第207話 『蒼也 初めて呪文を唱える』
昨日に続いてトランドの『泊まれない宿』の続きです。
ホテルでは朝早く旅立つ客のために、食堂が5時から開いていた。
いつもより早い朝食を取って開門と同時にトランドに行くことにした。
こいつのせいなのに訓練もかねて、途中まで俺の自力転移で行くとかぬかしやがるから、本気で怒ってやった。
誰のせいだと思ってやがんだ。
奴は渋々、次の機会にすると引き下がった。
ホントにこの野郎は……。
宿を用意してもらったのに、そのままいなくなるのは失礼なので、魔導士ギルドにはキリコに挨拶にいってもらうことにした。彼にはそのあと我が家に戻ってもらう。
というか、奴がそう命じたのだ。
なんだか都合よく使ってばかり悪いとは思ったが、キリコは他にも仕事があるので、自由時間があった方がいいようだった。
さて以前と変わらず、ちょっと埃臭いトランドの通りを歩いていくと、店の前を箒で履いているバーコード頭の男がいた。
宿屋の主デンだった。
彼は殊勝なことに自分の宿屋だけでなく、その左右お隣さんの店先まで掃除していたのだ。
あの時の狸オヤジの雰囲気から想像がつかない。
人は見た目で判断してはいけないというが、このオヤジもこういう面を持っていたのか。
オヤジにすぐには声をかけずに、宿の開いた窓の中を覗いてみた。
1階は他の宿同様、食堂になっているのだが、中には誰もいなかった。
というか、ここしばらく、このオヤジさんしかこの食堂にいなかったのが残留オーラでわかった。
宿屋としてだけでなく、食堂としてもやっていけなかったようだ。
チラリと俺が隣の奴を睨むと、素知らぬふりして上を向いた。
「あの、ウチに御用で?」
オヤジが恐る恐る近寄って来た。
「ええ、ここ宿屋ですよね?」
するとオヤジは、少しピクッと肩を動かした。
「えぇ……。そうで、そうでさあけど、お客さん、お泊りさ、なられる気で……?」
そう言うオヤジのオーラは弱々しく揺れている。
以前のずる賢そうな雰囲気は引っ込んで、今や慣れない仕事をしている小僧のようにオドオドしている。
心なしか前と比べて痩せた、いや、やつれた感じがする。
俺は本当に申し訳ない気がしてきた。
「私たちハンターでして、これを読んでぜひ腕試しをしたいと思いまして」
と、例のタブロイド紙をオヤジに見せた。
それはあの『アジーレ・ダンジョン』の前で特ダネを取ろうとしていた、*情報屋チコの務める出版社が出している『|ジ・スライ・フォックス《ずるいきつね》』だった。
(* 第157話『偵察任務』参照)
あのバレンティアの町とは結構離れているはずなのに、よくまあこんなネタを掴んだものだ。
これも後で知ったことだが、彼ら情報屋には彼らなりのネットワークがあるようだ。
そうやって遠方の事件やゴシップなどを交換し合い、メシの種にしているのである。
「そ、そいつは……、ぇぇ、ぇえ、確かにそうでさあ。そうでさあすが(そうですが)……」
デンのオヤジは喜ばしいような、困ったような、顔七変化を繰り返しながら昨夜の出来事を話した。
昨夜開かずの扉が全部解放されたのだ。だからせっかく力試しに来ていただいても、試す怪異が無くなってしまったのだと、面目なさそうな顔をした。
もちろんそんな事は知っている。
だが、そんなことは気取られてはならない。
「ああ、それは残念です(棒読み)
じゃあ、もう泊まれるんですね?」
「え、ぇえ……、そのはずさあすが(そのはずですが)……」
デンはまた手を腹のあたりでモジモジさせた。
オヤジ曰く、昨夜のことで1人ということもあり、怖くて中に入れなかったと言う。
ドアも直接手で触らず、火掻き棒でドアノブを動かしたりして確かめはしたらしい。とりあえず何度も開くことを確認したが、やはり入ることはためらわれたそうだ。
