乂阿戦記2 第四章 漆黒の魔法少女鵺は黒馬エリゴスに騎乗する-6 最強の改獣 指輪王
\超展開✖️熱血変身バトル✖️ギャグ✖️神殺し/
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さて、こちらナイア。七罪の魔女で、紫の封獣使い。今ちょっとだけ、人生最大のピンチ中です。
連合軍駐屯部隊がこんなにも近くにいたのは予想外だった。
おかげで封獣4体の相手に加えてジュエルウィッチ二機の攻撃まで受け、手一杯だ。
「うえ〜〜ん、助けてロキえも〜ん!」
「なにがロキえもんだこのドアホウが!だからさっさと逃げろと言ったんだ!」
私は必死に逃げ回るしかなかった。
ベリアルハスターから放たれる暗黒魔法、ケルビムべロスから放たれる斬撃、エリゴスから放たれる突進攻撃、ユグドラシルから放たれる光の矢、ジュエルウィッチのペアが放つ砲撃
それらの猛攻の前に我が下僕の黒雲はあっという間に藻屑と化した。
しかも最悪な事に私の封獣も次々とパーツを破壊されていく。
お前ら仮にも勇者だろ!?
6対1とかずるい!!
もうダメだと思ったその時、突然現れた援軍によって窮地を脱することができたのだ。
それはまるで映画のワンシーンのようだった。
「あーまったく!僕を前線に引っ張りださないでくれ。ぼかぁ裏方でニヤニヤ笑いながら謀略を巡らすのがスタイルなんだ。はっきりってこういうのは柄じゃないんだよ!」
四機の封獣とパズスフィンクスの間に黒紫色の魔王の如き巨大ロボが割って入ってきた。
それは山羊の角を持ち、背中から生えた翼は蝙蝠と鷲の翼が二対ずつあった。
ロボのボディーデザインはがっしりしているが決してマッシブではなく、むしろスマートですらあった。
手には巨大な刃の付いた棍棒を持っているがそれを振り回すのではなく肩に担いでいるだけだ。
ロキとナイアは通信機を通し会話する。
「やれやれ、こんな生贄回収作業なんか君が出るまでも無かっただろうに……」
「まあまあ、けどせっかくだから連中に見せてあげたら?…… 100年前の神々の戦争ラグナロクで猛威を振るった最強の改獣"指輪王"ロード・オブ・ザ・リングの力をさ!!」
「ん〜〜〜そうしたいのは山々だけど"指輪王"はまだ万全じゃないんだ。それに機体は最強でも僕自身が前線で戦うタイプじゃないからさぁ〜……でもまあちょっとハッタリかましてみるかな?」
指輪王に乗る男がそう言った瞬間、機体から凄まじい力があふれ出した。
それこそ今まで感じたことの無いほどの力強さを感じる。
そのあまりのエネルギーの強さに思わず後ずさりしてしまうほどだ。
そしてその力は敵対する四機の封獣だけでなく周囲の全てに向けられた。
……その瞬間だった。空気が一変する。
何か、封印されていた獣のような、荒ぶる“感情の塊”が爆発した。
「グギャ!グギャギャギャギャ!!」
封獣ケルビムべロスから途方もない殺気が湧き上がるのをその場の全員が感じ取った。
指輪王のエネルギー圧に力負けしない、まさに最強の魔女が放つ超殺気である。
最強の魔女ラスヴェードが歯ごたえのある獲物を見つけ闘争本能を解放したのだ。
まず一般人、黒い触手球から逃げまどっていた人達が殺気に当てられ気絶し倒れ込む。
黒い触手球は不快な叫び声を上げ、本来いる異次元空間に悲鳴を上げ逃げて行った。
羅刹の事をよく知る封獣の戦士達までもあまりの殺気に尻込みする。
もちろんその猛烈な殺気を向けられているロキが今一番肝を冷やしていた。
(うわー、やっべ!虎の穴を突いちゃったか〜?)
