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乂阿戦記2 第六章 紫の魔女ナイアルラトホテップと邪神ロキは暗躍の影で嗤う-6 今はなき女神国の最強剣士"胡蝶蜂剣"vs伝説の聖王が生まれ変わり鳳天


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「イブさん、応援に来たぞ!」

クトゥグァ、ベリアルハスター、アーレスタロス、ユグドシラルの4機が触手の化け物に立ち向かう。

マクンブドゥバの前に立つパピリオは黄金に輝くフェニックスヘブンを見上げ呟いた。

「その黄金の機体…フェニックスヘブン……女神国最高の聖君イルスの機体……そう、聖王陛下、あなたも輪廻転生を果たしておいでだったのですね。時代の分岐点に転生を許された12人の異能進化体……女神ユキルと最強魔女ラスヴェードが選ばれたように聖王とたたえられた貴方もまたこの時代に転生を果たしたのですね……」

パピリオはクスリと笑った。

「まあいいわ、どちらにしても私は負けませんわ!だって私には愛があるんですもの!!」

パピリオは刀を手に取りフェニックスヘブンに斬りかかる。

「はあぁっ!狂王刀抜刀!鳳凰乱舞!!!」

フェニックスヘブンは右の巨腕で斬撃防ぐ。

分厚い鋼鉄の装甲がまるで紙の様に易々と切り裂かれる。

「クッ……さすがは女神国最強の剣士"胡蝶蜂剣"!恐るべき一撃だ。だがこのまま生身で巨大ロボと闘い続けるつもりか?」

パピリオはニヤリと笑う。

「フフン、今の剣技は対巨大ロボ用ではありませんよ」

パピリオは腰に提げていたもう一本の剣を抜き放つ。

「鬼神剣シュドナイ。これで巨大ロボをより深く斬れます」

パピリオはシュドナイを振りかざした。

「鬼神剣シュドナイの威力はご存知でしょう。巨大ロボであろうと一振りで真っ二つです」

「ほほう、面白い。ならば俺もそれに応えるとしよう」

「聖王イルスの魂を持つ者、その力見せてもらいましょう」

パピリオは狂王刀を左手に鬼神剣シュドナイを右手に持ちフェニックスヘブンへと挑みかかる。

「待てパピリオ!」

静止の声が聞こえパピリオが振り返る。

そこには九闘竜No4ロキの姿があった。

「イルスは僕の獲物だ!横取りするな!」

ロキは変身の指輪を掲げ機械神指輪王を召喚しようとしていた。

「……だめよロキ、今のあなたじゃ聖王様には勝てない」


「なんだと!?僕がイルスに劣るっていうのか!?」

「……そうね、確かに強くなったわ。でも、まだまだ甘いのよ」


だだをこねるロキにパピリオは首を横に振る。

「このまま聖王様と闘ったらあなた死ぬわよ?この前聖王様と闘いで負った胸の傷まだ癒えてないでしょう?指輪王は強力だけど魔力と共に生命力も奪う禁断の法具、この前の戦いであなた必要以上に力を行使したでしょう?……あなたは私たち九闘竜のブレイン、戦いの前面に出てはダメ…」

「否!否!否!聖王如きこの指輪王の敵では無い!」

パピリオの制止を振り切り、ロキは指輪王を発動し鳳天に挑もうとする。

その時、パピリオが目にも止まらぬ速さでロキとの距離を詰め、刀の柄でロキの腹を打った。

「ぐふっ」とくぐもった声を漏らすとロキはその場で気を失った。

「ナイア、近くにいるんでしょ?ロキちゃんを安全な所に連れて行ってあげて」

「気づいてたのか、ふん、怖い奴だ」

そう言いながら物影から現れたのはナイアであった。

ナイアはロキを肩でかつぐと、面白く無さそうにイサカが乗っているモビーディックラーケンを睨みつけた。

「イサカ〜、あんたさあ、死にたがってんならさっさと消えてくれない〜?ロキが聖王相手にムキになってるのって多分アンタのせいよ?正直ロキが女の事でムキになってるところなんて見たくないの。イライラする……アンタ邪魔よ」

