コント お嬢様の憂鬱
お嬢様学校
ボケ:先輩 ツッコミ:後輩
先輩「しおりさ~ん」
後輩「お姉さま、どうなさいましたの」
ゆったりラウンジでティータイムをしていた後輩の元に先輩がやってきた
先輩「わたくしは悲しんでるのですわ、とっても悲しんでるのですわ」
後輩「まあ、何をそんなに悲しんでいらっしゃるのですか」
先輩「この世の中についてですの」
後輩「・・・・・・・・またずいぶんと大きなお話ですわねえ。でもそんな大きなこと、まだ学生の身であるわれわれではどうしょうもできないのではございませんか」
先輩「何をおっしゃっていますの、確かに世界は大きい、でも我々だってその世界を構成する一部。であればたとえわたくしたちにできることが小さくても、その小さなことが世界を変えることだってあるはずですわ」
後輩「そう・・・かもしれませんが、具体的には何をなさいますの、募金活動とかですか」
先輩「何と小さい、そんな小さいことでこの世界が変わりますの」
後輩「さっき、小さいことでもいいっておっしゃっていたような」
先輩「ふふ~ん、私たちにできること、それは・・・・・・・・」
後輩「それは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
先輩「選挙ですわ!」
後輩「それって募金活動よりも小さいんじゃ」
先輩「何をおっしゃってますの、選挙とは国のリーダーを決めること、つまりはこの未来の未来を決めることですのよ」
後輩「それはそうですけど・・・・・・・・・・・今はどのような方が立候補されているんですか」
先輩「それは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
後輩「知らないんですね」
先輩「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
後輩は席を立つと近くにおいてあった新聞を持って再び席に着いた
後輩「近々行われる選挙で立候補されている方は三名いるようですわ」
先輩「あら、結構少ないんですわね」
後輩「そうですかね」
先輩「だって、当選すればいずれはこの国のトップになれるかもしれないのですのよ、それなのにたった三名しか立候補されないなんて、はあ、それほどまでにこの国には魅力がないということでしょうか」
後輩「う~ん、選挙するには肉体的だけでなく経済的スタミナも要求されますから、そういった点で立候補者が少ないのかもしれませんよ」
先輩「そういうものかしら」
後輩「えっと、今当選最有力とされているのが、芝正志さんというかたですわね」
先輩「どういった方なのかしら」
後輩「え~と、この方はスポーツ万能、容姿端麗、我が国の四大財閥のご子息だそうですわ」
先輩「相変わらず、この国の方々はミーハーというかなんというか、能力と容姿や家柄は無関係でしょうに」
後輩「まあ、そうですわね。この方が公約しているマニフェストはお年寄りに優しい世界、だそうですわ。お年寄りがやすめるベンチを置いたり、お年寄りを外に連れ出したり」
先輩「最近お年寄りにすり寄ったマニフェストを掲げる方が多いようですが、実際どうなのでしょうか。」
後輩「社会的に弱い立場の方に寄り添うのはよいことではないのですか」
先輩「それはそうですが、皆が皆弱い立場と言う訳ではありませんし、あまりお年寄りに肩入れするとこれからの社会を支えていく若者たちの働く意欲をどんどん失わせかねませんわ」
後輩「それは、そうですわね・・・・・では、こちらはどうでしょう。女性支持ナンバーワン田代百合さん」
先輩「昔は立候補者といえばほとんど殿方ばかりでしたけど最近では女性の立候補者もよく見るようになりましたわね」
後輩「お姉さまはいったいいくつですの・・・・・・・この方が掲げているマニフェストは女性の生きやすい生活ですわね。具体的にはユニフォームをすべてスカートからズボンにするとか」
先輩「女性の働きやすい生活ですか。確かに性別で差別を受けるのは良くありませんわ。でも、わたくしは女性としての幸せもほしいですわ。」
後輩「お姉さま?」
先輩「好きな殿方とデートして、結婚して、子供を産む。もしもその殿方の家柄が高くなくて我が家から結婚を反対されたとき、彼が窓から私を連れ出して外の世界に連れ出してくれる」
後輩「お、お姉さま?」
先輩「いなくなった娘を必死で探すお父様、娘は愛する殿方と慎ましいながらも幸せな生活、そんな生活も長く続かず、ついに」
後輩「おねえさまああああ」
バシン
後輩は丸めた新聞で思いっきり先輩の頭を殴った
先輩「な、なにをするんですの」
後輩「お姉さまを空想の世界から呼び戻したんですの」
先輩「それにしても、どの方も言ってることはごもっともなのですが・・・・・どうも」
後輩「そうですわねえ、役職によってできることの限界もあるでしょうし」
先輩「ところで、これはなんの選挙ですの」
後輩「ちょっと待ってくださいまし」
そう言うと後輩は丸めた新聞紙を再び広げた
後輩「・・・・・生徒会選挙ですわね」
先輩「募金活動でもしに行きましょうか」