第189話『ジェンマの帰宅と新しい住民たち』
なんだか今回もちょっとダラダラ? かも……。
その後、村の後ろの空地でジェンマを囲んで酒盛りが始まってしまった。
まわりからは見えないように奴が隠蔽をかけた。おかげで近づかない限り、ジュエルは見えない。
離れた街道を行く農夫や、たまに通る箱馬車に見られてはいけないからだ。
もちろんこのラーケルの村人たちには例外だった。
壁伝いにおっかなびっくり、ドワーフのビンデルを始め、巨人族のカカ、獣人のヤーリ、ザックやフラン達がジェンマを遠巻きに見にやってきた。
(* カカとザックは第84話、ヤーリは第80、85話から出てきてます)
「師匠、スゲーッ! やっぱりすげぇやっ、こんなの従魔にしちゃうなんてよぉ!!
さすが俺の師匠だけあるぜっ!」
またややこしい奴が来てしまった。
「誰が貴様の師匠だっ! オレは弟子はとらんっ!」
「そんなツレないぜぇ~っ 師匠ぅ~~~」
【ソゥヤ、なんだあいつは?】
出来る限り小さな声で、ジェンマが俺に訊いてきた。
「ヴァリアスの弟子志願者だよ。何故かあいつに心酔してて、弟子の押しかけをしてるんだ」
俺もジェンマの耳元、と言ってもデカいので、金目の横辺りで小声で言った。
さすがにフランは遠巻きに見てるから、俺達の会話は聞こえまい。
【ふふん、じゃあ俺がマスターの一番弟子になってるのを知ったら、悔しがるだろうなぁ】
「なんでお前が弟子なんだよ? お前は従魔だろ?」
【あの方の下で従えるんだから、弟子も当然だろ。お前は2番目だけどな】
そう言って口元を少し上げて、鼻から息を吐く横顔が憎たらしい。さっきまで土下座してたくせに。
「俺は第一あいつの弟子じゃねぇぞ。お前だって弟子じゃなくて、ただの従魔だろうが」
【俺達の世界じゃ、力ある者の下につくのは名誉なことなんだ。従魔も弟子も僕も家来も一緒だ。
みんなその方の配下に入るわけだからな。
お前たちみたいに細かい分け方はしない】
それがドラゴン流の考え方なのか。シンプル過ぎないか。
それとも人間が複雑に考え過ぎなのか。
ふと見るとヤーリがフランに何か耳打ちをしている、と思ったら急にフランがこっちに声を上げてきた。
「ソーヤッ、なんだよっ そいつが一番弟子なのかっ?!」
ええーっ なに聞こえたのか、あっ ヤーリが聞いてたのかっ!
獣人の聴力を忘れてた。
「ウルせぇなっ 弟子じゃねぇ、従魔だと言ってるだろっ。お前こそいつまでもうるせぇと従魔に登録するぞっ!」
「師匠ぅ……」
フランが無残なオーラになっていく。
【ふん、あいつは3番か、それとも2番?】
ちょっとだけ小首を傾げるように、大きな頭を動かす。
おい、あくまで俺込みで判断するなよな。しかも俺が3番ありなのか?!