そう言って殺気を露わにするナイアに、パピリオはクスリと笑みを投げかけた。

「あらあら妬いてるのね?かわいいじゃない?」

「ち! っさいわね〜」

そういいつつナイアはそそくさと姿を消した。

そしてパピリオは再びフェニックスヘブンに目を向けた。

「ねえイルス様、普段謀略で動くロキちゃんが、どうしてあなたに対しては直接対決をこだわるのかわかる? あの子イサカが好きだからよ。あなた気づいてたかしら?」

「え?」

イサカが面食らったように声を出す。

いや、イサカだけでなく周りで戦っていたクトゥグァ、ベリアルハスター、ユグドラシル、アーレスタロスの四機も動きを止める。

それぞれに乗っていた雷華、エドナ、神羅、絵里洲の四人がパピリオの発言に注目しだしたのだ。

「こ、こら絵里洲!今戦闘中……」

「アホ兄貴黙って!!」

「あ、あのー、神羅さん?……」

「しっ! 獅鳳君、いま大事なとこなの!」

「ちょ、姉上〜〜!?」

「おいいい!雷華、敵!敵!敵が迫って来てるから戦闘に集中して!!」

「クソ雑魚触手が!邪魔や!!」

「紅流鳳凰飛翔剣舞!!」


雷華とエドナが操る機神の剣撃が、触手軍団を一掃した。

戦場に一瞬の静寂が訪れる――だが視線は、全員パピリオの発言に集中していた。


そして、肝心のイサカは、

「……そ、そうなのか……?」

と、顔を赤らめている。

どうやら満更でもないようだ。

だが、そんな微笑ましい雰囲気を切り裂くかのように、パピリオはさらに続ける。

「そう、あの子はね、聖王様とイサカ、あなた達の事が大好きだったのよ。だからこそ、50年前あなた達の幸せを願って身を引いていた。当時女神イサカと聖王様が恋仲だったのは周知の事実で、聖王様ならイサカを幸せに出来ると信頼もしていたからね……。だけど聖王様が復讐の女神に堕ちた貴方を封印し、その体にイブという新しい人格を植え付けたとき、ロキちゃんは変わってしまったわ。ええ、聖王様、イサカを封印した貴方の選択は王として至極真っ当で正しい選択だった。だけどね、ロキちゃんにとっては、愛する人を見捨てた挙げ句、イブという新たな人格を創り出した裏切り者だったのでしょうね……」

そう言うとパピリオは大きく息を吸い込み、叫んだ。


胡蝶蜂剣は、刀身に血を宿した剣を掲げると、なおも歩み寄る鳳天の眼前で宣言する。


「聖王よ、今世にて貴方に問う!」


凛然たる声が戦場を貫いた。


「貴方はイサカをどうするおつもりなのですか?――もはや女神国は滅び、貴方は王ではない。一個人・鳳天として……貴方は、彼女に何を望むのですか?」


その問いに、鳳天はわずかに目を伏せる。そして、ふっと肩の力を抜くと、重く静かな口調で答えた。


「……ただ、彼女の望むがままに。それだけだ。」


それを聞いたイサカの瞳が揺れる。胸元で、封魔鎖が小さく鳴った。


「イサカ、貴女は?どうしたいの?」


その問いに、少女は――いや、一度堕ちた神は、か細く、だが確かな決意を帯びて答えた。


「私は……フレア、シルフィス、ニカ……この新しい家族を守りたい。ただ、それだけなの……」


沈黙。


やがて、胡蝶蜂剣の双眸に、烈火のような光が宿る。


「……わかったわ、ならば私の答えもまた一つ!」


風が鳴る。空気が切り裂かれる。


「全力で、貴方がいなくなるのを止める!!」


その叫びと共に、胡蝶蜂剣が構えを取る。右手には鬼神剣シュドナイ、左手には狂王刀。両手の剣が重なり、交差する。

「イサカわかってるの?フレア、シルフィス、ニカには貴方と言うお母さんが必要なの!そしてワタシも貴方と言う妹が消えてなくなるのをむざむざ黙ってるつもりはない!たとえ貴方がそれを望まないのだとしても!」


パピリオが言い放ったその瞬間、戦場の空気が凍った。

風が止み、誰もが息を呑む。


「……聖王よ!そして勇者達よ!マクンブドゥバを倒しイブを取り戻したくば、まずはこの剣の鬼神――胡蝶蜂剣を退けよ!!」


その沈黙の中、パピリオはゆっくりとフードに手をかけた。


「……そう、私ももう、退けないの」


フードが外される。現れたのは、戦の化粧を施した“剣の鬼神”――胡蝶蜂剣の真の顔だった。


フードから現れた顔には化粧が施してあった。

いつもの女装の化粧ではない。

それは闘いの戦化粧

勇猛で知られるドアダの将軍達を幾度も敗走に追いやった"剣の鬼神"の本気の姿!

