乂阿戦記1 第三章- 黄金の太陽神セオスアポロと金猪戦車アトラスタイタン-1 異世界に呼ばれし少年
\異世界転移✖️勇者の証✖️世界を救う使命/
目覚めたのは、見知らぬ森。
そこにいたのは、祈るように立つ白き少女――そして、七部族に崩壊の兆し。
少年の物語が、ここから始まる。
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第三章 黄金の太陽神セオスアポロと金猪戦車アトラスタイタン
――目覚めたのは、見知らぬ森だった。
「……ここは……夢の続きか、それとも終わりか」
湿った土と苔の匂い。肌を撫でる冷たい風。
龍獅鳳はゆっくりと身を起こした。
鬱蒼とした木々が天を覆い、その隙間から差し込む陽光が、まるで神の視線のように彼を照らしている。
(……さっきまで、学校の近くにいたはずだろ)
夢か、幻か。
だが、頬を撫でる風も、踏みしめた土の感触も、あまりにも鮮明だった。
「……どうなってんだよ」
ここにいても仕方がない。
獅鳳は人を探して森を歩き始めた。
やがて木々が途切れ、光の差し込む場所へ出る。
そこには一本の巨大な樹が聳え、その根元に古びた祠が佇んでいた。
そして、その前に――少女がいた。
白銀の髪。
透き通るような肌。
宝石のように澄んだ蒼い瞳。
静かに祈りを捧げていた少女が顔を上げ、獅鳳へ微笑みかける。
「こんにちは、龍獅鳳くん」
「……え?」
獅鳳は思わず身構えた。
「なんで俺の名前を知ってる?」
「私はアヤシキと申します」
少女は答える代わりに、静かに告げた。
「ようこそ、《スラル》へ」
「スラル……?」
聞いたこともない名前だった。
「ここはどこなんだ? 俺、学校の近くにいたはずなんだけど」
「ここは地球とは異なる世界です」
「……は?」
あまりに突飛な答えだった。
だが、アヤシキの表情には冗談を言っている様子などない。
「信じられなくても無理はありません。ですが、すぐにわかります。ここが現実なのだと」
その時――。
――ゴォォン……。
森の奥から、巨大な鐘の音が響いた。
アヤシキの表情が変わる。
「獅鳳くん。お願いがあります」
「……お願い?」
「この世界を……救っていただきたいのです」
「はぁ!?」
思わず声を上げた。
「待て待て! 俺はただの中学生だぞ!?」
「いいえ」
アヤシキはまっすぐ獅鳳を見つめる。
「あなたは“翠の勇者”。この世界に選ばれた存在なのです」
「翠の……勇者?」
まるで意味がわからない。
「この世界には、異なる神を信仰する《七つの部族》が存在します。七柱の神々が均衡を保つことで、この世界は成り立っていました」
アヤシキの表情に影が落ちる。
「ですが今、その均衡が崩れ始めています」
「それで……異世界から俺を?」
「はい。あなたの力が、この世界を救う鍵になるのです」
アヤシキが手を差し出した。
だが、獅鳳はすぐには握らなかった。
「……まだ何もわからない」
「はい」
「だから、自分の目でこの世界を見てから決める。それでいいか?」
アヤシキは少し驚き――やがて微笑んだ。
「もちろんです」
*
アヤシキに案内されて辿り着いたのは、巨大な城壁に囲まれた街だった。
石畳を馬車が走り、商人たちが声を張り上げている。
人間だけではない。
獣人、エルフ、魔導士らしき者まで当たり前のように歩いていた。
「……すげぇ。本当に異世界じゃん」
「ようやく信じていただけました?」
「嫌でも信じるって……」
苦笑する獅鳳を、アヤシキは街の一角へ案内した。
そこには巨大な建物があった。
《スラル中央冒険者ギルド・アシュレイ支部》
「ここで、あなたを冒険者として登録します」
「俺が冒険者に?」
「はい。そして、獅鳳くん自身の力を調べます」
ギルドへ入ると、武装した冒険者たちの喧騒が獅鳳を包んだ。
アヤシキはそのまま受付へ向かう。
「彼の冒険者登録をお願いします」
「承知しました。それでは《ステータスカード》を発行します」
受付職員が銀色のカードを取り出した。
「こちらに手をかざしてください」
「こうか?」
獅鳳が手を伸ばした――その瞬間。
――バシュンッ!!
「うわっ!?」
カードから眩い翠の光が噴き上がった。
ギルド中が静まり返る。
「……なんだ、あの光?」
「翠色の魔力……?」
周囲がざわめき始める。
やがて光が収まると、カードの表面に文字が浮かび上がった。
受付職員が目を見開く。
「これは……」
「どうした?」
職員は息を呑み、表示された内容を読み上げた。
【名前】龍 獅鳳
【年齢】11歳
【種族】人族
【クラス】アサシン
【属性】雷
【魔力色】翠
「アサシン……?」
獅鳳が呟く。
その隣で、アヤシキだけが翠色に輝くカードをじっと見つめていた。
まるで――。
この結果を、最初から知っていたかのように。
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