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乂阿戦記2 第六章 紫の魔女ナイアルラトホテップと邪神ロキは暗躍の影で嗤う-9後編 殺悪隊出陣!

\超展開✖️熱血変身バトル✖️ギャグ✖️神殺し/


→ ブックマーク&評価、大歓迎です!

彼女の周囲だけが紅に染まり、異様な気配が満ちていた。


「やれやれ、やっと来たかい?」


コツン、コツン――

足音とともに闇の中から姿を現したのは、ロキ。

ニヤついた顔でフレアに言う。


「遅いよ、まったく。いつまで待たせるんだい?」


しかし、フレアは彼に目もくれず、クラスメイトたちの方を振り向いた。


その顔は、痛みと後悔に満ちていた。


「やめろ……! 殺すな……イサカさんを……!」


絞り出すような声。

歯を食いしばり、震える声で叫ぶ。


「……シルフィスも、ニカも……“ママ”ができたって、あんなに……!」


涙が止まらない。足も手も震えている。


「……あたしだって……嬉しかったんだよ……」


初めて一緒にご飯を作った。

熱が出た夜、優しく看病してくれた。

髪を結ってくれた。名前を呼んでくれた。

あの日の笑顔が、焼きついて離れない。


(あんな温もりを……また感じたかったのに……)


「……また、やり直せるかもしれないって……思ったのに……」


(でも……その希望すら、今は壊れかけてる)


「だから……イサカ母さんを、奪わないでよッ!!」


それは怒りではなかった。

ただただ、願い――心からの叫びだった。


あの腕のぬくもり。

優しい声。

髪を結んでくれた、あの夜。

――あれが、私の“二人目の母親”だったんだ。


「……私たちから……私たちから、私たちから“家族”を奪うんじゃねえええぇぇぇぇっ!!」


その言葉が響いたとき、世界の空気が一瞬だけ凍った。


少女が放ったその絶叫は、理屈でも説得でもない――

心からの、たった一つの真実だった。


「フ、フレア……アンタ……」


アクアが言葉を失い、呻く。

その隣で、ロキが静かに笑った。


「おやおや、これは面白い展開になってきたね? まさかフレア・スカーレットがマクンブドゥバを庇うことになるとはね……」


だが、すぐにその顔を引き締め、隣に立つレッドキクロプスに問いかける。


「……予定が変わってしまったな。どうする、レッド?」


レッドキクロプスはしばらく考え込んだあと、こう答えた。

「このまま続行し様子を見よう。マクンブドゥバもまだ諦めてないみたいだしな。………そして何より、ついに彼等が動いた!!」


二十人の兵が、ぬらりと暗闇から現れる。

だがその歩法は、蛙のそれではない。


武道の“間合い”を知る者の足取り。

一歩ごとに気配を殺し、一歩ごとに死を撒く――まるで、武人の群れ。


「……来たか。殺悪隊……」


ロキが呟いた。


その名は地上でも伝説だった。

数百の街を一夜で沈めた“深き者族最強の処刑部隊”。

そして今、神話の怪物すらも相手取る準備を終えたのだ。


それを見たロキは肩を竦めた。

「フ、殺悪隊……鮫島鉄心と蛙冥刃がついに動いたか……やれやれ、仕方ないか。じゃあ予定通りにやろうか。」

ロキはアクア達に向かってパチンと指を鳴らした。

その瞬間、彼女達の体が勝手に動き始める。

「……くっ、何をした!?」

アクアは自分の体の自由を奪われ驚愕する。

その様子を楽しそうに見ながらロキは言った。

「君の自由を僕が乗っ取ったんだよ。けど感謝してもらいたいね。これは君がクトゥルフの呼び声で深き者共にならないようにする予防手段なんだぜ。まあ、フレアちゃんが君の事凄く気にかけてるってのもあるけどさ……それよりも鮫島鉄心殿に憂いなく戦ってもらわなきゃ困るんでね……」

ロキが指を鳴らすと、フレアとアクアの体が空に浮かび上がり、二人は黒い霧にまとわりつかれる。

「な?!」

「お、おいロキ!?」

二人は振り払おうとするが、体は言うことを聞かない。

「二人ともその黒い霧の中で大人しくしておいてくれよ。クラスメイトが傷つくとこなんか見たくないだろ?……レッド、これでいいか?」

ロキの問いかけにレッドキクロプスは首を縦に振る。

アクアとフレアは黒い球体の牢獄に閉じ込められた。

マクンブドゥバが配下に号令を下す。

「さあ行け!クトゥルフ眷属ども!!そいつらを殺してしまえ!!!」

一斉に駆け出すクトゥルフ眷属のダゴンとハイドラ達、それに対し雷音達も迎え撃つ構えを見せる。

だがその前に一人の少女が立ち塞がった。

「……みんな、ここは私に任せてくれないかしら?」

そう申しでたのはクラスでツインテールの悪魔の異名を持つリリス・ツェペシュだった。

挿絵(By みてみん)