そんな中、羅刹の兄羅漢は落ち着いて妹をなだめる。
「……羅刹落ち着け、気持ちはわかるが相手はナイン族の代表大使だ。下手な戦闘行為は国際問題に発展する。」
羅漢の言葉に羅刹も冷静さを取り戻す。
「……そうね兄様ごめんなさい」
しかし羅漢の言葉とは裏腹に羅刹の指輪王に対する闘争欲求はさらに膨れ上がってるようだ。
(嗚呼、残念だ!あんな極上の獲物を目の前にしておあずけとは心底残念だ!)
ホッと胸を撫で下ろした後、ロキが騎乗する指輪王からからスピーカーを発した。
「連合軍B分隊のみなさーん、こちら連合軍A分隊代表ロキ・ローゲで〜す。なにやらあらぬ誤解が起き、望ましくない戦闘行為が起こっちゃたようですね〜?一旦戦闘行為を止め話し合いましょう!」
「は、話し合いってなによ!?ナイアはバスの人たちをさらって教団に引き渡そうとしたのよ!」
神羅が血色ばむ。
「え〜?誤解ですぅ〜!ナイアはバスの皆さんをB分隊の基地に連れて行こうとしたんですぅ〜!……ていうかナイアちゃん、ちょっと勘違いしちゃったんだよね〜。だって、バスの中で怪しい動きしてたからさぁ……それなのにぃ、いきなり攻撃してきたのはあなた達じゃないですかぁ〜?」
「ふざけるな!バスを襲ったじゃないか!?」
アクアが怒鳴る。
「それはあなた方が悪いんですよ?バスの中にいた人を人質に取ろうとしてましたよね?」
「「な!?」」
「あるぇ〜?ナイアちゃんひょっとして勘違いしちゃったぁ〜?テヘペロめんご〜☆」
「ナ、ナイア〜っ!!」
ナイアに煽られた神羅とアクアはユグドラシルのボーガンをパズスフィンクスに向けそうになる。
巨馬エリゴスに騎乗する鵺が頭に血が昇ってる神羅の前に立ちボーガン発射を止める。
「落ち着いてユキル!ロキ、ナイア達がいる連合軍A分隊は地球防衛軍、銀河連邦軍、オリンポス軍、ナイン族、タイラント族のメンバーで構成されてる部隊。向こう側の心象悪くしたら貴方は地球に居られなくなるわ!それに、今ヘタな火種を起こしたらロキの思惑通りになるわよ!」
「くっ……」
ロキがパンパンと手を叩き口を開く。
「ありがとうございます鵺さん、流石ですね、話が早くて助かります。それでは、お互いの代表者同士で会談を行いたいのですが、よろしいです?」
「いいわ、そっちの代表は誰かしら?」
「私、ロキ・ローゲが」
「わかったわ、じゃあ私達のリーダー、オームがそちらに出向くわ」
「いえ、我々の方から伺います。場所はここでよろしいですか?」
「ええ、構わないわ」
「では、しばしお待ちを」
そう言うと、ロキは通信を切った。
「ふう、これでなんとかなったわね」
鵺が空中の馬上でホッと息をつく。
白水晶が隣に飛んできて話しかけてきた。
「一段落……でも、オームを行かせるなんて、危険では……?」
「大丈夫、オームは強いもの。それに、何より彼が1番舌がまわるし頭脳戦に長けてる」
「了承……案を承認……」
「それより、私達は会議の準備をしないとね」
白水晶に続いて飛んできたネロが鵺に尋ねる。
「鵺殿、あのバスに乗っていた人達はどうする?」
「バスに乗っていた人達は、全員仮設救護舎入りにさせてもらいましょ。現状彼らは我々の貴重な情報源だしね」
「了解……衛生兵招集連絡……」
「よし、それじゃあ準備を始めようか」
「うん、了解だよ〜……ってなんか力が抜ける……あ、魔力切れ……」
封獣ユグドラシルを顕現していた神羅とアクアの魔力が底をつく。
二人は意識を失いユグドラシルは実体を維持できなくなった。
鵺と白水晶は慌てて神羅とアクアを空中でキャッチした。
オームが心配そうに神羅の方を見るが、彼は今から会議に出席しないといけない。
結局鵺に神羅をたくし彼は会議のテーブルに向かう事にした。
こうして、それぞれの陣営による会議の準備が始まったのだった……。