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なろう転生と主役の座  作者: 妄想のまえりー
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#1 転生

ざっくり転生するまでの描写




29歳、僕の人生は終わった。


意識が遠退き、思考が靄になって潰えて行く感覚に沈む。

そうして自分が無になって行くと突然に突き抜けた。

何を言ってるのかわからねぇだろうが、ざっくり死後の経験というものだ。


僕はいつの間にか映画でしか見た事無いような煉瓦造りの駅に居て、側にはシルクハットを被り英国的文化な装いのまさしく紳士といえる見た目の男の人とベンチに座っていた。


「唐突かもしれないが時間だ」

「あ、はい…」

「列車が来たら君は乗らなきゃ行けない、もう帰っては来れないが乗るんだ」

「はぁ…」

「君には今すぐ死んでしまいたいという人生を歩ませる事しか出来なかったね…でも一応聞かせてくれ、"心残りは?"」


僕は一拍置いてこの見知らぬ紳士の正体に当たりをつける。


「神様?」

「そう思ってくれて良い」

「僕の事がわかるの?」

「みんな知ってる、君が知ってる人達の事も君が知らない人達の事も」

「じゃあ列車に乗ったらどうなる?」

「他所の駅に行く、降りる場所は決まってるから何も心配はいらない」

「降りた後は?」

「君は生まれ変わってる」

「転生?」


そう聞くと紳士は上品に吹き出した。


「最近はそう聞く人が多いな、面白いのかい?」

「いや…あんまし…」

「じゃあなんで?」

「読みたいわけじゃないけどスマホとかで簡単に見れて、退屈が凌げるならまあ良いかなって…」

「あぁ、暇つぶしってやつか、週刊誌を買ったらついつい興味のない記事も読んでしまうようなものだね」

「それは…」

「ああ、君はマンガ雑誌しか買ったことがないものね…ようはアレだ、興味ないけど新連載を確認してしまうやつだよ」

「ああ…」

「スマホは便利だからね、手元にあれば無限に時間を潰せる」

「そうですね、もったいない気もするけど」

「誰もがいつでもするべきことを見出せるわけじゃないさ」

「ですね」


僕は紳士と笑い合った。

しかし次の瞬間に紳士は物憂げに僕を見つめる。


「黒谷 充くん、幸せな人生を与えてやれなくてすまない」


その言葉に僕は自分が死んだ事を思い出した。


「誰もが幸せになる資格がある、けれども満足な人生を神様が与えてやる事は出来ない、我々はいつも君達を見守るばかりだ…」


泣き出しそうな紳士の顔を見て。


「君だって本当はもっと長生きが出来たんだ、それが寿命の半分も経たずに…」


僕は思った。


「大丈夫です」


辛い人生だったけど、嫌な結末だったけど。


「神様に会えて、話すことができたから…」

「どうして?」

「なんか、ホッとしたんです…世界中の誰も僕の事を知らなくても、神様が知っててくれた事が…神様は僕の気持ちも全部知っててくれたんですよね?」


僕の問いかけに紳士は泣き出しそうな顔が変わった。


「みんなの心を知ってるよ」


とても嬉しそうにそう言ってくれた。


「話を戻そう、次の世界なんだけど…」

「剣とか魔法とか?」

「そう、それ」

「お約束ですねー」

「まあ、僕達もあんまり惨たらしい世界には送りたくないから…」

「僕もイヤです…好奇心で聞くんですけど、例えば?」

「あ〜、極悪人を主に送るんだけど…肉体を剥奪して魂に生前の苦しみを永遠に味合わせる世界」

「地獄は本当にあったのか…」

「それでね次の人生なんだけど、君に一つだけ素質を与えようかなって」

「それが知りたかった!」

「要望は?」

「えーと、じゃあ…」


それから僕は紳士に遠慮なくお願いをした。


「僕も、神様みたいになりたい」


紳士は気前よく全部受け入れてくれた。


それから僕はレールを渡ってきた列車に乗る。

紳士は穏やかに微笑んで送り出してくれた。


列車が真っ暗なトンネルを走っている間、僕はこの光景に浮かぶ疑問を並べていった。


何故列車なのか?僕は鉄オタではなかったのに。

そんな事をぼんやりと考えていると。

列車がトンネルを抜けた。






トンネルを抜けて光に包まれると同時に僕は意識を取り戻した。

身動きが出来ず母親の"産道をくぐってる最中"だった。


「んぎいいいいいいぃ‼︎」

「もう少しだ‼︎"セミラ"‼︎頭が出てるぞ‼︎」

(このタイミングかよ⁉︎)


てっきり産声を上げるのだと思っていた。


結局、父カールの賢明な応援を聞きながら、母セミラの産道を潜り抜けた。

それからへその緒を切り離しケツを叩かれて、仕方なく大声で泣いた。




特に内容がないよう

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