表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

129/452

乂阿戦記2 第六章 紫の魔女ナイアルラトホテップと邪神ロキは暗躍の影で嗤う-11 殺悪隊エース"プラズマゼット"

(^^) ブックマークをお願いいたします!

読みやすくなりますよ❤︎

羅漢・羅刹兄妹が殺悪隊の首魁と牙を交えるその裏で、雷音たちもまた――恐るべき殺悪隊の精鋭兵と死闘を繰り広げていた。

中でも雷音の前に立ちはだかるのは、血のように赤い装甲を持つ“鉄砲海老型”の戦士。奴は、まさに生きたプラズマ砲台だった。


奴の両腕に備えられた巨大な赤いハサミ型ギミックがガチンと噛み合う――その一瞬、空間がゆがみ、周囲が沸騰する。

4400℃の衝撃波が閃光を放ち、地形すらえぐる。


そんな危険な相手に対し、雷音は臆することなく正面から向かっていく。

魔剣クトゥグァの力を解放し赤い勇者の姿に変身し立ち向かう。

対する海老の男も空手のエビの構えを取る。

エビの構えは前進しやすく後退しにくい。

必然両者は真正面からの激突となる。

そして、雷音敵の間合いに入るやいなや炎の魔剣クトゥグァを振りかざした。

対する海老の戦士は4400℃のプラズマ衝撃波を正拳突きで繰り出してくる。

雷音の魔剣クトゥグァと、海老の戦士の拳がぶつかり合い、その衝撃で地面が陥没しクレーターができる。

両者一歩も譲らず、激しい攻防が続く。

やがて雷音の魔剣クトゥグァが、敵の腕を浅く切り裂く。

しかし、それでもなお敵は怯まずに向かってくる。

それに対して雷音も魔剣クトゥグァを構え直し迎え撃つ。

両者の剣と拳が激しくぶつかり火花を散らす。

その激しさは周囲に放電現象を引き起こす。

そんな最中、雷音の耳に何者かの声が響いてくる。

「雷音!ソイツの足に気をつけて!何か嫌な予感がするのだ!」

彼の婚約者ミリルの声だった。

その声に導かれ、雷音は魔剣クトゥグァの力を最大出力で防御壁生成発動させる。

ぱぁあん!

予想だにしない破裂音が鳴った。

なんと海老の戦士は足からもプラズマ衝撃波を放ってきた。

間一髪防御壁が間に合って直撃は防げた。

それでも雷音は後ろに吹っ飛ばされ激しく転がって体勢を崩す。

ミリルが駆け寄り心配そうに雷音を助け起こす。

「ら、雷音!しっかりするのだ!」


「ばーか、心配いらねーよ!……と言いたいとこだけど正直相手は俺より確実に格上だ……正直やべえ……」


雷音の表情に焦りが浮かぶ。

「雷音、私と勇魔共鳴を発動させるのだ!」

ミリルが雷音の手を掴み真剣な表情で助言する。

勇魔共鳴、それは本来なら同属性同士の勇者と魔法少女が共鳴変身する事により二倍以上の力を発揮する切り札の変身!

だが雷音とミリルは深い信頼関係もあり属性の垣根を超え共鳴変身する事ができる。


(ミリルとなら……いける。俺たちは――二人で一人前の勇者だ!)


