表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

きみと蝉時雨

作者: 絃央


きみに出逢えてよかった。いつだって、心底思ってきた。

けれどこれ以上一緒にいたら、そうやって思えなくなってしまいそうなの。きみを嫌いになりそうなわたし自身が、怖くて仕方ない。


そう思ってきみを呼び出した、いやに蝉の声がうるさい放課後。


「もう、終わり?」


ふっと微笑んだ彼の儚さに、苦しいほどの何かがせりあがる。__けれどきっと、わたしたちに“この先”はなくて。


びゅうっと吹いた風が、わたしたちの間を抜けてゆく。落ちるはずのない葉がはらりと木から落ちる。

どこかで見た、夏の落葉は防衛本能らしいという言葉が頭を巡る。


はじめての告白も、はじめてのデートも、全部全部きみだった。いつからかすっかりきみに依存してしまっていた自分になんか気付きたくなかった。


「今までありがとう。どうか幸せになって。」


泣かずに笑うあなたの強さが、いつだって眩しかった。

くるりと踵を返して遠ざかる背中に手を伸ばしかけて、そんな資格がなかったことを思い出して腕を下ろす。


「わたしだってだいすきだったよ…っ、どうか、幸せになって…!」


残されたのは、わたしと蝉時雨だけ。

どうしたって自分がいちばん馬鹿だってわかっていて、だからこそ、ふと思い出すきみの残像に縋りたくなる自分に蓋をした。

いかがでしたでしょうか( ; ; )

読んでくださった方が少しでもこの作品を気に入ってくださることを願っております…!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