自称一番弟子がうっかり何かやらかさないように、俺はずっとジェンマの顔の傍にいた。
何しろヴァリアスの奴は酒樽が運ばれてくると、そっちにフラフラ行ってしまうからだ。
あんたの飼いドラだろうがぁ。
「しかしおかげさまで、俺っちんとこの在庫がはけて良かったよ」
ビンデルがその赤茶色の髭を擦った。今日は2本の三つ編みに編んである。
そう、始めに強奪してきた酒樽は、ヴァリアスが収納していたのだが、その残りとこの村で出した酒樽を持ち帰らすのに、入れ物が必要だった。
ただあの荷馬車は、とっくにヴァリアスの奴が灰にしてしまっていたし、早く飛ぶと樽を落としてしまうので、高速で飛ぶことが出来ない。
それで奴が代わりのモノを用意させたのだ。
鍛冶屋のビンデルの店には長年売れずに残っていた、鋼の鎖網があった。
あの黒い森にいるケルベロスのような、大型で強力な魔物の捕獲用の網だ。だからワゴンを丸ごと包めるぐらいに大きくて、しっかりした鎖で出来ている。
が、その分重い。重すぎる。
大体、あのケルベロスを狩るようなハンター達は、まず網などは使わない。使うとしてもまず張り巡らす鎖などである。
そうして持って帰ってくるときには、ほぼ解体して皆で分けてくる。
昔、大きな街の道具屋で見た事があるということで、作ったこの大網だが、実はそれはワイバーンなどの大型従魔で行う狩りの時の物だったのだ。でないとまず持ち運びから苦労する。
かくして物置で何年も寝かしておいたそれが、やっと日の目を見ることになった。
ドワーフでさえ、引きずりながら持ってきたその網を二つに折ると、ヴァリアスが土魔法でその両端を繋ぎ合わせた。
そうして袋状になった口の両端を、切れ目を入れるように鎖を外して組み直す。
あっという間に鎖のエコバッグが出来上がった。
ビンデルが傍で感嘆の声を上げる。
後で聞くと土魔法でも、鉄を細工して作り上げるのはかなりのパワーと、繊細さと器用さがいるらしい。
こいつはパワーのみだが。
「これなら首に引掛けられるか」
言われてジェンマが2本の提げ手に頭を通す。
【長さはちょうどいいであります。ただ、首の後ろがちょっと……】
いくらドラゴンの鱗とはいえ、鋼の鎖が当たるのは気になるようだ。
「軟な肌してるな、お前」
奴が片眉を上げて言った。
ドラゴン相手に言うセリフじゃない。
確かに綺麗なだけじゃなく、剣を弾くような鱗してるくせに、と俺も思ったが、ずっと同じ部分に鎖が擦れているのは、なんとも嫌な気がするらしい。
彼らにとってそれは、爪のような感覚もあるからだ。
「じゃあどうだろ、当たる所に何か皮か柔らかい物でも巻いたら?」
俺がそう提案すると、道具屋のヤーリがおおっと手を上げた。
「だったらウチんとこに、ちょうど良い革があるぜ」
なんだか在庫処分セールになってきた。
『ラバーフロッグ』という、厚みがあって伸縮性の凄く強い皮を持つ巨大ガエルがいる。
こいつの皮はその性質上、剣が通りにくく、またクロスボウの矢さえも突き破らせないくらいの、強度と柔軟さを持つらしい。
だから鎧の上張りに使ったりするらしいのだが、どんな革でも面取りのように、どうしても余る端切れが出てくる。
ヤーリはその廃棄する型抜き後の革を無料同然で仕入れて、あらためてパッチワークのように一枚の布状に繋ぎ合わせた。
だが、その見た目はパッチワークというより、まさに継ぎ接ぎの見た目の良くない代物で、いくら実用性があってもカッコ悪いという事でこれまた売れなかったそうだ。
様々な色に染色された継ぎ接ぎのせいで、凄く乱色に派手になったその革を、首に当たる部分に固く巻きつけた。
【これなら全然問題ないであります】
首から酒樽7個、ブラブラ吊り下げながらジェンマが言った。
今度からそのエコバッグ持参で来てもらうか。
当初の目的の小水が溜まると、奴に言われてジェンマが軽く低空飛行で畑の上を飛びながら、ソレを振りまいた。
あの穴倉ではあんなにアンモニア臭かったのに、何故か今回は嫌な匂いがしない。
強いていうならジャスミン茶の匂いに少し似ているような。
奴に訊いたら、あの時は時間が経っていて、バクテリアのせいで分解・変質していたからだと言う。
本来、ドラゴンの血液を漉しているのだから、新鮮な物はかなり栄養価が高く、まさに宝水なのだ。
そんな貴重な物を畑に撒いている奴を見て、村長たちが有難がっていたが、何故かフランだけが違う感想を呟いた。
「…………負けた」
何言ってんだっフラン、体の大きさを考えろ! (形も違うし)
大体、男の価値はそれだけじゃないだろっ。(俺もそう思いたい)
しかし普段はああやって翼と同じように、奥に引っ込めて鱗で隠してるんだな。
例のディゴンのとあいつのとじゃ、どっちが高いんだろ?