もし入った途端に、閉じ込められたら……そう考えると、どの部屋にも足の先も入れられなかった。
やっぱり呪いは残ってしまった。
心理的瑕疵である。
(* 主に建物への心理的抵抗をつくる傷・欠点)
この世界の人たちにも、もちろん心霊スポットのような怪しい場所に、好んで探検に行くイキがった奴はいる。
だが、呪いとなると話は別だ。
この世界での呪いの信憑性と畏怖嫌厭の情は、地球の心理的抵抗感よりずっと強い。
それは首を切られれば死ぬのと同じくらい確かで、現実味のある脅威なのだ。
日本のオカルト雑誌や夏の納涼のために、まことしやかに使われるようなレベルではない。
最悪の場合、命を取られるばかりか、その魂を永劫に囚われかねない。
実際にそういうことがあるから、心底恐れ、懸念し危惧するのだ。
「それならオレ達が確かめてやる」
奴がいきなりドアを開けて、中にズンズン入っていった。
「やっ、あ、わわわ――」
オヤジがどうしていいのかわからず、手をバタつかせたり、俺の方を見たりとオロオロした。
「強引ですいません。でも決して悪いようにはしませんから」
奴の後を追って階段を上がる。
廊下に出ると左右3つずつ、計6部屋のドアは全て半開きになっていた。3階も同じだ。
トイレとシャワー室まで閉じられていなかった。
俺は1つ1つの部屋に入って、その窓を全て開けていった。
廊下は綺麗だったが、部屋の中は1カ月近く掃除されず、なんとなく埃っぽい気がしたので、風魔法で簡単に空気を入れ替えて埃を外に出した。
「だ、大丈夫で……?」
ドアの外からビクビクしながらオヤジが訊いてくる。
「ええ、怪異はしっかり去っているようですよ。
おそらくイタズラ好きの妖精の仕業かもしれませんね」
その凶悪なヨウセイは、廊下で面白くなさそうな顔をして待っていた。
「そ、そうなんで? あんたさんにはわかるんで?
だとしたら、ぜひ是非、ウチさ泊まっていっておくんっなさっ!
もちろん再開したてだに、金はいらんでさ」
オヤジは必死に俺の手を掴んできた。
以前の狸オヤジとはもう別人だ。
誰か第三者が泊まって安全なところをみせなければ、風評被害を拭えないのだろう。
更に罪悪感が増してきた。
「わかった、わかりました。もちろん泊まらせてもらいますよ。ただ料金はちゃんと払います」
「いんや、そりゃさ駄目ださ、そんなこっさしたら――」
「おい、蒼也。まず泊まる前に、場を浄化しなくちゃいけないんだろ」
元凶が急かせてくる。
「わかってるよ! ええと、ご主人いいですか。
どうも怪異は去ってるようですが、その『気』というか、残留物が微かに残っているようです(デマカセ)」
オヤジが思わず口を手で塞ぐ。
「だけど、心配しないで、大丈夫です。
私たちが何とかしますから」
大見得を切っちまった。しかしやらねば。
俺の言葉にオヤジも、半信半疑とも藁をも掴みたいともわからぬ複雑な顔をする。
「ええと、ここはイタズラした妖精たちに、綺麗にしてもらいましょう。
彼らは気に入らないと悪さをしますが、気が向けば家を支えてもくれますので」
妖精には申し訳ないが、ここは原因となってもらう。
「今からこの家に『浄化』をかけますが、良いですか?」
「え、ええっ、もちろん出来んなさるならお願いしたいっさ、とこっすが……」
オヤジはまた俯いた。
つまり収入が無くて、そんなお祓いを頼むほど金がないのだ。
「いや、お金はいりませんよ。なんたって私たちは『腕試し』に来たのですから。
こんな経験をさせてもらえて、こっちがお金を払わなくちゃいけないとこです」
「そうだ、コイツの練習にはちょうどいい」
しれっと言いやがる元凶に、俺は横目でまた睨んだ。
「それにもしコイツが失敗しても心配するな。
オレがそこら辺の小鬼くらい、寄り付けないようにしっかり浄化してやるから」
俺がまだ新米っぽい様子にちょっと心配気だったオヤジも、奴がネックゲイターを外しながら言った言葉に、やっと希望を見出したようだ。
