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乂阿戦記2 EXバトル あまりに酷い戦争の結末-2 世界最強覇王vs究極戦闘生物

戦場に残っていた兵達は阿烈の命令で次々と戦艦アルゴー号に乗り込んでる最中だった。

マクンブドゥバが自爆装置を起動したからか、主たるクトゥルフが消滅したからか、ルルイエ遺跡は地響きを上げ、ゆるりと崩壊しようとしていた。

今エクリプス・コアは阿烈が肌身離さず持っている。

おそらく彼がエクリプス・コアを手離したり、部下に預けたりすることはないだろう。

阿烈は、その身を焦がす闘争の予感を噛み締めていた。

真狂王との一騎打ちでも、その闘争心は満たされるどころかますます燃え滾ってくるほどだったからだ。

カオスクトゥルーがエクリプスを狙い襲って来るのは気配からして間違いない。

だが今はそれより気がかりなことが有った、それは―弟妹達のことだ。

(我が弟妹達はさっさと避難させておかんとな……)

そんなことを考えていた時だった。

警戒していたカオスクトゥルーから声がかかって来たのは。

「初めまして、と言うべきかな? 我が前身Dr.ファウストが固執した"武の頂"よ。さて汝を楚項烈と呼ぶべきか、それとも乂阿烈と呼ぶべきか……」

「我が名は乂阿烈! 乂族を束ねる灰燼の覇王! ワシになにか用かね? ファウストの姿を持つ混沌の怪物よ……」と返しながら首をボキボキならして体をほぐす。

「我が名はカオスクトゥルー。新たなる水の四大霊にして灰色の大改獣。Dr.ファウストと呼んでもらっても構わないが、前身の私と区別したいのならカオスクトゥルーと呼ぶがいい……さて、渡す気は無いのだろうが一応尋ねてやる。エクリプスを渡せ……さもなくばエサとして喰らってくれる。」

「フン、カオスクトゥルーよ。わかってるのだろうが答えよう……断る! 我が野望の前に立ちはだかる者はたとえ神とて許さん! 一片の肉片も残さず消し飛ばしてくれるわ!」

阿烈はその身に闘気を漲らせ威圧する。

だが同時に相手も闘気を漲らせ威圧してきた。

まるで大地が唸るかのような迫力だった。

……その圧力だけで並の者なら気絶してしまうだろう。

だが双方はそれを平然と受け流して余裕の笑みさえ浮かべているように見えた。

……そして、阿烈は右の掌に軽く力を込めた。

「ふん」と鼻を鳴らすと、その小さな動作だけで周囲の空気がびりっと震えた。

だがそれは決してプレッシャーによるものではなかった。

むしろ逆だ、単なる気合で空気が軋んだに過ぎないのだ。

(なんという男だ)とカオスクトゥルーは思った(この男こそ我が極上の獲物に相応しい!)そう感じたからだ。


パアアアアアアアアアアアアン!!!


ルルイエ内を轟かす破裂音が鳴る。

お互いが最高のタイミングで繰り出した拳が相殺される!!

凄まじい衝撃と共に体が軋むような感覚を覚えたが二人とも微動だにしない……!!

いや違う!!ただ立っているだけではない、お互いの攻撃の瞬間からその位置は全く動いてない!!!

カオスクトゥルーが無数の触手を伸ばし阿烈を拘束しようとする。

だが、阿烈はそれをあっさりとかわすと逆にその触手を掴んで振り回した。

まるでハンマー投げのように回転しながら振り回され、カオスクトゥルーはたまらず振りほどくと距離を取ろうとした。

しかしそれよりも速く飛びかかった阿烈の拳撃に吹き飛ばされてしまったのである!!

(う……ぐぅっ!?なんという力だ……!!およそひ弱な人間のものとは思えぬ!これが……武の頂と呼ばれる者の力なのか……?)

阿烈の動きはまさに神速の域に達しており、その拳による連撃はまるで見えないレーザービームのように次々とカオスクトゥルーの体を貫いていく。

まるで巨大な竜巻に巻き込まれたかのような衝撃と共にカオスクトゥルーが地面に叩きつけられた。

「調子に乗るなよ人間風情があああ!!」


挿絵(By みてみん)


カオスクトゥルーは怒号とともに周囲の空間が歪み、その歪曲面から凄まじい魔力の奔流が迸った。

「ぬうっ!!なんと、この力は!? 」

混沌と破壊の神を体現するかのようなその力に驚愕する阿烈。

(ちい!獣風情が小癪なああ!!……)そう思った瞬間だった。

一瞬のうちに距離を詰めたカオスクトゥルーの手が振り上がり阿烈を打ち据えた!!

轟音と共に阿烈が吹き飛ぶ!!