雷音は頷きミリルの手を握り返す。

ミリルは目をつぶり雷音に口づけを求める。

「ば、馬鹿!いちいちキスしなくても勇魔共鳴はできるだろ!!」

「いやなのだー!キスした方が雰囲気がでて、きっとすごいパワーアップができるのだー!!」

ミリルが膨れっ面で抗議する。

戦闘中にもかかわらずクラスメイト達が雷音をからかいだす。

「きゃー雷音!あなたミリルちゃんと実はそういう仲だったの!?」とリリス


「雷音、貴様この裏切り者!なんでお前だけそんな可愛い彼女がいる!?そしてなぜ俺には彼女がいない!?」血の涙を流すアキンド


「雷音、明日から学校であっても俺に話しかけないでくれる? ロリコンの友達とか恥ずかしいから……裏切り者め!」ぺっと地面に唾を吐くイポス


「あ〜、こりゃ卒業するまでの雷音のあだ名はロリコン野朗に決定だな」アンチメタモルフォーゼキャンセラーを発動しながらネロ


「ひいい!大惨事になってるぅ〜? オイ、どうしてくれるんだミリル〜!?」頭を抱える雷音に対し

「クックっクス!これでいいのだ!雷音のクラスメイトは美人揃いだから正直誰かと浮気しまいかとヤキモキしてたのだ!こうやって唾をつけとけば安心なのだあ!!」小悪魔の笑みを浮かべるミリル


「皆さん戦闘に集中して下さい〜!」半泣き注意するレイミ


指摘を受け雷音とミリルの二人は目を閉じ心を合わせ始める。

二人の体が光り輝き始め、周囲の光が吸い込まれるように集まりだす。

そして二人が同時に目を開くと同時に膨大な魔力が溢れ出す。

「よし、成功なのだ!」

ミリルは満足そうに頷く。

「ああ、これで負ける気がしねーぜ!」

雷音も力強く答える。

再び雷音が前に出て剣を構える。

半透明の姿のミリルは守護霊のように雷音を後ろから支える様に構える。

「いくのだ雷音!!」

「おうよ!!ミリル!!」

ミリルの掛け声に合わせて雷音が呼応し飛び出す。

「……準備は出来たのかロリコン野朗?」

エビの戦士がボソっと突っ込む。

「エ、エビ〜〜〜〜っ!?」

雷音はエビ戦士の予想外の発言に動揺して後ずさりする。

その様子を見てニヤリと笑うエビの戦士。

後でクラスメイトたちもクスクスと笑っている。

(……こ、このヤロ〜!完璧に侮ってやがる……!クラスの奴らも後で見てろお〜〜っ!!)

雷音は顔を真っ赤にしてエビの戦士に向かって走り出す。

「く、くそっ!?この俺をコケにしやがってぇぇぇえええ!!!」

激昂しながら雷音は両手を前に突き出して火炎の魔法弾を放つ。

ミリルと共鳴してるから出来る攻撃だ。

「『爆炎』ぉぉぉおおお!!!!」

「プラズマキャビテーションキャノン!!!」

エビの戦士も負けじと衝撃波を放つ。

その瞬間、辺り一面に激しい爆発が起きる。

その爆風により雷音吹き飛ばされてしまう。

「ぐあっ……!?」

ゴロゴロと転がって壁に激突してしまう。

そのまま地面に倒れ伏す雷音だったが、すぐに立ち上がる。

「……まだだ……!」

雷音は拳を握りしめると再び走り出す。

「何度来ても同じことだ!くらえ!プラズマキャビテーションキャノン!!!」

エビの戦士は再び雷音に向けて衝撃波を放つ。

「舐めるなよ……!うぉおおお!!!」

雷音は全身に力を込め、全力で走る。

そして、向かってくる衝撃波に向かって飛び上がると、空中で回転し、蹴りを放った。

「雷炎流星蹴!!!」

雷音の蹴りが雷炎となって降り注ぐ。

雷音の放った一撃は、見事に敵の攻撃を相殺することに成功する。

「なんだと!?」

驚愕の表情を見せる敵に対して、雷音はニヤリと笑みを浮かべると、一気に間合いを詰めて攻撃を開始する。

「うおぉおおおおお!!!!」

雷音は雄叫びを上げながら敵に殴りかかる。

敵は雷音の攻撃を避けようとするが、雷音の方が速く、回避しきれないまま攻撃を喰らってしまう。

「ぐはっ……!」

敵が倒れると同時に、雷音もその場に膝をつく。

彼もエビの戦士の膝から放った衝撃波を受けダメージを受けていた。

相打ちだったのだ。

「くっ……はぁはぁ……やっぱ簡単には倒せねえな!」

雷音は荒い呼吸を繰り返す。

そんな雷音を嘲笑うかのように、敵は立ち上がって言った。

「フ、もう終わりか?」

敵の挑発的な態度に、雷音は思わずムッとする。

だが、雷音は冷静に状況を分析して、相手の隙を窺っていた。

(相手は一人だが、かなり強い……本来ならまともにやり合っても勝ち目はないだろうな……でも、今の俺なら勝てるはずだ……!何故なら俺は今、ミリルと2人で一つだから……!!)

