魔王の森へ
学園へ向かっている紗良達と別れ、魔王の森へ向かう結衣とルナウス
「魔王の森に行くと言わなくて良かったのか?」
「アウレールが、いる所で言えないでしょ。ただでさえ、よく思われていないのに。」
「それもそうだな」
「ところで、ルナウスってあの扉通れたの?」
「ああ、それはな……お前を呼びに行った方が良いかと思って………扉の前に行って………どう伝えようか迷いながら……扉に魔力を送り込んでみたんだ……」
途切れ途切れで話す、ルナウス。
その顔は苦笑い。
「そしたら……その…扉が……開いて……気づいたら……あそこに……ほんで………お前の声が……聞こえた……」
「なるほど……」
「あいつらも、お前らが来るの待っていたみたいだったろ?」
「やっぱりそうよね、私も気になってたの」
「この森が虹色に輝き始めたんだ」
「虹色に?」
「ああ、お前の瞳のように」
「まさか」
「そう、お前が関係してると思われてる」
「はぁー、相変わらずなんなのよ」
「相変わらずおかしいってことだな」
相変わらずの会話をしながら森の奥に足を進める。
すると、森の奥に虹色の光を放つ場所が見え始めた。
「確かに私の瞳のようね」
「だろ?」
さらに足を進め、森が開けたところに行き着いた。
そこには昨日あったばかりの魔物が現れた。
「来たか……姫巫女……」
あの魔物ではあるけれど、雰囲気や形が違う。
そこにいるのは、黒く竜の姿をした巨大な魔物。
「あなた……邪竜だったのですか?」
「嘘だろ……」
私とルナウスは、その魔物……邪竜の姿を見て驚きを隠せないでいた。
邪竜とは、この世界で伝承や神話となっているものであり、かつて魔物の王と呼ばれた存在。
「そうだ……」
「矢を放ってしまったご無礼をお許しください!!」
私は急いで地面に平伏した。
私の隣でルナウスは慌てている。
「謝らなくていい。姫巫女は、守ろうとしたのだろう。あの人間共を……」
「ありがとうございます。はい。」
「敬語もやめろ。姫巫女。」
「え…それは……」
「いいんじゃね?良いって言ってくれてるんだし」
「お前には言ってないがな…」
「……ケチ……」
「ふふ」
ルナウスと邪竜の息は謎にあってて笑ってしまう。
「笑うことではないぞ、姫巫女」
「ごめん……ふふ」