乂阿戦記2 終章 死せるクトゥルフ、ルルイエの館にて、夢見るままに待ちいたり-3 大反撃!
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ルシルの活躍はマクンブドゥバの暗黒空間に囚われているフレアとアクアに希望の光をもたらしていた。
「凄い!ルシルさん本当に凄い!」
放心したようにルシルの活躍から目が離せないアクア
「ア、アイツがクラスの中でも飛び抜けてたのは知ってたけど、ここまで強いなんて!レッドの兄貴並じゃないか!」
喧嘩っぱやいフレアが、ルシルと喧嘩にならなくてなくて良かったと肝を冷やしている。
「う、うぐぐ!HEROランキング2位ラ・ピュセル、これほどの戦力だったとは……」
明らかに狼狽するマクンブドゥバ
絶望していたフレアとアクアの目に活力の光が戻りつつあった。
「さてフレア、私たちもルシルさんに負けてられないね?いこう!」
「応!なあアクア、雷音や獅鳳達が使っていたアレを試してみよーぜ!」
「ああ!あれか、よし!試してみよう!」
まずは二人の体が光に包まれてコスチュームが変化していく。
「顕現せよ!ヤマンソス・ドゥヴェルクの力!皆曰く、その性は雄風高節にして磊落不羈、他に並ぶものなくして、古今独歩の大女傑なり。その名は人々の口からも生々世々絶えることなかるべし。変!神!ロート・ワルキューレ!!!」
「我が想いは一瞬の煌めき。ただ一瞬一瞬に愛する者達への想いを込め、愛する者達ために戦わん。愛を胸に剣を振るわん!変身解除!鮫島アクア参る!!!」
一度変身を終えた後、2人はさらなる力を発動する。
「「我ら勇者の誓いの元に集い、絆の力発動せん!我らは我が絆人の半身となりていざ共に闘わん!勇魔共鳴!」」
アクアとフレアの手が重なり合った瞬間、世界は一瞬、静寂に包まれた。
だが次の瞬間、少女たちの心がひとつになった刹那、彼女たちの体を、魂を、まばゆい光が貫いた。
それは呪いを断ち切るための、神々しき共鳴。
――勇魔共鳴、起動。
フレアはロート・ジークフリードによく似た赤黒い鎧の魔法少女…否、戦乙女へと変身を遂げ、アクアはフレアを後ろで守護する半透明の人魚姫の姿になる。
「アクア!いくぜ!」
「えぇ!」
フレアとアクアはマクンブドゥバに向かって駆け出す
「馬鹿め!貴様らに勝機などない!食らえ!」
マクンブドゥバの背中の4本の触手の先端がパクッと4つにわかれ真ん中に鋭い牙を覗かす。
ヒョウモンダコが持つ猛毒テトロドトキシンが滴る毒の牙だ。
「そうはさせない!貴方の野望は私達が打ち砕いてみせる!覚悟しろ!マクンブドゥバ!」
「家族の仇!親父とお袋の無念、今こそ晴らす!!」
「ふん!笑止千万!貴様等に何ができる!くらえ!」
猛毒の牙持つ触手がロート・ワルキューレに迫る。
「いけるかアクア!?」
「うん、大丈夫だよ。私はもう迷わない!自分の力で大切な人達を守る!だから、お願い!私の願いに応えて!私の深き者族の力!!」
アクアが呪文を唱えると同時に無数の水の槍が出現。
そしてその水の槍は毒の触手を貫き、そのまま本体のタコの化け物を貫く。
槍はアクアから伸びたまま、アクアは電気ウナギの力で発電し、水の槍を通しありったけの電撃を叩き込んだ。
「ぐわああああああ!!!なんだこれは!?」
「すごいぞアクア!」
「これが私達の戦い方だよ」
「マクンブドゥバ!お前はアタシ達の家族を皆殺しにしたんだ!許さない!絶対にだ!!」
「何を言うか!ワシはお前の家族を殺してなどいない!ワシはただの実行犯!ワシに殺しを依頼したのは他の奴だ!お前ら一家が殺される理由を作ったのが悪いんだろうが!いわばお前の両親は勝手に死んだも同然だ!!」
「うるさい!黙れ!!」
「この外道!よくもそんな身勝手な屁理屈をさも当然に!!」
フレア、アクアが怒りに燃え魔力の勢いがより増していく。