そう心の中で呟くと、雷音は立ち上がり、敵を睨みつけた。

「……かかってこいよ」

そう言って手招きをする。

すると、それを見た敵はシニカルな笑みを浮かべて名乗った。


「深海剛拳・衝波式。拳に刻むは、圧壊と沈黙の流儀――

我が名はプラズマ・ゼット。技術と誇りで貴様を沈める者の名だ、小僧」


挿絵(By みてみん)

雷音も負けじと名乗る。

「乂家三男、乂雷音…プラズマ・ゼット、お前を倒す男の名だ。覚えておけ」


――紅の勇者と深海の剛拳、その死合いがいま、始まる。


2人は睨み合うと、同時に互いに近づいていく。

雷音は必殺剣を放つべく魔剣クトゥグァの間合いに、ゼットはプラズマキャビテーションを至近距離で叩き込める間合いまでお互い近づき合う。

両者ともに次の一撃で決めるつもりだった。

まるで西部劇のような早撃ち勝負の空気だった。

緊張が走る中、先に動いたのはゼットの方だった。

彼は掌から高出力のプラズマを放つべく突進してくる。

それに対して、雷音もまた必殺技を発動させるべく構えを取る。

「いくぞ!『魔剣クトゥグァ』!!」

叫びながら剣を振り下ろすと、刀身から迸った炎がゼットの身体を包み込む。

しかし、それでもなおゼットは止まらず、雷音に体当たりを仕掛けてきた。

「ぐっ……!」

吹き飛ばされそうになるが、なんとか踏みとどまり耐えることが出来た。

だが、その一瞬の隙を突いて、ゼットが距離を詰めてくる。

「遅い!」そう叫ぶと同時に、雷音の腹部に強烈なパンチを叩き込んだ。

「ぐはっ!?」

思わず苦悶の声を漏らす雷音。

さらに追い打ちをかけるように、今度は蹴りを放ってくる。

それを腕でガードするが、衝撃を殺しきれず後ろに飛ばされてしまう。

地面に倒れ伏す雷音に向かって、ゼットは容赦なく追撃を加えていく。

拳、肘、膝、踵、爪先、あらゆる部位を使って雷音を殴り、蹴り、投げ飛ばし、叩きつけ、踏みつけ、引き裂き、切り刻み、焼き焦がし、ありとあらゆる方法で痛めつけていく。

「うおおおおおおっ!!!」

雷音の雄叫びと共に、全身から炎が溢れ出す。

それを見たゼットの表情が変わる。

雷音はそのまま炎を纏った拳を突き出す。

炎を纏う一撃は、確実にゼットを捉えていた……はずだったのだが、なぜか攻撃が命中しない。

何度繰り返しても、結果は同じだった。

雷音は焦りを感じ始めていた。

いくら攻撃しても当たらないのだ。

いったいなぜ? 疑問に思っていると、後ろのミリルがアドバイスをくれた。

「雷音、落ち着くのだ!やつは衝撃波を発生させ炎を防ぐ力場の壁を作ってるのだ!このまま闇雲に炎を連発してもやつには当たらないのだ!もっと頭を使えなのだ!」

それを聞いた雷音は、深呼吸をして心を落ち着けると、もう一度攻撃を仕掛けることにした。

まずは正面から突っ込むのではなく、フェイントをかけて側面に回り込み、そこから一気に加速する。

そして、相手の死角から攻撃を繰り出した。

これなら当たるはず、そう思った瞬間、目の前に見えない壁が現れた。

まるでバリアーのようなそれは、雷音の攻撃を完全に防ぎきっていた。

しかもそれだけではない。

次の瞬間、凄まじい衝撃に襲われたかと思うと、全身がバラバラになったかのような激痛に襲われる。

「うわあああっ!!」

悲鳴を上げながら地面を転がる雷音。

その様子を、ミリルは心配そうに見つめていた。

「大丈夫か雷音?」

雷音は、痛みに耐えながら立ち上がる。

しかし、受けたダメージは大きく、フラフラしていた。

