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なろう転生と主役の座  作者: 妄想のまえりー
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#3 新入生トーナメント

アルスラのチートスキルは神ぱぅわーだよ、どんな能力かって?オレに聞くな!




新入生達が校門を通り抜けると学院の教師に有無を言わさず5組に振り分けられた。

僕は1組の一番手だと言われて分けられた班と並んでしばらく待機して。

組み分けが終わるとすぐに魔術学院闘技場に通された。


僕は先に闘技場の四角いだけの石造りのリングに登っていた。

白亜竜の皮を鞣して作った白い魔導衣。

竜の牙を使った細身の両刃剣、銘剣リブルムフェンサー。

円状に広がった観覧席と土の上に建てられた碁盤のような四角い舞台にて、万全の状態で僕は相手を待った。


そして彼は入ってきた。


ボサボサ頭の黒髪、水晶のようなキレイな瞳でも目つきは鋭く爛々とギラついている。

顔立ちは整っていても左眼に流れるような痛ましい傷痕が伸びていた。

細身だが筋肉質な体に袖のない黒い肌着と作業着なんかに使われるあや織りの黒いズボン。

腰には錆色の両刃斧と思われる武器。

左腕だけはめた手枷、それから鎖をぐるぐる巻きにしてもう一方のやたら大きい手枷は左手の先に垂れていた。


(細身で軽装…獲物は僕の剣よりは重そうだけど腕の鎖は籠手代わりかな…)


リブルムフェンサーが重量で折れる筈もないが、万が一という事もある。

僕は相手に何もさせずに勝つ事にした。


「新入生トーナメント!魔法剣士アルスラ対斧使い"キッド"!試合開始ぃ‼︎」


号令と共に僕は最速で魔術を行使する。


「拘束魔術・(アースバインド)


魔力を放ち言霊を持って超常の現象を起こす。

瞬間、石造りのリングの床の一部を媒介に鎖を錬成。

地面から伸びて拘束するような鎖が斧使いのキッドの体をその場に固定させる。


「創造魔術、発動‼︎」


ここで必勝のユニークスキルを発動、相手を拘束してる以上かわされる心配もない。


(相手を埋め尽くす程の砂)をイメージする。


拘束された斧使いのキッドの頭上の空間が歪み、瞬時に大量の砂が降り注いで彼を埋め尽くした。


リングの上に大量の砂山ができて無惨にも斧使いのキッドを生き埋めにした。


「よし!」


鎖で拘束した上で死なない程度に相手を戦闘不能に追い込む。

あとは窒息する前に頭だけ出してあげれば相手から降参の意を示すだろう。


魔力感知(マナセンス)


