さよなら幼馴染
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
───異性の幼馴染
それは別れの代名詞。
理想の二次元においては何をしてなくても好意を向いてくれるのが特徴だが
現実は違う。
必ずしもこちらに好意を向けてくれるわけでも無いし、段々と疎遠になっていくのだ。
そして、現在。私の幼馴染の結婚報告を受けた。
直接連絡がきたわけではなく、私の友達の友達から又聞きしたものだ。
別に滅茶苦茶好きだったわけでもない為、特に寝取られたといった喪失感は全く感じないのだが
しかし、どこか物寂しさを感じる。
「仲が良かった時に『付き合って』と言ったら付き合えたんだろうか。」
そう、一人でつぶやく。こんな事を呟いていても年齢=彼女なし歴は変わらないし、格別好きではないのに好きだと自分自身を騙しながら付き合ったとしてもそう長続きもしないだろう。
しかし
もしも、と考えてしまう。おそらく今後も独身の可能性が大きい私にとって、この幼馴染が異性と深く関わる最初で最後のラストチャンスだったのではないかと後悔とも言えない何かが残り続ける。
この感情が恋なら、私はここで泣くべきだ。この感情が焦燥なら、婚活をするべきだ。この感情が嫉妬なら、誰かに愚痴るべきだ。
「まぁ、そんなのは後の祭りだな」
そう自分自身に言い聞かせる。結局の所、この感情は幼馴染に対して恋をしていたのか、はたまた焦燥なのか、それとも嫉妬か。それは誰にも、自分自身にも分からない。不明なままで良いのだ。
まぁ何はともあれ
「───さよなら幼馴染」
誰も居ない部屋でそう呟いた後、私は一人、眠りに着いた