浄化やお祓いは、ヘタに失敗すると大変なことになる。
元からあった悪い気や怪異が取れないどころか、余計に別の災いを呼んでしまう可能性があるからだ。
それに術者にも危険が高い。
だから比較的、中度以上のお祓いなどは、ある程度名だたる僧侶などに頼まないと危険なのである。
ただ、それには少なくない寄付金というお金がかかる。
一般市民には難しい金額だ。
けれど、僧侶などの神聖魔法を使える者以外にも、そういった浄化を行える者がいる。
それがヴァリアスのような強者だ。
彼らはその強烈な覇気――強いオーラの力でまさに力づくで、場を一掃してしまう事が出来る。
それは日本でも横綱が四股を踏んで邪を祓うように、力人の貴高いパワーなのだ。
オヤジも奴を見て、貴高いは別としてパワーは期待できたのだろう。
やっと目に希望の光が灯りだした。
実は昨日、『運命』の天使たちとキリコが連絡を取り合ってくれて、この計画を立てていた。
今までの宿屋の主デンは、そのこすからい欲のせいで、あまり良い運命の選択肢はなかった。遅かれ早かれ落ちぶれるのは目に見えていた。
だが、今や改心し真人間に生まれ変わろうとしている。
それならば応援してやるのも『運命』の者たちの役目だ。
けれど、奴のせいで運命に大きな打撃が加わった。
これのおかげで、正常のレールに組み直すのが大変なことになってしまった。
後に残った風評被害は、後々ずっと尾を引く厭らしい呪いだから、マイナスになってしまった状態を、元どおりの状態に戻しても以前のようにはならないだろう。
元通り以上のプラスにしなければ。
しかし、そうは言っても加護もついていない、ただの人間を特別待遇するわけにはいかない。
使徒がやった事とはいえ、デンの対応も良くなかったとも言える。
もうこれは災難。普通は『運が悪かった』のていで終わるところだった。
そこで俺の出番だ。
人間である俺がやるならば、ある程度の融通も通るという訳である。
「では、私が呪文で妖精たちを説得しますので、ご主人はちょっと下がっててください。
ええと、出来れば階段のとこまで」
オヤジには階段のところまで下がっててもらった。
おっかなびっくり、3階突き当りの階段を下りて、床スレスレのところから顔を覗かせるオヤジ。
白状すると離れてもらったのは、カンペを見ながら呪文を唱えるところを見られたくなかったからだ。
地球のは良く知らないが、こちらでの呪文の多くは、森羅万象、言葉で魔素の動くレールを敷き、動き(作用)を整え、魔法を強化する。
また精霊や妖精・言霊たちの力を借りるために唱えることも多い。
しかし精霊たちは、人間に特に好意的という訳ではない。
なんでああしろこうしろと言われて、やってやらなければいけないのか。
せめてヒトにモノを頼むなら、最低限のマナーで、こちらの言語で話してこいという事になる。
なので唱える言葉は人間の言葉ではなく、精霊の言葉でなくてはならない。
しかも精霊と人、言葉が違えば発声器官もまるで違う。
何しろ鳥のような高周波スピーカーが奏でるような高く、時に低く啼くような声が言語なのだ。
しかも人には発声出来ない高低音域がほとんどだ。
イルカの言葉を真似する方が容易いくらいである。
例え音魔法でなんとか出来たとしても、まず本当の精霊語を完全に理解している者がいない。
そこで『ピジン精霊語』とも言われる、本家の精霊語とその声(言葉)を人が発せられる音に置き換えた、混成言語が作られた。
もうこれで勘弁してもらうしかない。
精霊たちもそこまで意地悪ではないので、これでまあ妥協してくれているようである。
「練習するのにいいきっかけになったな。
いつかは正式な精霊語を教えてやるから、ちょうどいい予行演習だ」
まるで反省の色がない。