「ガキどもめ!ならば今ここで決着をつけようではないか!今更後悔しても遅いのだぞ!!」
「後悔なんてあるわけない!お前を倒して、私達は生きるんだ!」
「そうだ!私達を舐めるな!やれるものならやってみろ!」
「我らクトゥルー教団に逆らう者は誰であろうと容赦せん!覚悟するがいい!!」
「「うおおぉーーー!!!」」
「生意気な小娘共め!目にモノ見せてやる!!」
重症を負ってなお、マクンブドゥバは4本の触手を激しく振り回し抵抗する。
フレアは炎の魔法と槍、アクアは電撃をまとった水の投槍で反撃する。
だが流石は三狂神が1人と恐れられた呪いの魔神
今の2人の力を持ってしてもジリジリと押されてしまう。
「このっ!しつこいなぁ!こっちは疲れてきてるっていうのに!!」
「くそ!こんなことしている場合じゃないのに!」
「もう、諦めたらどうだ!お前達に勝ち目はない!」
「まだだ!私達はまだ負けていない!」
「そうだ!ここで諦めるわけにはいかない!」
「ふん!強情な!だが、無駄なことだと知るがいい!」
マクンブドゥバの強靭な触手が、赤いワルキューレを拘束し締めあげる。
「ううぅ!このままじゃ……」
「くそ!このっ!離せ!!」
「ふはははは!もはやお前らに打つ手は無い!お前らはここで終わるのだ!ワシの手によってな!!」
「そうはさせない!アクア!私の力を使うんだ!!」
「わかった!私、使うよ!お父さんとお母さんから受け継いだ力を!アンタがアタシに託してくれる力を!!」
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
勇魔共鳴のフレアとアクアのポジションが瞬時に入れ替わる。
アクアが実体化し前面にフレアが幽体化し背後に浮かび上がる。
「何!?馬鹿な!?」
フレアの拘束がなくなった事でアクアが自由に戦う。
「さっきまでのアタシとは違うよ!」
フレアの魔力によって強化された身体能力により、アクロバティックな攻撃を繰り出す。
「くそっ!ちょこまかと!」
「さぁてタコ野郎、次はどう料理してくれようか?」
「貴様っ!!小娘がぁ!」
「いいねぇ!そうこなくっちゃ!」
「くそっ!くそっ!くそぉ!!」
「フレア!お願い!」
「応!いくぜ!アクア!」
フレアとアクアが一糸乱れぬ連携を見せる。
フレアが触手に拘束されそうになったらすぐさまアクアにスイッチ、アクアが水圧の攻撃呪文を喰らいそうになったらすぐさまフレアにスイッチするなどしてマクンブドゥバの攻撃を無効化していく。
アクアとフレアが向かい合わせで手を握り、共にマクンブドゥバに対し狙いを定める。
「何だそれは?!」
「合体技だよ!覚えておきな!」
「行くよ!これが私達の新しい力だ!」
フレアの炎とアクアの水雷のエネルギーが融合し、凄まじい魔力エネルギーの奔流となって解き放たれた。
「ぐっ……ぎゃぁぁぁぁ!!!」
「うん!いける!これなら勝てそうだ!」
「ああ!このまま一気に終わらせるぞ!!」
2人の魔力がマクンブドゥバを消し飛ばす。
「ば、馬鹿な!?このマクンブドゥバが、この呪いの魔神マクンブドゥバがあああああああ、こんな、小娘どもにぃ……」
黒い結界の外、クトゥルフ改獣昇華の詠唱を唱えていたマクンブドゥバ本体が突如苦しみ暴れ出した。
「は、馬鹿な!?わ、わしの心臓が!ワシの心臓の一つがあんな小娘共に!?」
アクアとフレアを囚えていた黒い霧が晴れ、2人が中から現れた。
「あ、あれは!?」
「アクアー!フレアー!無事だったのか!?」
「雷音!みんな!大丈夫だよ!なんとかなったから!」
苦しんでるマクンブドゥバの体がボロボロになって崩れていく。
彼の胸元がハダけ胸にイサカのキジーツが現れた。
いち早くそれに気づいたタット教授がすぐにアキンドに指示をだす。
「今だ!明人君!アポートだ!」