「グルアアア!!」と叫びながら地面に叩きつけられバウンドする阿烈。

口から血を吐き出しながらなんとか立ち上がるも、足元はふらついている。

そんな隙だらけの姿を見逃すはずもなくカオスクトゥルーが追撃を仕掛けた!

凄まじい拳圧が巻き起こり砂塵を巻き上げる!!

まともに受けたらいくら超人である阿烈といえどもただでは済まないだろう一撃だ。

だが阿烈はそれを紙一重でかわしカウンターを狙っていた……のだが、それがいけなかった!

かわしたと思った瞬間、右の脇腹から激痛が走ると同時に体が宙に浮くのを感じたのだ。

その痛みの正体はカオスクトゥルーの背面から生えた、恐竜の尾撃によるものだった。

それはまさに超獣と呼ぶにふさわしい一撃であった。

「ぐぬぅ!バカな!!この阿烈がかわしたと思った攻撃に、逆にやられるとは……」

(痛い、痛いぞ! このワシが痛みを感じておるぞ! なんという痛みじゃ……随分前にジャムガとやり合って以来よ!グルフフ、久しく感じていなかった心地よい痛みよ……!!)

と内心興奮しながら体を捻ってカオスクトゥルーの尾撃を右腕でガードすることに成功した。

しかし勢いを殺し切れずそのまま大きく吹き飛ばされる羽目になったのである。それでもなんとか空中で体勢を整え華麗に着地するが脇腹からは真っ赤な血がドクドクと流れ出していたよだ。

「なるほどな、なかなかやるではないか……!だがこれならどうだ!?」

そう思いながらも阿烈は再び大地を蹴り突撃していくのだった━━━!!

戦いは激しさを増す一方で、両者は一歩も譲らず一進一退の攻防を繰り広げていた。

戦艦の窓越しで両雄の闘いを目の当たりにする雷音は驚愕した。

獅鳳、キース、オーム、エドナ、雷華や殺悪隊の面々達も窓にへばりついて最強の頂上決戦を食い入る様に見つめていた。

準武仙級のフィジカルを持つ彼らは、かろうじて両雄の動きを目で追えている。

だが、他の者たちは何が起きているか、何かテレポート合戦が起きているみたいにしか感じ取れない状況だった。

鳳天、狗鬼漢児、レッド、羅漢、羅刹、鮫島鉄心、蛙冥刃、ルシル達など武仙級の達人達は総出で破壊の中和に力を注いでいた。

彼ら全員でなければ阿烈vsカオスクトゥルー激突の余波から戦艦アルゴーを守れないからだ。

いや、むしろそれでも足りないくらいである。

だからタット達は大急ぎで戦艦の発進準備を進めていた。

崩れゆくルルイエ遺跡の中、生存者を乗せ避難出来る船はアルゴー号一隻だけだった。

アルゴー号には投降して来たタイラント兵や深き者族の兵もいる。

戦場の誰もが最強同士の頂上決戦に手出しが出来ない状況だった。

これが武の頂点に座す者同士動きなのか!?

両雄はまるで止まった時間の中を動いているようだった!!!!

両雄の動きは闘いがヒートアップするにつれより高次元の高みに登って行くかの様だった。

もはや雷音達ですら目で追うことすら困難なほど高速で打ち合い、そして離れ、またぶつかり合うといった状態が続いているのだ。

バカアアアアアアアアン!!と雷鳴の様な衝撃音が轟く。

見れば阿烈とカオスクトゥルーが頭突きと頭突きでぶつかり合っていた。

バッと両者の額が割れ血が飛び散る。

同じタイミングで島一つ丸々収まる巨大なルルイエ遺跡が真っ二つに割れた。

阿烈とカオスクトゥルーがぶつかり合った位置から丁度真っ二つに!

ルルイエ遺跡の崩壊が加速度的に早まっていく。

阿烈の拳撃がカオスクトゥルーの顔面を捉え、カオスクトゥルーの蹴りが阿烈に突き刺さる。

同時に後方に吹っ飛ぶ!! 互いに地面に叩きつけられながらもすぐに起き上がり殴り合いを始める。

互いの攻撃は凄まじく、一発でも喰らったら致命傷になりかねない程の威力があった。

「グルルア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!」

「ごるぐがぁあああああああああ!!」

耳をつんざく二極の大咆哮

二人の闘志は全く衰えることは無く、むしろ更に燃え上がっていく。

ー━━━兎に角両雄のその有様と言えばまさに神話の如き光景であった!

その圧倒的なド迫力の闘いは、ついにこの狭間の世界に天変地異を引き起こした。

荒れ狂う暴風雨に雷光、そして吹きすさぶ強風と土砂崩れ。

正に終末そのものを体現しているとすら言える光景が広がっていく!

そんなとんでもない状況の中、それでも二人の対決が止まる事はなかった。



↓イメージリール動画


https://www.facebook.com/reel/778994360791592

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