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乂阿戦記2 終章 死せるクトゥルフ、ルルイエの館にて、夢見るままに待ちいたり-5後編 それは少年の顔だった

\超展開✖️熱血変身バトル✖️ギャグ✖️神殺し/


→ ブックマーク&評価、大歓迎です!

「おおお!スゲー!あれが伝説の封獣機ナインテイル!?」

アキンドは巨大ロボが入り混じる戦いを腰を抜かしながら見守っていた。

「ちょっとアキンド、あんた何腰抜かしてんの?なっさけないわね!!」

絵里洲がアキンドの後頭をバチんと叩く。

「いやだってさぁ……あのデカいロボットがドンパチやってんのに、俺たちが出る幕なんてどこにあったりするわけ?」

「あんたそんなんでイサカのキジーツ守り抜けんの?それはこの戦争の結末を左右するキーアイテムなのよ?」

「そ、そうだけどさぁ……」

「もう情けない!私が預かってあげるからそれを渡しなさい!」

「お、おう……」

アキンドは絵里洲にイサカのキジーツを手渡す。

「ちょ、アキンド……あんた一体誰と話てるの?」


「え?」

真っ青な顔でそう尋ねて来たのは、もう一人の絵里洲だった。

その瞬間、アキンドの顔から血の気が引く。

(やっちまったああ!……マジかよ!……最悪だ!……)

イサカのキジーツを受け取った絵里洲がニヤリと邪悪な貌で嗤う。


偽絵里洲の顔が影がかかったように黒く染まり、三つの燃え上がるような目と嗤っているような形の亀裂のような口が浮かび上がる。

「ナ、ナイア!?」

絵里洲が呻く。

偽絵里洲はたちどころに変身を解き、ナイアの姿になった。

「うふふ、どうやら私の正体に気付いたようね。でも残念、もう手遅れよ。イサカのキジーツは今この時をもって私のもの……」

「くっ……」

神羅がナイアへの警戒を怠ったことを悔いる。

「ふふふ、いい気味ね。……そう言えば、他の皆さんには自己紹介がまだだったわね。私はナイアルラトホテップ、愛称はナイア。旧支配者の一人よ」

勝ち誇るナイア

本物の絵里洲は大ポカをやらかしたアキンドの首を締め上げ揺さぶっている。

「どういうことよアキンド!?あんた何あっさりイサカのキジーツ奪われてんの!?それともあんたナイアと組んでたの?ねえ?答えなさいよ!!」

「ぐえぇ、ち、違う〜!敵に変身能力ある奴がいるとか知らなかったんだ〜!お、おれは悪くねえ〜〜!!」

「言い訳は結構。とりあえず死ぬほど反省しろ」

「ひぃいいい、ごめんなさぁあああい!!」

キジーツを奪った後のナイアの行動は早かった。

「にゃる・しゅたん! にゃる・がしゃんな! にゃる・しゅたん! にゃる・がしゃんな!顕現せよ封獣パズスフィンクス!!」

ナイアが懐から紫猿の魔神像を取り出す。

空中に浮遊する大太刀、搥、大楯、狙撃銃を装備した四つの空飛ぶ顔ある腕、二対のニンジャ刀を構える紫の巨神パズスフィンクスが顕現しナイアはそれに乗り込み褐色のイサカの方に向かって飛んで行った。

「させません!」

ナイアの前にルシルが立ちふさがる。

彼女は風の魔法で空を飛んでいた。

「あら? あなたは確か……ルシルちゃんだったかしら?」

「そうです。あなたの相手はこの私がします」

「うふふ、そう。なら……遊んであげる」

ルシルが聖剣ラ・ピュセルを抜き詠唱を唱える。

彼女もまた改獣ラ・ピュセルを機械神として招来しようとしていた。

「To live gives up which person you are, and without having faith, is more regrettable than dying. Than dying while young.Advance bravely. When doing that, everything would work!(あなたが何者であるかを放棄し、信念を持たずに生きることは、死ぬことよりも悲しい。若くして死ぬことよりも。勇敢に進みなさい。そうすれば総てはうまくゆくでしょう!)」

ルシルの呪文に呼応し、ラ・ピュセルが眩い光を放つ。

そして空中に緑光の巨大な魔法陣が浮かぶ。

魔法陣から機械仕掛けの天使が現れた。

挿絵(By みてみん)

「顕現せよ!機械神ラ・ピュセル!!」

ラ・ピュセルが空に舞い上がる。

「旧神に仕える聖女ぶぜいが!外なる神の最上位神たるナイアルラトホテップに立ち塞がるか!機械神パズスフィンクスの餌食にしてくれる!」

「ナイア!アナタがどんな邪神か知りませんが、たとえ相手が誰であろうと立ち向かう!それが私の生き方だ! だからお前にも負けない!私の守りたいものを守るために戦う! 覚悟せよ邪神!」