それよりも、『 結果良ければすべて良し思考 (キング・ポジティブ・シンキング)』の男には、危険とも言える結果になった気がする。
いや、今はそんな事言ってる場合じゃないので、文句は後で考えよう。
最近の俺は、どうやってこいつに解からせるように言うか、教育者の気分になっていた。
「よし、じゃあやります。ご主人は頭をもっと引っ込めててください。姿を見せないように」
出来る限り、カンペを見られるリスクを無くす。
4つ折りにした紙を広げて深呼吸し、廊下の真ん中で歌うように声を出した。
♪『カァーラ、ヴァルルルーヴィートゥ、ラァラララ~~』
キリコがカタカナに矢印を書いて、このカンペを作ってくれた。
今回の呪文はリズムが必要だった。
まるでイスラム教のコーランを唱えるように、歌うように唱えるのである。
これは呼びたい妖精の好みに沿って、彼らの耳に入りやすいようにするためだ。
本来、呪文というのはただぶっきらぼうに棒読みするのではなく、こうやって種類や場合によって工夫して唱えなければならないモノなのだ。
それにしても昨日寝る前に、何回か練習したとはいえ、ほぼぶっつけ本番である。
大丈夫だろうか。凄く心配になる。
今回は気位の高い精霊ではなく、妖精(小精霊)相手なのでそれほど発音は気にしなくても良いと、キリコは言っていた。
要は一所懸命、誠意を持って語りかけている姿勢が大事なのだと。
だから俺も精一杯、お願いの気持ちを込めて、この宇宙人語みたいな歌をうたった。
♫『デュドゥゥゥ、ラッラァアーー』
しかし、初めての呪文がまさか謝罪文から始まるとは思わなかった。
俺が唱えている呪文はこんな内容だった。
【 地の精霊、特に家の妖精たち、(ウチのバカのせいで)貴方たちに冤罪をかけてすいません。
(本当は()内の言葉も言いたかったのだが、キリコが流石に訳せないので、俺は頭の中だけで気持ちを込めた)
大変申し訳ないですが、訂正しづらいのでこのままどうか勘弁してください。
真実は人間以外の者なら全て知ってます。
そして図々しいとは思いますが、出来たらこの家を助けてやってください。
主人は以前と生まれ変わって、良い波動を持つようになりました。
もしお力添え頂けるなら、週に一度、必ずこのようなお礼を捧げる所存です。
もし約束を破ったならば、手を引かれても文句は言えません。
どうか どうか 良しなに、良しなに どうか良しなに―― 】
本当に都合の良い、身勝手なことを言っていると思う。
だが、キリコや奴に言わせると、これくらいの言いがかりは彼らにとって日常茶飯事。
人間がどう思おうと気にしてはいないらしい。
しかしキリコがいて助かった。
ヴァリアスの奴にもし訳させたら、きっとお願いどころか脅し文句になっていたハズだから。
最後の部分をリフレインしながら、俺は収納から袋を取り出し、頭を下げながら袋を開いて上に掲げた。
袋の中身は、妖精が好むと言われるハーブを使ったクッキーだ。
本当にこんなモノでいいのだろうか。
馬鹿にしてないか不安になる。
しかし、クッキーを上に上げたあたりから、ヒュウゥゥゥーと音を立てて、風が開いた窓という窓から入ってきた。
そうして俺の服や、特に掲げた袋をバサバタ揺らしていった。
それは5秒ほど続いてパタリとやんだ。
なんだか空気が軽くなったというか、爽やかになったような気がする。
手にしている袋もいつの間にか軽い。
中を覗くと袋は空になっていた。
「上手くいったな」
気配を消していた奴がまた姿を現した。
「おい、いきなり姿現すなよ。せっかく来てくれたのに、あんたを見て逃げちゃったらどうすんだよ!」
「何で逃げるんだよっ! 言っとくがオレの姿を見て、喜んで寄って来るヤツだっているんだぞっ!!」
「それはもう頭がおかシィ――イデテテテッ!」
奴がまた俺の頭をアイアンクローしてきた。
このバカッザメッ!!