悪いがつい余計な事を考えてしまった。
とにかくジェンマを暗黒大陸に帰すまで、冷や冷やして落ち着かなかった。
やっと一仕事終わり、奴が夕日を浴びながら南の空に帰っていくのを見て、俺は肩の力が抜けた気がした。
「あれっ、隠蔽しなくていいのか?」
まだこれから色々と国境を通るのに、お騒がせしちゃうじゃないか。
「もう日暮れだから姿を消さなくても大丈夫だろ。アイツももっと高く飛ぶはずだし」
そう言われて見ると、ジェンマはグングン上に向かって飛んでいる。そのうち赤い雲の中に姿が見えなくなった。
しかし俺もだいぶ毒されたようだ。
酒樽を入れたチェーンバッグを首から下げたその姿が、なんだか赤ちゃんを連れてくるコウノトリに見えてしまった。
「「「「「「はあぁぁぁ~~~~~~~~……」」」」」」
ジェンマがすっかり見えなくなって、壁の外側で見守っていた、奴を除く俺と村長たちは、深いため息と共に脱力した。
「いやぁ~、こんなに緊張したのは久々じゃよ」
村長がズボンのポケットに下げていたタオルで額を拭いた。
「おいらもあの唸り声で、震えが止まらなかったよ」とヤーリ。
隣でカカが頷いている。
あれは唸ってるんじゃなくて、小声にしてるだけなんだが、意味が分からないとそう聞こえちゃうんだな。
「くそぅ……俺は師匠にとって魔物以下なのかよ……」
悔しそうに地べたに座って、だいぶ酔っぱらったフランがくだを巻く。
「以下って……アレに勝てたらそれこそ大したものだぞ」
ザックが黄色の目をクリクリさせて言う。
もう6時の閉門時間ギリギリだった。
俺達はまたゾロゾロと村に戻ると、何故か『パープルパンサー亭』に入っていた。さっきまであれほど飲んでいたのに。
「いやあ、さっきは緊張して飲んだ気がしねぇや」とビンデル。
「そうじゃな、まあ今日は色々あり過ぎて、目が回りそうじゃが、どうせ回すなら飲んで回すか」と村長。
「言っとくが、ジジイが酔いつぶれても置いてくぞ」
今日の宿も世話になるのに、失礼極まりない奴が言う。
フランはなんだか落ち込んだとか言って、彼女に慰めてもらうと言って出ていった。
なんだか、羨ましいというか、ちょっとムカつく。
すると
「師匠ぅ~~~っ」
そのリア充がすぐに戻ってきた。
「なんだお前、ドリーんとこに行ったんじゃなかったのか?」
ジョッキに口をつけようとしたヤーリが振り返った。
「酒臭いって、追い出されたぁ~~~っ」
ああ、そりゃそうだろ。あれだけデロンデロンでいったら、そりゃ嫌がられるよなあ。
「師匠ぅ、あいつにも振られたら、俺どうしたらいいんでぇ……」
「知らんっ!」
ガンッと、奴が空けたジョッキで音を立てた。
とにかく騒がしい一日がこうして終わった。
★★★
次の日はハンター試験の為に、半日あの黒い森の中で特訓をしていた。
ちょうどあのケルベロスの繁殖期というか、出産シーズンにかかっていたらしく、あの可愛い黒いのをあちこちで見る事が出来た。それと同時に、牙をむくその親たちも。
俺はそんなモフモフ達の牙と爪から逃れるべく、森中を走り回っていた。試験の時に転移を見せないように、なるべく転移禁止で。
全然モフモフを楽しめなかった……。
いや、だけどまだ望みはある!