「いいだろう!ならばまずは貴様からだ!貴様を倒し、その後で他の連中も全員葬ってくれる!!」

「そんなことはさせない!!」


ナイアは、あえて魔法を使わなかった。

かつての戦いで気づいていた――この少女には、強力な“魔法無効の防壁”があることを。

どんな呪文を撃っても、それは剣で斬られ、光で弾かれる。

ゆえに今回は、狙撃銃・大太刀・搥・忍者刀――すべて“物理”で畳みかける。

それが、彼女なりの最適解だった。


ラ・ピュセルに騎乗するルシルの戦法は生身のときと変わらない。

剣と風と聖なる光をもって敵と相対している。


ナイアはパズスフィンクスの狙撃銃を構えて撃ち出す。


「……遅い」


ルシルはその弾丸を剣で切り裂きながら突撃。


空中で交錯する二機の機神。


ラ・ピュセルの剣舞はまるで聖なる舞踏。

対するパズスフィンクスは、混沌と破壊の塊。6本の腕で乱打し、浮遊腕が遠距離支援を重ねてくる。


「邪魔っ!」


パズスフィンクスの大太刀がルシルを斬り払おうとするが――


「――風よ」


その一瞬、ルシルの身体が霞のように消え、後方へ風のように飛翔する。


「そこです!」


ルシルは逆にパズスの背後に回り込み、その背中に一閃を加えた。


「ぐっ……ぉのれ、小娘ッ!!」


傷は浅い――だが、確かに通った。

パズスの背面装甲が局所的に焼け焦げ、浮遊ユニットが一瞬バランスを崩す。

そのわずかな乱れが、戦場の風向きを変えた。


ルシルの戦い方は、一撃離脱の突風戦術――嵐のように現れ、閃光のように消える。


「舐めるなあああああああああ!!」


ナイアが怒りに任せ、黒い球体を生成――だが、それが狙うのは、戦っていない神羅だった。


「なっ……!? 神羅さん!!」


「くっ……間に合わな――!」


その時。


神羅の前に飛び込んできたのは、銀の巨影だった。


巨大な手が、闇の球体を掴み、握り潰す。


「――ふう。間一髪だったな」


それは、封獣機ケルビムべロス

操縦するのは、銀の勇者――羅漢。


「ふう、間一髪だったな……」


「グギャギャギャギャギャギャ!!盛り上がってるじゃねえか!いいねいいねえ!戦はこうでなきゃ面白くねえ!!」

ケルビムべロス後部カプセルで猛烈な魔力を発している羅刹が戦いの歓喜に吠える。


魔力の奔流が爆発する。

ケルビムべロスの背部装甲が展開、獣の咆哮を模した魔導音が空を震わせた。


羅漢と羅刹――

銀の勇者と、狂愛の魔女。

兄妹の魂が、今ひとつに共鳴する。


――勇魔共鳴《狂愛モード》発動


銀の巨神の装甲が深紅に染まり、牙のような装飾が現れる。

背から伸びる尻尾状の尾剣、両腕の鋭刃が、蒼白い稲光を纏う。


「喰らえええぇぇぇっ!!」


咆哮と共に、ケルビムべロスが空を切り裂いた。


最初の標的は――パズスフィンクス。


「う、うそっ!?」


ナイアの悲鳴が響く前に、ケルビムべロスの尾剣がパズスの右肩を貫いた。


「がぁあああああああっっ!!」


六本の腕を振り回して反撃するが――


「効くかよッ!!」


右ストレート一閃。

パズスの腹部装甲が砕け、その巨体が遠方に吹き飛ばされる。


「次ッ!!」


続いて突進したのは――ロード・オブ・ザ・リング。

ロキの指輪王がミサイルポッドと魔法陣を展開し、迎撃に出る。


「邪魔だ、化け物がァァァア!!」


「黙れ、小僧ッ!!」


羅刹の叫びと共に、ケルビムの膝蹴りが炸裂。

指輪王の胸部が陥没し、魔法陣が弾け飛んだ。


「ぐっ……ッ!!」


ロキが唇を噛む間にも、ケルビムは頭突きからのスライド斬撃へと連撃を重ねていく。

血のように赤い魔力がケルビムを包む。


最後の標的は――《イット・ジ・エンド》。


真狂王ジ・エンドの搭乗機である、赤紫の道化機神。

その姿が、ようやく警戒態勢に移る。


「ぬぅ……女ごときが、ここまでの力を――面白いッ!!」


ジ・エンドが死神の大鎌を構える。


「来るがいい! 我が機神、《イット・ジ・エンド》はこの戦場の審判者なり!!」


――だが。


「はァ? 審判? 違うな……」


羅刹の声が、静かに響く。


「アタシたちは審判なんかじゃねえ。地獄そのものだ――!」


ケルビムべロスの全砲門が展開。


雷と炎と風と闇。

四属性の魔力が融合し、災厄の咆哮となって爆発する。


――《乂家四元烈式・封獣砲“ベロス・ディアボロス”》


大地を揺るがす一撃が、三機の機神をまとめて吹き飛ばした。


「ぬうッ!?」

「ぎゃああああああッ!!」

「グググッ……ち、畜生が……ッ!!」


炎上しながら後退するパズス。膝を突く指輪王。

そして、傷こそ浅いが、慎重に距離を取るイット・ジ・エンド。


羅漢が汗をぬぐいながら言う。


「……やれやれ。やっぱり、妹と組むと火力だけは一級品だな」


「グギャギャギャギャ!! これぞ乂家兄妹の愛の力ああああああああああ!!!」


あまりの熱量に、敵味方問わず、誰もが息を呑んだ。


その刹那――戦場の空気が、変わった。


「ッ……ロキが……!」


獅鳳が気づく。


紫の指輪王が、再び魔力を高め始めている。


「……邪魔してんじゃねえぞ化け物ども!……あと少し、あと少しなんだ!!あと少しで彼女は甦る!!!」


ロキの叫びが響く。


「邪魔するなあああああッ!!!!!!」

それは絶叫だった。


神のように見えたロキの仮面が――音を立てて崩れ落ちた。

その叫びは、覇を求める王の威厳ではない。

喪われた少女を渇望する、一人の少年の哀願だった。


ただ一人の少年が、喪われた想い人を取り戻そうと足掻く、痛切な祈りだった。


――だが。


その“執念”が、世界を変えようとしていた。


最強の改獣ロード・オブ・ザ・リングより魔王と呼ぶに相応しい猛烈な魔力が吹き荒れた。


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