一応、生き埋めになった相手の反撃に備えて魔力の気配を探る。

幸い魔力の揺れは感じない、おそらく鎖をかき消せる解呪や砂を吹き飛ばせる衝撃波などの魔術は使えないのだろう。


(頭を出してあげなきゃ)と思って砂山の上の部分をさらおうと次の魔術を行使しようとした。


その時だった。


「な⁉︎」


砂山の一部が吹き飛び、砂塵を撒き散らして斧使いのキッドが飛び出してきた。

衝撃波の魔術を行使した気配はない、しかし飛び出てきた彼はすぐさま体を捻る。


「おおおおぉるぁッ‼︎」


渾身の投擲、狙いへ叩きつけるような強力なスローイングに僕は咄嗟に右手側に避ける。

すぐさま剣を構えて真っ直ぐに迫ってくる相手に対応する。


真っ直ぐ愚直に突っ込んできたキッドは垂らしていた手枷をフィストガードみたいに握り込んでいる。

すかさずリーチの差を活かそうと軽い突きで牽制する。


「ふんッ‼︎」


だが、相手は僕の剣の切っ先に右の掌を叩きつける。

肉を貫く感触が伝わった。


「おおあ"ッ‼︎」


そのまま彼はさらに剣を自分の手に刺し込み、そのまま剣を握った僕の右手を掴んだ。


「え、ちょ⁉︎」


理性がないのかと問い掛けそうになった瞬間。


「しんどけえッ‼︎」


と言い放ち、僕の顔面に鉄塊が叩きつけられた。


こうして僕は新入生トーナメントを最速で敗北した。

その時間、わずか10秒。





そして現在。


「おい"10秒"が来たぜ」

「歴代最速ww」

「おいおいやめろよあれでも150位なんだぜw」

「「ドベじゃん‼︎」」


と、クラスを沸かせている。


人気者はツラいな〜。


などと言えたら良かったのだが、負け犬の僕は魂が抜けていた。


翌日になって新入生達はトーナメントで振り分けられた組がそのまま一つのクラスになった。

一クラスは30人、基本1人のクラス担任が付いて学ぶ教科によって専門の担任がつく。


異世界の学院とはいえここは学校、自然とクラスカーストができる。


カースト最下位チート転生者アルスラ・プロット(笑)でーす。


と、自分を嘲笑する自分の声が自然と沸いてくる僕は集中できていない。

担任の先生が何かを話しているがまるで聞こえてはいない。


しかし担任の先生が呼んだ1人の青年の名前に僕の意識は引き戻される。


「えー、1組主席"キッド"くん」

「な⁉︎」


斧使いのキッドは新入生トーナメントに優勝していた。


「キッドくん、是非みんなに自己紹介してー」


ここでようやく担任の先生が若い女性だと気づく。

白い魔導衣と色を合わせたボリュームのある帽子をかぶっている胸が立派な女性だ。

ファンタジーによくある何故か谷間を協調させた装いである。


谷間が立派な先生に言われて斧使いのキッドは一番後ろの席から前へ出て黒板の前に立つ。


「キッドだ、ただのキッド」


それだけ言った。

谷間が立派な先生は困り眉を作ってオロオロとしている。


「え、えーと出身だとかファミリーネームだとか言ってくれるかな?」

「"岩の都"出身」

「わあドワーフが領主の鉱石資源の国ですねー」


先生が無理くり盛り上げて話題を作ろうとしているが、ただのキッドはその気遣いを一刀両断する。


「"奴隷"だった、だから下にも上にも着く名前は無い」

「あ…」


転校の理由を聞いたら夜逃げしてきたとか両親が亡くなったとか言われたような空気になって、先生が真っ先に凍りつく。


キッド、こちらの世界でも小僧とか少年だとかガキだとか言う意味がある。

つまりは実質彼に名前などないのだろう。

ただキッドと呼ばれて生きてきただけ。


「そんなのありえないわ‼︎」


すると一番前の席に座っていた栗色のポニーテールの女子が机を叩きながら立ち上がった。

そんなベタな。


「奴隷なんて国王が禁じている筈よ!労働階級の間違いでしょ⁉︎」

「なに言ってんだてめぇ?」

「たしかに労働階級は基本的には貧しいけど市民権と戸籍が与えられている、あなたの家がどんなのか知らないけど奴隷なんて言い方は変よ‼︎」


噛み付くような少女の言動にキッドは見下すように睨み付ける。


「はぁ?てめぇはなんだ、アレか?アレなのか?えーと…"世間知らず"ってやつか?」

「なんですってぇ⁉︎」


アカンこの子頭ガチガチや。


「国王とかいう奴が禁止したら奴隷がなくなるなんてそんなわけねーだろ、下には下がいるんだよ」

「な、何を言って…」

「ミリアさん」


険悪な空気を断ち切ろうと先生が間に入る。


「残念ですが奴隷を禁じているのは光の都のみです、実態は各都と領地の自治と裁量に任されています…」

「そんな…」


ミリアと呼ばれたポニーテールの女子は奴隷がいるという事実にショックを受けていたみたいだった。


(まあ、奴隷の境遇は領地によってまちまちだけど…)


僕の領地にも奴隷階級はいた。

ただ父の考えでは奴隷を買い入れるのは余計に金がかかるからキチンと福利厚生を立てて大事に扱ってあげるのだと言っていた。

ミリアさんにはいつかその事を教えてあげよう。


「と、とにかく初夏に組対抗の団体戦があります!生まれはともかくキッドくんはとても実戦力に優れていますのでとっても頼りになるリーダーですよー!みんなでしっかり勉強して鍛錬して団体戦に勝ちましょう!」


最悪の空気の中先生は早口で捲し立てる。


「えいえいおーッ‼︎」


みんな冷ややかに先生の意気込みを見ていた。




斧使いに負けたよこいつ、オーノー!

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