明日はやっとレッカ達がやって来る予定なのだ。もちろんあのポーも。
俺が村民になってから2日目の昼下がりの2時頃、彼らはやって来た。
皆がギトニャを出たと奴が言ったので、到着の30分前から門の前で待っていた。
今日の門番は巨人族のカカで、決して取っつき難い人柄ではないのだが、普段から寡黙な彼とはとにかく会話が続かない。
何しろ頷くか、最低限の言葉しか言わないからだ。
誰かもう1人いないと会話がまわらない。
そんな感じで一方的に話す感じで、ネタが無くなってきたと思った頃、レッカ達が街道の先に現われた。
「ソーヤッ!」
大きく手を振って、一番早く走ってきたのは、やはりパネラだった。
だがその後ろから、ポーが啼きながら追い抜いた。
おお、もうこの子、ウチで貰ってもいいだろうか。
ポーは俺にぶつかるように頭を擦り付けると、触手を絡ませてきた。
【~~~美味しいものぉ~~欲しいぃなぁ~~】
あれ、お腹が空いてるだけなのかな?
俺はすっかり旨い餌をくれる人と認識されているようだ。
「みんな、よく来たね。途中何もなかった? アルメアンからギトニャに来る時、大変じゃなかったかい」
俺はゴロゴロ啼くポーのおでこを撫でながら訊いた。
あの途中の山道で、俺は『祈る殺し屋』に遭ったのだ。
「うん、ここまで順調だったよ」とレッカ。
訊けばあの山道は一カ月程前から解禁になって、往来が可能になっているそうだ。
そうか、もうあの大カマキリの産卵時期が過ぎたんだ。
だとすると、あの時の卵もふ化してとっくに孵っているのかもしれない。
少し複雑な気もするが、人に悪さ出来るくらいの大きさになると、自然と魔素が濃い山奥に引っ込んでいくらしい。
自然とは上手く出来ているものだ。
「ところで、あの、船はどこを通ってきたの?」
俺は例の峡谷を通ったか興味があった。
「ライン川とジャール川のそれぞれの定期便だよ。ジャールの手前の街で昨日一泊して、今朝早くにジャールを渡ってギトニャに着いたんだ」
そうしてエッボは声をスゴク小さくして
「女たちがいるのに、あんなとこ通れないだろ?」
眉をひそめてみせた。
うん、そうだよな。しかも妻帯者だし、行ったらパネラに殺されちゃいそう……。
とにかくまず村長に合わせなくては、新しい村人が来る事を知っているカカに一声をかけて、俺達は村の門を通った。
★★★
「儂は構わんが、本当に村民登録してもいいのかね?」
役場の2階応接室で、4人と相対しながら村長が訊ねた。
ソファは本来3人用のようだが、1つのソファに4人並んで座った。向かいの同じタイプのソファに、村長が真ん中に座り、俺がその左側に座る。
本来なら奴は村長の右に座ればいいのに、あろうことか俺の左斜め前の1人用ソファに座りやがった。
なんであんたが王様席なんだよっ。
しかもいつも通りに態度デカいし。
そんな事はいちいち気にせず村長が続けた。
「ここに1カ月どころか1年住むとしても、無理に登録せんでもいいと思っとるぞ。
何しろ王都近くの町と言えば、他所と比べてかなりの人気がある。税は高いかもしれんが、その住民権をわざわざ放棄するのは、ちと勿体ない気がするからのぉ」
「ソーヤから聞いてるかもしれませんが、おいら達、あの町にはもう住めないんです。近くにも寄れません。
何しろ……そこの町長に刃向かったので……」
エッボが体を小さくしながら話した。
「う……ん、あの町が管理していたダンジョンの騒動は、儂も知っとるよ。何しろ大事件だったからのぉ。
そのことで町長達が審問を受けてる最中という事もな」
「だけどっ、あたい達っ、誓って言うけど、後ろめたい事はしてないからねっ!」
パネラが胸に手を当てて、村長の顔を真っ直ぐに見た。
「わかっとるよ。詳しい事は聞いとらんが、そこの兄ちゃん達も関わっとったんじゃろ?