それでもなんとか立ち上がると、再びゼットに向かって行く。

今度は、さっきとは逆に真正面から突っ込んだ。

すると、また同じように障壁が現れる。

その瞬間、雷音は全身に力を込め、気合いを入れる。

ミリルの魔力と想いが雷音の身体能力を底上げしていく。

すると、体が光り輝き始めた。

それと同時に、雷音のスピードが格段に上がる。

だがそれでも衝撃波の壁は突破できない。

だから雷音は最大の武器である魔剣クトゥグァを投げつける!

「なに!?」

雷音のまさかの行動に完全に表をつかれるゼット

「えっ……? 投げた!?」

ミリルの驚きと共に、剣が空を裂いた。真紅の軌跡を描きながら放たれた魔剣は、ゼットの前方で力場に激突し、激しく爆ぜる!


 ――その瞬間、壁が一瞬だけ、消えた。


「今だッ!!」


 雷音は地を蹴った。最大加速。空間を裂き、音速を超える踏み込み――“火雷の如く”疾駆する。


 拳が、ゼットの腹に突き刺さった。


「ぐぉ……ぉおっ!!」


 くの字に曲がるゼットの巨体。


 だが、彼も並の戦士ではない。血反吐を吐きながらも、雷音の頭を狙い、拳を振りかぶる。


「吹き飛べ……!」


 放たれる、直撃のプラズマ拳。だが――雷音は逃げなかった。


 むしろ一歩、踏み込んだ。


 ゼットの拳が振り下ろされる寸前。雷音の拳が、ゼットの腹に添えられる。


「……これが俺の、ゼロ距離奥義だッ!!」


大地を割る一歩。全身の魔力を拳に集束。爆発的な発勁が、密着距離から放たれる。


爆極発勁ばくきょくはっけいッ!!!


ドグゥゥウウゥン!!


雷音の拳から放たれた震脚の衝撃が、ゼットの肉体を内側から粉砕する。

骨が爆ぜ、内臓が揺れ、背筋が弓のように反り返る。

ゼットの重厚な肉体が、音を置き去りにして空を裂きながら吹き飛ぶ。


その瞬間――戦場の時間が止まったかのように、静寂が訪れた。


着地することなく地に叩きつけられたゼットは呻き、口元を拭って――それでも、笑った。


「……見事……だ……!」


ゼットは静かに、崩れ落ちた。


「……タイマンだったら……アンタの勝ちだったよ」

雷音がプラズマゼットを称える。


「フ……まさか“キス合体”で負けるとはな……深海の拳士の名折れだ……」


その言葉を最後に、ゼットは意識を手放す。


雷音もまた、膝をつく。共鳴が解け、ミリルが倒れかけた彼に駆け寄った。


「ら、雷音!」


「へへっ……やっぱ俺達、最強コンビだな」


「当然なのだ!」


「……本気で信じてくれる奴がいる限り、どんな相手にも俺は勝てる。キスしてでもな」


二人が見つめ合ったその瞬間、空間が揺れ、雷音たちは仲間たちの陣地にアポートされる。


「無事戻ったか!」


神羅と鵺がすぐさま駆け寄り、回復魔法を施す。


「よ、おかえり、ロリコン野朗!」


「うるせぇよアキンド!!!」


雷音の怒声に、仲間たちの笑いが弾けた。


その笑いが一段落したとき、神羅と鵺が改めて雷音の傷を確認し、表情を引き締める。


「……こいつ、思ったより削られてるな。早く癒してやらねば」


静かに、仲間たちの魔力が雷音とミリルに流れ込む――。


↓物語をイメージしたリール動画


https://www.facebook.com/reel/1053172123317580/?s=fb_shorts_tab&stack_idx=0

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