挿絵(By みてみん)

封獣機神に乗る勇者達の背筋が凍りついた。

剣の鬼神が放つ殺気は、彼らが闘って来た中でも最強中の最強だった蛇王ナイトホテップに匹敵する凄まじい圧だった。

「よお、獅鳳、雷音、神羅…お前達あの化粧の剣士とやり合ったんだって? 大したもんだ」

「い、いや……あのオカマのオッさん、俺達と以前戦った時はてんで遊びだったんだ!」

雷音がゴクリと生唾を飲む。

「この猛烈な殺気、父さんに匹敵してる!」

獅鳳も信じられないと言った風に眉間が険しくなる。

「今はなき女神国の最強剣士"胡蝶蜂剣"よ。お前の本気に俺もこの拳をもって応えよう。いくぜ!!」

本気の胡蝶蜂剣に対し、鳳天もまた本気の戦闘体勢に入るのだった。

機械神フェニックスヘブンを解除し生身で決戦の地に降り立つ。

聖王は改獣の力をただ拳にのみ宿した。

巨体は格好の的

素早い胡蝶蜂剣相手に巨体はむしろ不利

この剣の鬼神に対抗するには、等身大の戦闘形態が最善手だった。

次の瞬間二人は激突した。

まず先手を取ったのは胡蝶蜂剣

彼は一瞬で間合いを詰めると鬼神剣シュドナイを振り下ろした。

しかし鳳天はそれを素手で受け止める。

その瞬間すさまじい衝撃波が発生する。

さらに今度は鳳天の回し蹴りが飛んでくる。

胡蝶蜂剣それを躱し、すかさず斬撃を放つ。

しかしそれも防がれてしまった。

ならばと再び距離を詰めようとするが、突如地面から触手が伸びてきて、モビーディックラーケンのコックピットからイサカを引きずり出し拘束してしまった。

「グーッグッグッグッグー!聖王よ、そこまでだ!お前の愛する女の命が惜しくば動くんじゃないぞ!!」

そう言って勝ち誇った笑みを浮かべるマクンブドゥバは、鳳天に向けてそう言った。

そして、マクンブドゥバに拘束されたイサカの首筋に、マクンブドゥバの触手の先端が当てられる。

「イサカ……!」

鳳天の額に冷や汗が浮かぶ。マクンブドゥバは、鳳天を挑発するようにニヤリと笑う。

「さあ、どうする?聖王様?」

「……くっ、野朗……!」

悔しげな表情を浮かべながらも、鳳天は動かない。

それを見たイサカは、目に涙を浮かべながら叫んだ。


「鳳天!!私の事はいいから早く逃げて!!!」


その声が、引き金だった。


胸が軋む――彼女を、もう二度と失わせてたまるか。


「……ふざけやがって……ぶっ殺す!!!」


鳳天の怒号と同時に、世界が一瞬、沈黙した。


時が止まった――そう錯覚するほど、誰の目にも鳳天の姿が映っていなかった。


「な……!?」

呪いの魔神が思わず呟く。


その瞬間、マクンブドゥバの背後に“すでに”鳳天はいた。

それはもはや移動ではない。“神速”ですらない。“瞬間”の概念すら追いつかない。


鳳天の拳が、沈黙を破って叩き込まれた。

驚きのあまり反応できないまま、鳳天の拳によって吹っ飛ばされるマクンブドゥバ。


「おらおらおらおらおらあ!」

そのまま壁に叩きつけられ、気絶してしまう。

「ウオラァッ!」


鳳天の拳が閃光と共に振り下ろされる――だが、その衝撃は、胡蝶蜂剣の交差した二振りの剣に吸収された。


「ぐっ……!」

腕に走る衝撃が予想以上だった。完全に力を殺されていた。


続けざま、胡蝶蜂剣の斬撃が鳳天の胴をかすめる。防いではいる――だが、反撃の余地がない。


(……速い。いや、それだけじゃない。動きが読まれている……!)


汗が額を伝う。鳳天は悟った。

今の自分は、技量であの剣士に一歩及ばないかもしれない。


「聖王よ!忘れたか?貴方が光を超える速さで動けるように、私もまた光の速さを超え剣を振るうことができる!」

余裕たっぷりといった様子で煽ってくる胡蝶蜂剣に対し、鳳天は歯噛みすることしかできなかった。



↓物語をイメージしたリール動画


https://www.facebook.com/reel/656129753538849/?s=fb_shorts_tab&stack_idx=0



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