儂は兄ちゃん達を信用しとるし、自分の目も信じとる。
お前さん達は犯罪者の目をしていない」
「じゃあ……」
エッボや、下を向いていたレッカも顔を上げた。
「お前さん方がここで良いというなら、こちらは大歓迎じゃ」
村長がニッコリ笑みを見せた。
俺たちが早速空き家をまわって、4人がこれから住む家を選んでいる時に、村長は登録申請や他の諸々の手続きを手早く済ませてくれた。
中でも一番ネックだった住民転属手続きを、村長の計らいでしないで済むようになった。
これは別の町や村に転居する時に、どこに移ったと記録を残す手続きだ。
いわゆる住民票の移動というヤツだが、これをすると追手がいた場合、相手に居場所の手がかりを残すことになる。
もちろん普通は個人情報なので、簡単に検索できるものではないが、相手はその町長なのだ。
やろうと思えばネットで調べるより簡単に出来るだろう。
俺たちのような無宿人にならば、むろんそんな転記する場所もないが、レッカ達はまだバレンティアの住民なのだ。
そこで村長が彼らをバレンティアから移動ではなく、無宿人になる手続きをしてくれた。
これは本人が希望しても出来るものではない。
通常は行政側が、対象者を追放、関わりを無くす為に行う処置だからだ。
つまり不埒者を厄介払いしたり、何かしでかす前――もしくは発覚する前――に町がなるべく責任を負わないようにするためなのだ。
不祥事を起こした社員を、会社が解雇するようなものだ。
個人では出来ないが、アイザック村長はここラーケルという、小さくとも村の行政機関を納めている役人だからこそ可能だった。
村長はバレンティアに直接ではなく、その更に上の王都の中央管理に、住民権を抹消するように申請を出したのだ。
その際、もちろんどこから申請が来たのかは記録に残ってしまうが、それは住民権を破棄される町には知らされないようになっている。
もし町側が調べようとしても、教える事はしない。
そこが地方と中央管理局との違いのようだ。
むろん手続きはそう簡単なものではない。
正当な理由やら、そうなる裏付けなど、色々な面倒事があるのだが、そこは手続きだけですんなりと通してしまった。
さすがです、村長。
俺がそう言うと村長は、少しはにかむように口元をあげて、俺達を見ながら
「いや、本来なら儂みたいな下っ端役人じゃ通らんかったよ。
じゃから悪いが、あんた達の名を使わせてもらった」
そう肩をすくめた後、首をゴキゴキと動かした。
どうやら俺が先に村民登録をしたのが良かったらしい。
王都では『あのSSについている異邦人』がラーケルの正式住民になったということで、村長の株が一気に上がったそうなのだ。
もちろん今までの村長の堅実な仕事ぶりのせいもあると思うが、そう言うモノはいくら優秀だろうと、小さな侘しい店のウインドウに飾られた、地味な靴のように目立たないのだ。
だから俺達の名をチラつかせたらしい。しかも結構な交流があると。
それは嘘ではない。
「ジジイも結構ズル賢いな」
奴がソファに深くふんぞり返った。
「何言ってんだよ、全然ズルじゃないじゃないか。本当の事だし」
なんだか、こいつのオマケ認識されてるのが腹立つが、村長の役に立つならもう金魚のフンでもいいや。
「ハッハッ、儂だって聖人なんぞじゃないし、使えるモノは使わせてもらうぞ」
と、軽く奴にウインクした。
「ふん、このクソジジイ」
奴の口が下弦の月のようになった。
とにかくこれで問題は一つ解決した。
だが俺にはまだまだやらなければならないことが残っていた。
明日はいよいよハンター試験なのだ。
ここまで読んで頂き有難うございます!
次回やっと『ハンター試験』に入ります。
始めは筆記試験です。蒼也は勉強も頑張りました。
ですが……ヤ、ヤマが…………!?
★★★
『カクヨム』版の方では、ヨエルと入った別ダンジョンで一波乱の気配がしております。
良ければこちらもご覧いただければ幸いです。
『第161話☆ マターファ 第1日め その6(命と操)』
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サブタイトル番号に☆がついているのが、各サイトのオリジナルストーリーです。




