してナニカを仕掛けたのである。

突然の出来事に人々は混乱状態に陥っていた。


無垢な目をした子供たちが、崩れゆく空と地に声もなく泣き叫んだ。

それは、ただの死ではなかった。世界そのものが“終わる”という、言葉にできぬ絶望が押し寄せていたのだ。


「きゃあああ!」

「逃げろぉおおお!」

「うわあああ!」

あちこちで悲鳴が上がるなか、ついに最悪の事態が起きようとしていた。


大地を割って現れた巨人たちは、まるで悪夢から這い出た亡者のように都市を蹂躙し始めた。

地を踏み鳴らすたびに、家屋は崩れ、人は潰れ、空は断末魔の叫びで満ちていく。

生者と死者の区別が消えゆくなか、世界は静かに地獄へと傾き始めていた。


「なんだ……この、バケモノどもは……ッ!?」

雷帝デウスカエサルの双眸が、一瞬揺れた。


(まさか奴の…巨竜王の仕業か……!?だが巨人を操るエキドナの宝玉は我が手元にあるはず……一体何が起きているというのだ……!)


帝王の威圧は霞み、口元にかすかな焦りが滲む――

だが次の瞬間、赤雷が爆ぜた。

「……フン、巨竜王の残党か。下らん。貴様ら如きが、我を動揺させるとでも?」

冷酷と傲慢を滲ませた笑み。王の威厳は即座に取り戻された。

その時だった。

背後から“気”が殺意をともなって立ち昇る――!


振り向くとそこには一人の軍服の男が立っているではないか。


赤雷が爆ぜたその瞬間――

空気が変わった。戦場に“殺気”とは異なる“怒気”が満ちた。


背後。

地を踏みしめる音とともに、王座すら断ち割るかのような“威圧”が立ちのぼる。


振り向くスパルタクス。デウスカエサルの瞳が見開かれる。


――いた。


軍服に身を包んだ長身の男。

地に仁王立ちしたその姿は、まさに“戦場の審判”。


「ヴルァーハッハッハッハ~~ッ!!

 デウスカエサルゥ……よくも俺の“肉体”を盗ってくれたなァ……!!」

その咆哮は、地獄を這いずり回ってきた鬼の怨念そのものだった。


「あの日から今日まで、貴様への“憎悪”だけで生きてきた……。

 “エキドナハート”ごと、きっちり返してもらうぜェ……雷帝ィ!!」


――その男の名は、怒戦王アング・アルテマレーザー


デウスカエサルの顔が引き攣る。「アング……! 貴様、何故ここに……!?」


次の瞬間、戦場の空気が変わる。


氷の剣が震え、雷の力が唸りをあげ、怒気の奔流が大地を割る。


裁きの雷鳴。氷の審判。そして復讐の巨魂。


神域に、三つ巴の終焉が鳴り響こうとしていた――!!



挿絵(By みてみん)

https://www.facebook.com/reel/337357179356824/?s=fb_shorts_tab&stack_idx=0


↑イメージリール動画

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