リリス・ツェペシュが一歩前に出ると、雷音たちは一斉に驚いた。


「……みんな、ここは私に任せてくれないかしら?」


ツインテールの“悪魔”が、にっこりと笑う。

ミリルが慌てて声を上げた。


「えっ!? ちょ、ちょっと何する気なのだ!? 一人で無茶しないでよぉ!」


「大丈夫、大丈夫♪ すぐ終わるわ。だから安心して、見てなさい♪」


彼女は右手を高く掲げ、ずっと温めていた“とっておき”を詠唱する。


「――《メテオストライク》!!」


その瞬間、天井を突き破って巨大な隕石が出現。

轟音とともに落下し、地面に激突した。


大地が震え、土煙が舞い上がる。

爆心地には深いクレーター、そして――

ごっそりと削られたダゴンとハイドラたちの残骸。


「す、すげえぇぇーーーーッ!!」


雷音たちの歓声が上がるなか、一人の少女が冷や汗を浮かべていた。

セレスティア・ヴィーナス――オリンポス十二神の一柱、愛の女神。


「うへぇ~、相変わらず無茶苦茶するわねぇ彼女……。流石、あのドラクル・ブラド・ツェペシュの娘ってわけかしら?」


そしてふふっと笑いながら言う。


「さて、あの吸血娘ばかり活躍されるのも癪だし……次は私の出番かしら♪」


そう言ってセレスティアは前線へ歩み出る。

くるりと振り返り、雷音たちに向かって手を振った。


挿絵(By みてみん)


「オイオイ、セレス! 前! 前見ろって!!つーかお前、戦う気あるのか!?」


雷音の叫びに、クスクスと笑うセレスティア。


「ふふふ、焦らない焦らない♪ さ、始めるわよ♪」


彼女は手にした弓を構え、矢を放つ。

閃光を引いて飛んだ矢がダゴンの眉間に突き刺さり、目にハートマークが浮かぶ。


そのダゴンは隣のハイドラに、なぜか愛をぶつけるかのように殴りかかった。


「……おい、何してんだあいつら……?」


次々と魅了され、仲間割れするクトゥルフ眷属たち。

セレスティアの放つ矢は、神さえも虜にする“キューピッドの矢”。


「もっともっと仲間割れして頂戴ね♡」

うっとりとした声で矢をつがえる。


「うっわ、相変わらずエグい能力使うわねアンタ……」


リリスが顔をしかめると、セレスティアは満面の笑みで返す。


「ふふん♪ リリスちゃんだって魔眼で男メロメロにするじゃない~」


「それは人型限定よっ!」


「ふふっ、じゃあ今日は私の方がたくさん活躍できそうね♪」


――そんな軽口を叩きながらも、二人の矢と魔眼は正確に獲物を射抜いていく。


そんな彼女達に対し、怒りの声を上げる者がいた。

それはマクンブドゥバである。

彼は激昂しながら叫ぶように言った。

「貴様ぁぁぁっ!!よくも我が同胞達をぉぉぉぉっ!!!」

憤怒の形相で吠えるマクンブドゥバに対し、妖艶な笑みを浮かべながら答える女神セレスティア・ヴィーナス。

「あらあら、怒っちゃって怖い顔しちゃってぇー♪でもぉー、アナタだって似たようなことしてるじゃない?私の大事なお友達をさらったくせに〜…と言うわけで――」


セレスティアの笑顔が、凍る。


「天誅、下します」


矢を構えたその顔は、女神としての威厳に満ちていた。

狙いを定め弦を引くと、目にも止まらぬ速さで弓矢を放ったのである。

ヒュンという風切り音と共に飛ぶ矢は、正確にマクンブドゥバの眉間を射抜いたのだった。

しかし致命傷には至らなかったようで、額から血を流しつつも立ち上がるマクンブドゥバ。

そんな彼に向かって侮蔑の言葉を投げ掛けるセレスティア・ヴィーナス。

「ウフフ、まだ生きてるなんてタフなのね貴方」と言いつつ、さらに矢を放つ。

今度の一撃は心臓を貫いたらしく、口から血を吐き出し倒れるマクンブドゥバ。

だがそれでも彼は起き上がる。

「グググ!貴様〜!」

タコ型の深き者共である彼は三つの心臓を持っているのだ。

「チィ、流石は呪いの魔神マクンブドゥバってとこかしらぁ?矢にはありったけの魅力魔法を込めたんだけど魅了がレジストされちゃってるわぁ……なら物理で射殺す!」

矢を受けなお起き上がろうとするマクンブドゥバに追い打ちをかけるように次々と矢を浴びせていくセレスティア。

ところが…


ズドンッ!!!


空気が一変した。


「危ないッ!!」


ルシル・エンジェルが飛び込み、セレスティアを押し倒す。

直後、床を爆発が抉った。


「……っ!?」


そこにいたのは、甲殻の赤い外骨格に覆われた“鉄砲海老タイプの深き者族”殺悪隊エース”プラズマゼット”!


彼はその右腕をプラズマ砲に変形させ、セレスティアを狙ったのだった――


「さっきのは4400℃のプラズマ衝撃波……! まさか……!」


ルシルの声が震える。


その時、風を切る音。

虚空から襲いかかった刃を、ルシルが咄嗟に剣で弾いた。


金属がきしむ音。

見えない敵。

その正体は――


「高透明度……ミナミハナイカかハコクラゲ型……! 毒にも警戒を……!」


さらに、背後に新たな影。

巨大な鋏と甲殻、武者兜のような頭部を持つ“蟹型”の深き者。

視界に映るだけで、殺気が肌を刺す。


赤いエビ型、青緑のシャコ型、見えぬ刺客……

次々と襲いかかる“上位個体”たちに、空気が凍りつく。


「――来るぞ」


雷音が一歩前へ出る。

「へっ、腕が鳴るぜ!」とキースが続く。

「俺と雷音とキース、そしてルシルさんと兄貴が前衛で受ける!」


獅鳳が封獣ドゥラグラグナを解放する。


「殺悪隊、精鋭揃いですね……!非常時につき、改獣ラ・ピュセルを抜刀します!」


ルシルが光を帯びた聖剣を抜き放つ。


「オイオイ……ルシルちゃん、今さらっと改獣持ってるって言った?フェニックスヘブンと合わせて、銀河連邦って改獣2体も持ってたのかよ……」


アーレスタロスが呆れ混じりに呟きつつ、前を見据えた。


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