表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

191/452

乂阿戦記3  第三章 黄衣の戦女神 峰場アテナの歌-7 戦神"狗鬼マルス"

そう、この歌はアテナの物語。

あの日、狗鬼家を訪れた長老ウィウィヴァはアテナに衝撃の事実を告げた。

なんとアテナはオリンポス主神デウスカエサルとメティムの娘ではない。

彼女の本当の父はデウスカエサルの息子たる先代戦神アーレス

狗鬼ユノの弟にして先代蒼の勇者、エクリプス打倒の功労者狗鬼マルスだった。

挿絵(By みてみん)

マルス…彼は最強勇者ギルトンの最大の宿敵にして、エクリプス大戦で活躍した5組の英雄が一画

アテナは勇者マルスと女神メティムが愛を含んだ末に生まれた祝福されし娘だったのだ。

その事実を知り1番仰天したのはユノだった。

「マ、マルス君の奥さんがメティムさん? 嘘でしょ!? そんなことありえない!!だってあの人ギルトン君のこと大好きじゃん!!」

確かにその通りである。

ギルトンとメティムは長い間色んな所を共に旅した冒険仲間で、アタラとユノはいずれギルトンとメティムが添い遂げることになると勝手に思いこんでいた。

ところがギルトンとメティムは本当にただの友達で、ギルトンには別に好きな女性がいて、メティムはメティムでマルスと結ばれる事になった。

誠に男女の縁とは一筋縄ではいかないものと言える……

「と言うかマルスはギルトンと何度も殺し合った宿命のライバル同士じゃぞ? そりゃ対エクリプス戦では呉越同舟で共闘したりもしたが、ギルトンのパートナーだったメティムを任務で殺しかけたこともあるんじゃぞ?……そんなマルスとメティムが添い遂げたじゃと!?」

アタラも鳩が豆鉄砲を食らったような顔になっていた。

驚く2人をよそにウィウィヴァは話を続けた。

「信じられんかも知れんですが、その通りですじゃ」

「信じられない……だって私の弟マルスはチビなんだよ? メティムさん『私より背の低い人とは絶対お付き合いしなーい』とか言ってたのに……まさかうちのチビ弟と結婚しただなんて……」


「って言うかマルスもマルスで『下品な女め、気に食わん!』とか言ってたんじゃぞ!? それが今や夫婦じゃと!? ……ちょっと待て、うちの弟、いつの間にそんなメロドラマ展開を……」


驚愕するユノとアタラだが話は終わらない。

なんとユノ達が知らぬ間にギルトン、マルス、そして白阿魔王ゼロ・カリオンは共闘を組み、伝説の大魔王ベルゼブルや巨竜王ケイオステュポーン、雷帝デウスカエサルを相手どり共闘を結んだことさえあったと言う。


血で塗られた宿命の三角関係が、世界を守るために交差した――それは、伝説の始まりだった。


「15年前のエクリプス大戦時では三すくみと呼ばれ世界の命運をかけてバチバチに敵対し合ったあの三人が共闘を結ぶなんて……世の中マジわからないものね……」

「ま、まあギルトン殿はありえないくらい底抜けに人懐っこい御仁じゃからのう……アヤツなら『タイマンはったらダチ!』みたいなノリでマルスやカリオンと仲良くなったとしても不思議では無いが……というかマルスやカリオンと死闘を繰り広げてるとき、あやつはいつも楽しそうじゃったな……」

「戦場の戦局変化とはすべからくそういうものですじゃ。自国の利と益に従い、宿敵同士だったものが手を結ぶこともあれば、盟友同志が殺しあったりする。戦国時代にはありふれた事柄ですじゃ」

ウィウィヴァの話を聞きながらユノとアタラが神妙にため息をつく。

ウィウィヴァは話を続けた。


ちょうど6年前の第三次ギガントマキナの時期である。

その時にマルスとメティムは情を交わしたのだと言う。

つまり二人は敵国同士の王族にもかかわらず戦場で愛が芽生え結ばれた。

そういう仲になったということだ。

しかも子供ができて今やその子はマルスの姉であるユノの事実上の養子として迎え入れられている。


……なんという数奇な運命の巡り合わせか!

だがその巡りは、アテナという少女の中で、確かに未来へと受け継がれていた。

英雄たちの決断も、愛も、裏切りさえも――すべては、彼女の歌に宿っている。


「6年前の第三次ギガントマキナの戦いでゴーム王はマルス殿に助けられメティム様との仲をお認めになられたのですじゃ」

そう言ってウィウィヴァが語ってくれたのは壮絶な戦いだった。


6年前……

第3次ギガントマキナ終結直後――

ゴーム王直轄十大長老が一人金剛悪鬼ドルガ率いるメギド軍が、巨竜王腹心メフィスト・フェレス率いる巨人軍を打ち破り勝利をおさめた。

第3次ギガントマキナは幕を閉じたかに見えたのだが、両陣営が疲弊した隙を狙ってオリンポス主神デウスカエサルがゴーム王が所有するエキドナハートを簒奪せんとハイエナの如く攻め行ってきたのである。

エキドナハートは数多の巨人を生み出し操る力を持つ女神ガイアが作った秘宝である。

ケイオステュポーンもこの秘宝で生み出された。

雷帝の自分の息子を囮にした強襲作戦は功を奏し、秘宝エキドナハートはデウスカエサルの手に落ちた。

だが義憤に駆られた二人の勇者がメギド族から奪われた秘宝エキドナハートを取り戻すべく、エトナ火山上空に浮遊しているオリンポス空中要塞に乗り込んで来た。

数多の雑兵を倒し蒼の勇者マルスと赤の勇者ギルトンがオリンポス主神デウスカエサルの元に乗り込んできたのである!



https://www.facebook.com/reel/310192745246899/?s=fb_shorts_tab&stack_idx=0


イメージリール動画

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