乂阿戦記1 プロローグ+第一章- 赤の勇者雷音と魔剣クトゥグァ-1 伝説の始まり
\変身ヒーロー✖異世界転移✖超熱血バトル✖家族愛✖神殺し/
普通の地球人だった俺が、異世界で“神すら殴り倒す”ヒーローに!?
プロレスで名付けられた俺の名前は──狗鬼漢児!
ここはもう、狂ってる。でもだからこそ、熱くなれる!
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※第5部は現在執筆中!気になる方はブクマで追ってください!
※過去章も随時清書中なので、今から読み始めても大丈夫!
プロローグ:神すら殴り倒す男
人間が巨大戦艦にジャーマンスープレックスを決めていた──
それが、俺が異世界で見た一番忘れ得ぬ光景だった。
俺の名前は、狗鬼漢児。
地球生まれ、プロレス好きのオフクロがノリでつけた適当な名前とともに、
平凡な高校生活を送っていた……あの日までは。
──そう、トラックに轢かれるまでは。
気づけば、そこは地球じゃなかった。
十二色の宇宙(黒・赤・青・橙・白・黄・灰・桜・緑・黄緑・水色・紫)のうち、
もっとも血と暴力に満ちた“修羅界”、その《灰》宇宙に属する惑星──それが《スラル》。
なのに夜空だけは常に黒く、《黒天》と呼ばれていた。
そして今、俺の目の前には――
巨竜型戦艦が、“生身の人間”にスープレックスされるという地獄絵図が広がっていた。
爆音が空を破り、火柱が天を焦がす。
無数の戦艦が宙を舞い、一隻が空中でひねりを加えられた末、別の艦に激突。
連鎖的に火花が散り、空はまるで戦場のビリヤード。
その中心に、たった一人の男が立っていた。
「グルァアア”ッア”ッア”ア”ア”ア”ッ!!」
彼の名は――乂阿烈。
身の丈二メートルを超える、筋骨隆々の狂戦士。
上半身は裸、下半身には血に染まった布を一枚まとっただけ。
その拳は戦艦の装甲を素手で引き剥がし、宇宙兵器すら軽々とブン投げる。
「おい……ウソだろ、素手で装甲めくったぞ……」
「空中で回転して……スープレックス!? 重力どこ行った!?」
まさに、神話の怪物。
拳の一撃で天が割れ、足踏みひとつで地が揺れる。
彼ひとりで、まるで“戦争”をしているかのようだった。
いや──違う。彼がいることそのものが、戦争だった。
「漢児アニキー!! 巻き込まれちゃうってば! 早く逃げようぜ!」
駆け寄ってきたのは、赤髪の少年。
この世界で出会った、俺の弟分。そして、この物語のもう一人の主役。
名前は――乂雷音。
「なあ雷音……あれ、まさか……お前の……」
「……うん。あれ、俺の兄貴──乂阿烈だよ」
……やっぱりか。
この《乂一家》という家族、どうやら兄妹合わせて八人いるらしい。
そして全員、規格外の“怪物”だ。
神を殴り倒し、魔女と渡り合い、冥府から蘇り、女神を嫁にし、
その拳で世界をぶん殴る。
そんな“長男”が、乂阿烈という男だった。
俺? 地球から来たただの人間だ。
でも今じゃ、《修羅界スラル》で“神殺しのバトル主人公”やってる。
帰る術と、この世界で俺が“何者になるか”――それだけは、ここで掴む。
……まさか、弟分の兄貴が、戦艦を投げる奴だとは思わなかったが。
ようこそ、スラルへ。
ここから始まるのは、神々と魔女と巨大ロボ、
そして最強の家族が入り乱れる、熱血伝奇バトル。
その序章に立つのは──
赤き魔剣に選ばれし少年、乂雷音。
彼の“伝説”が、今、幕を開ける。
⸻
第一章:赤の勇者・雷音と炎の魔剣クトゥグァ
すべての始まりは、雷音が“クトゥグァの洞”で魔剣を引き抜いたことだった。
その日、雷音は義姉・乂神羅とともに、
母・ホエルに内緒で火山ダンジョンへと向かっていた。
神羅は血の繋がらない姉だが、雷音にとっては幼いころから共に育った大切な存在。
赤髪を腰まで伸ばし、それを三つ編みにして戦う体術の使い手。
盗賊スキルと火炎魔法を得意とする雷音は、この冒険に賭けていた。
一方の神羅は、ボブカットのピンク髪に赤いリボンを飾った癒し系少女。
支援・回復魔法を得意とし、魔法を使うときには髪から淡いピンクの魔力がほのかに光る。
ふたりの目的は、かつて母が“邪神ナイアルラトホテップ”を倒した時に用いたという、伝説の武器──炎の魔剣。
兄たちも何度か挑んだが、未熟な探索スキルではたどり着けなかった。
だが雷音はついにその魔剣を発見し──そして、引き抜いた。
「……これが、“クトゥグァ”……!」
紅蓮の死骸に突き刺さった一本の剣。
柄を握った瞬間、空気が震え、剣が呻き、そして──灼熱の炎がほとばしる。
炎は死骸を包み、同時に雷音の身体をも飲み込んだ。
肺が焦げる匂い、皮膚の下を何かが這う痛み――視界が赤に染まった。
「雷音っ!? なにこれ……熱っ!」
神羅の悲鳴が届く前に、雷音は炎の渦の中心へと閉じ込められる。
──そして現れたのは、龍の姿を宿した少年。
赤い鱗に覆われた体。
蝙蝠のような翼が背から広がり、ねじれた角が額に生え、黄金の目が炎の中で妖しく輝く。
その姿はまるで、神話の竜と悪魔が融合したような、終末を呼ぶ“災厄の象徴”。
「きゃあっ、雷音が……化け物に……!」
だがその声に応じたのは、変わり果てた姿の雷音だった。
「……落ち着け、神羅……!」
その声は確かに、雷音のもの。
拳を握りしめ、意志を込めて目を閉じる。
その魂が、魔を制し、炎を鎮めていく。
やがて炎は静まり、霧のように姿を変えていく。
そこに現れたのは──いつもの少年、乂雷音だった。
「ふう……なるほど。母さんが言ってた通りだ。炎の魔剣は、俺に“龍変身”の力をくれるらしい」
「……でも、魔剣の力って、むやみに使ったら呪われたりしないの?」
「さあな。でも今は、そんなこと気にしてる場合じゃない。とにかく、ここから出よう」
「……うん、わかった」
こうして冒険は始まった――《クトゥグァ》の炎に、何かが応じる気配も知らないまま。
連載を再開しました。毎日夜8時に更新予定です。個性ある登場人物たちの活躍をお楽しみください。
↓小説のイメージリール動画ぼちぼちと再アップ始めてます。Facebookは引退になると思います。
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