もう1つの世界へ
次の日。
みんなは荷物を持ち、待ち合わせ場所である。
学校の裏にある。
森に集まった。
「おはおはおはー!」
「お……はよ〜……」
「おはよう。紗良、雫。」
続々とみんなが集まる。
全員が集まったことを確認したあと、私たちは、森の奥に足を進めた。
木で出来た扉を探すために。
森を開けて、崖近くに虹色に光る壁のような扉が見える。
森から突き抜けているが、私以外にこの世界で見えるものはいなかった。
「すっごく大きい扉……」
「こんなのあった!?」
驚く紗良と雫。
他のみんなは唖然としてる。
「あったよ。でも、私しか見える人はいなかった。」
「どうして今俺たちにも見えるんだ?」
「昨日私の力に触れてしまったのと、あの魔物とあってしまったのが原因だと思う。」
そう説明し、私は扉の封印を解いた。
「準備は出来たよ。」
「よーし、出発!!」
「おおー!!」
紗良の言葉にみんなが緊張したように返事をした。
それを聞いて私は呪文を唱える。
「我が力ここにあり。二つの世界を繋ぎし門。今こそその扉を開き、我がものたちを通らせよ。」
唱えるのと同時に、門は虹色に輝きながら扉が開く。
周り一面が虹色に輝き。
真っ白になる。
次に目を開けるとそこは………
「わぁー!!凄い!!お城!!!」
「綺麗……」
「これが……もう1つの世界!?」
「ほんとにあるんだな城なんて……」
「ここは学園よ……」
「えー!?そうなの!?紗良ここに通いたい」
みんなが騒いでる中、紗良は私にキラキラめを向ける。
「お望み通りに、ここにいる間はこの学園に通うことになるよ。」
「ほんと!?嬉しい♡」
「まさか、うちがお姫様みたいな経験をするとは……」
「俺が王子様………」
「お前ら………きもい………」
「みんな大丈夫………?」
キャーキャー喚く、紗良、雫、直翔。
それを引きながら見てる瑛人に、あたふたしている優希先輩。
ほっとしてその姿を見ていた私たちに近づいてくる1人の男性。
「ようこそお越しくださいました。ここが貴女方で言う、もう1つの世界、その中のメリアンローズ王国です。」
サッと礼をし、私たちの姿勢に合わせてくれる。
年配の先生。
何度も授業を受けた先生。
「お久しぶりです。アウレール先生。」
先生と同じく礼共に挨拶をする。
リアルな姫や貴族がするであろう挨拶を見て、紗良と雫が悲鳴をあげる。
(少し大人しくしてて……)
「お久しぶりですね。現姫巫女。」
ニコッとこちらに顔を向けてくれる。
アウレール先生だが、目が笑っていない。
そらそうだ、私は嫌われている。
実際に名前ではなく、現姫巫女と呼ばれたしね。
「アウレール先生。みんなに、この国と学園。寮についての説明をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「ええ、もちろんですよ。そのために参りましたから。」
(遠巻きに、お前に用はないと……ね?)
「ありがとうございます。では、お願いします。」
「みんな、アウレール先生が、説明をしてくれるからしっかりと聞いてね。」
微笑みながら言うと紗良が首を傾げながら聞いてくる。
「結衣は?」
「私は調べたいことがあるから」
「一人で行くの?危険ではないの?」
「大丈夫。1人じゃないから」
「俺がついているから、大丈夫だ。お前らは早くそいつについて、この国について教えてもらうといい。」
不安そうな紗良と雫。
「大丈夫よ。優希先輩。紗良と雫をお願いします。」
「ああ、もちろん。任しな」
いつもの優しい笑顔でそう答える優希先輩。
優希先輩が、いるならば紗良も大丈夫だろう。
「じゃあ、またね」
私はみんなに手を振り、ルナウスと歩き始める。
「さぁ、皆さん。私達も行きましょう。ご案内します。」
「は、はい!」
アウレール先生を先頭に歩き出す。
「結衣大丈夫かしら?」
「うーん、紗良も心配……」
「紗良と雫よりは安全だと思うけどな」
「同感」
「なんですって!」
「たぶん、大丈夫だよ。あのルナウスくんも結衣ちゃんのこと、守ってくれると思うしね。」
「そうなんですか?優希先輩。」
「うん、結衣ちゃんに向けてる目線は凄く優しい目をしていたよ。僕達に説明をする時よりも」
「それは、俺らは初めて合うやつで、結衣のことは知ってるからじゃないんですか?」
「そんな風には僕には見えなかったけどね」
「えーなにそれー、気になる」
5人で話しながら歩く。
その話を聞きながら、後ろを振り返りアウレール先生が口を開く。
「みなさんは、本当に仲が良いのですね。」
「うん!仲良しだよ!!」
「そうなんですね。なら、少し辛いかもしれませんね」
「何がですか?」
「みなさんは、学園に通う間、現姫巫女様とは絡まない方がいいからですよ。いえ、絡んではいけませんからね。」
5人が固まる。
「どういうこと!?結衣と絡んじゃダメって!」
「そうよ!意味わからない!!」
「2人とも落ち着いて………どういうことかご説明お願いできますか?」
2人を落ち着かせ話を聞こうとする、優希先輩。
「はい、説明をしますよ。でも、その前に学園に着きましたので、そちらの説明を学園長にお願いしましょう」
アウレール先生は、ニコッと笑い扉を開けた。