説明と選択
「結衣!!」
結界を解くのと同時に紗良が私に抱きついてくる。
「今の何!?その人誰??」
「わかるように説明してよ!」
紗良と雫が泣きそうな目で私を見ながら叫んでいる。
その後ろで、先輩と同級生の2人も見てくる。
内緒にしておきたかったけど、仕方ないわね。
「説明するから、少し集まってくれますか?」
優希先輩に目で助けを求めると頷いてくれた。
私の後ろでそれを眺めるルナウス。
「ルナウス、説明するから、一緒にお願い出来る?」
「いいぜ。お前の頼みなら」
そう言ってニヤと笑う。
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ある教室に移動し、一応周りには話が聞こえないように結界をはる。
そして、みんなの方に向き直る。
一息をつき、私は話し始めた。
「信じられないと思うけど、私は1年前もう1つの世界に行ってしまったの。そこで、姫巫女という、その世界で1番の魔力を持つものとして選ばれた……………」
姫巫女という存在は何か。
そして、さっき私たちを襲ってきたのは、その世界に住む魔物という生き物であること。
でも、本来はこの世界にはいないこと。
向こうの世界に異変が起こ、こっちに通じてしまった。
理由は分からないけど助けを求められたこと。
私はその世界に行かなければならないこと。
「どういうこと??」
「訳が分からない。」
(そうだよね……)
「分からなくてもそういうことだ。そして、お前らには、向こうの世界に着いてきてもらわなければならない。」
「どうして?」
「この世界と繋がってしまった以上。魔物がいつ現れるかわからないの。」
「結衣がいないと、お前らを守るものは誰もいないってことだ。死にたくなければついてこい。」
ルナウスが私の話の補足をしてくれる。
「みんなのことは、私がちゃんと守るから。一緒に来てくれるかな?」
ほんとはもう二度と行きたくない。
でも、こうなった以上行かなければならない。
「分かった!紗良はついて行く!!だって結衣がいるもん!!」
「紗良が行くならうちも行くわ。結衣と紗良だけ行かせられないもの。」
「紗良と雫が行くって言うなら、俺らも行かないとな瑛人。」
「そうだな。お前ら2人をいらん事しかしないからな。」
「な!なんですって!」
「みんなが行くというのなら僕も行くよ。部長としてみんなの安全を保証しないといけないからね。」
そういい。
みんな承諾してくれる。
「ありがとう。早速で申し訳ないんだけど、明日には出発したいの。だから、今日は家に帰ったら準備して欲しい。生活に必要な物は向こうにあるから、借りたりすることはできるけど。」
「必要なものがあれば準備しておけ。戻ってきた時は、そう時間がたったように思わない。時間の進みが違うからな。」
やはり、ルナウスが不足をしてくれて、話は終了する。
みんな各自に話をして、その場は解散となった。
「結衣……」
「ルナウスどうしたの?」
「大丈夫か?」
「大丈夫……今度は1人じゃないから」
「そっか……まぁ、何があっても俺が傍にいるから」
「うん、ありがとう。」
(不安しかないけれど、仕方がない。みんなの事は私が守る。絶対に)
そう、心に誓った。
横で心配そうに私を見るルナウスには気づかずに……