「あの……。もう大丈夫っさね?」
階段下からオヤジのバーコード頭がチラチラ動いていた。忘れてた。
「も、もう大丈夫です。上手くいったようですよ」
俺は頭を擦りながら答えた。
「あ、あぁ、確かに空気さ、違うさね」
驚いた顔のまま、まだキョロキョロとあたりを見回すオヤジ。
「森の中みたいだろ。奴らが来た証拠だ。妖精がこの場の気を浄化したからな」
言うなれば、この場の空気はマイナスイオンに変っていた。。
彼らが住み易いように。
やって来てくれたのは『妖精ブラウニー』
地球でも古い家に棲みつき、家事を手伝ったりする妖精として知られている。
ここでは日本の座敷わらし的存在感がある、祝福をしてくれる有難い小さな精霊の一種だ。
彼らは決して人に姿を見せないが、稀に見たという幼き子供たちの口伝いに、髪と服が茶色だったという事から、ブラウニーと呼ばれるようになった。
「ええと、勝手に約束しちゃったんですけど、この紙に書いてあるハーブ入りのクッキーかお菓子を、毎週決めた曜日の0時に、片手分くらいでいいので供えて欲しいんですけど」
「ああ……そんな高いハーブじゃなさ、これなら毎週でも平気ださ」
オヤジが紙を見て頷く。
「あと出来れば飲み物も一緒に。ベリー系ワインが好みみたいで。
最後にこれが肝心なんですけど、彼らが食べてるところを絶対見ないようにしてくださいね。
食事してるとこを見られるのを嫌うので」
こんな事を言いながら、ふと俺より地元民の方が良く知っている事なんじゃないのか? と今更ながらに気がついた。
「ほ、本当に、有りがとっさね……」
オヤジさんが段々うるうると目を潤ませてきた。
「いえ、あの……」
本当はウチのせいなんですとつい言いそうになった時、ウチのサメが唐突にほざいた。
「おい、ひと仕事したんだから、まず喉を潤すモノとか出せねぇのか。ここには酒も置いてないのかよ」
お前はなぁ~~~っ! ひと仕事って、てめえは何もしてねぇじゃないかよ。
「あ、ああ、こりゃ、すまんこっさ。ちょっくら酒屋行って来るさぁ、下で待っててくんさ」
やはり客がいなくて、酒も買い置き出来なかったようだ。
顔をゴシゴシと手で拭くと、オヤジさんは階下に下りようとした。
「おい」
またサメが呼び止めた。
「その分じゃ、酒も酒代もねえんだろ? これでまず酒買ってこい。ツケで安い酒なんか買って来るなよ」
そう言ってコインを1枚渡した。
金貨に宿屋の主人が震えあがる。
「ひょっおっ! こ、こんなさ、いやさ、こげさ使えねぇっさ! こげな借りても――」
「貸すんじゃねえよ、チップだ。
宿代じゃねぇんだから別にいいだろ?」
まだ口をあんぐり開けているデンの顔の前に、ヴァリアスがシッシッとするように手をヒラつかせた。
「そら、さっさと行って来いよ。もう1,2軒くらいなら開けてる酒屋はあるだろ。
オレ達は下で待っててやるから」
「は、はいっ! すぐさ、戻るっさね。待ってておくんさっ」
また目をこすりながら主人は、危なっかしく階段を急ぎ駆け下りて行った。
その背にまたサメが声を飛ばした。
「とりあえず黒ビール、樽でなぁー」
とりあえずの量が違う――といつもながら思った。
まっ いいか。
いつも読んで頂き有難うございます!
次回は、いったん日本に戻ります。
第2章でチラリと出ていた『創造神様の事業計画』が明らかに。
次回208話:仮タイトル『蒼也 重役になる』予定です(^▽^)/
また少しスローペースになるかも知れませんが、必ず完結させますので
今後ともどうかよろしくお願いいたします。