「いよっしゃ!まかせろ!アポート!」
アキンドぐ掛け声とともに、アポートを発動させる。
マクンブドゥバの胸にあったイサカのキジーツは今アキンドの手の中にあった。
「ぐっ!貴様らぁ!!!」
マクンブドゥバが呻く。
マクンブドゥバに操られていたイサカが糸の切れた人形みたいに気を失い倒れる。
抜け目なくアキンドがイサカを手元にアポートする。
獅鳳が慌ててかけ寄りイサカ=イブを抱きかかえた。
「イサカさん、イブさん!」
獅鳳は声をかけるが返事はない。
完全に気を失ってるようだ。
羅漢と凄まじい激闘を演じていた鮫島鉄心は、黒い霧から出てきたアクアを見て戦いの手が止まった。
「兄弟子、行って下さい……」
羅漢は構えを解き、視線をおくり娘の所に行くよう鮫島鉄心にうながした。
しばし迷ったあと父が娘にかけよる。
「ア、アクア……どうしてここに?」
「お父さん……」
「……」
「ごめんなさい」
「なぜ謝る?」
「お父さんが、お父さんが私のせいでマクンブドゥバなんかの手下になってしまったのが申し訳ないから!ワタシ、ワタシもう怖くないよ!ワタシはお父さんみたいにカッコイイ深き者になるって決めたんだ!だからお父さん、マクンブドゥバなんかの言いなりにならないで!!」「……」
「お父さんがアタシを庇ってくれたこと忘れない!!ありがとう!でももう大丈夫だよ!」
「……」
鮫島鉄心はボロボロと涙を流し娘を抱きしめた。
「すまなかった」
「お父さん……」
「本当に、すまなかった」
「うん」
鮫島鉄心は抱擁を解き、アクアの肩に両手を置きアクアの顔を真っ直ぐ見て話す。
「アクア、俺もお前と一緒に強くなりたい。……アクア、お前は俺が守ると思っていた。でも違った。
お前が、俺を人に戻してくれた。お前の強さが――俺を救ったんだ。」
「え?どういうこと?」
「俺もお前と同じように強くなる。だから俺も、お前の隣に立たせてくれ」
「え?」
「共にマクンブドゥバを倒そう!深き者族の悪しき歴史はここで終止符を討つ!俺はもう逃げない。アクア、お前の父として、誇りを持って共に戦おう。深き者族と人間族――その狭間に立ち、俺は新しい時代を切り拓いてみせる!」
アクアは嬉しそうにはにかみ父に抱きついた。
その様子を見ていた殺悪隊副隊長ヒキガエルは羅刹との戦闘を停止し、部下に命を下した。
「総員、攻撃開始!!目標狂王及びマクンブドゥバ!」
「「はっ!」」
「「了解しました!」」
殺悪隊は一斉に動き出す。
殺悪隊の隊員は、全員で20名ほど。
皆、それぞれ特殊な訓練を受けた深き者族最強精鋭部隊だ。
その全員が、殺気を纏いながら、一気にマクンブドゥバに襲いかかる。
「くそっ!雑魚どもが!このワシが直々に相手してくれるわ!」
マクンブドゥバは殺気を察知し、慌てて構えをとった。
「うぉおおおっ!死ねぇええええええええっ!!!」
しかし次の瞬間、殺悪隊の隊員が放ったワイヤーのような暗器が、マクンブドゥバの両手両足を拘束した。
殺悪隊隊員キロネ・海月の髪の毛で出来たクラゲの透明触手だった。
「ぐぬぅうう……ッ!なんだこれは!?」
「マクンブドゥバ老、お覚悟!」
巨漢の蟹型隊員クラブ・キャンサーがマクンブドゥバの首を蟹鋏で切断する。「ごぼっ……」
「「やったか!?」」
「いや、まだだ!」
「この程度のダメージでは、我が不死身の肉体は滅びん!」
首の断面が盛り上がり、そこから肉が盛り上がって再生していく。
「ならば、これならどうだ!」
今度はプラズマ・ゼットがプラズマキャビテーションキャノンを放ち肉を焼き再生を邪魔する。
「ぎいやああぉああああああ!!」
トドメとばかりシャコ・ハマダが必殺のパンチを叩き込みマクンブドゥバの首はミンチになった。
↓物語をイメージしたリール動画
https://www.facebook.com/reel/415384541068898