あかるいね
聞きたいんだあの声が。
聞きたいんだその声が。
聞きたかったんだこの声が。
顔も知らない、
名前も然程知らない、この声を。
夜がいいねと零した君と、
夜はいいねと澄ます僕。
君の声を知ってから、
聞いて聴いて、また聞いて。
声に侵され、声に伏し、
またこの声に癒える夜。
毒にしないよう心掛けたって、
僕はもう侵されていて。
真夜中に窓から抜け出す君は、
唇へ触れてこっそりと。
小さな部屋の片隅で、
君が置いてった声を聞く。
類のないその声を、
僕は今宵も所望して。
耳を澄まして瞼を落とし、
星を眺める事も忘れてしまった。
眠り過ぎて見ていた幻、
またねって水を飲む。
これからも会うことは無い、
顔も知らない、
名前も然程知らない、君の声。
耳を澄まして聞いた夜、
目を開いて見上げた空には天の川。