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第188話 『村民登録プラス ドラゴン』


「おう、お前さん方、大したもんじゃな。ドラゴンを従魔にしたんだって?」

 役場に行くと村長が、俺たちの顔を見るなり言ってきた。


「今しがた、ギルドから緊急速報がファクシミリーで送られて来てな、何事かと思ったら、旦那がドラゴンを従魔登録したとなっとったぞ」

 眉を大きく動かした。


「さすがにそういう事だけは早いな」と奴。

「まあ、取り急ぎの伝達だけじゃな。詳細は、これからあらためて送って来るらしいが」

 村長は送信紙らしい紙を持ちながら、相変わらず首をゴキゴキ動かした。

 もうさっきまで俺たちがギーレンにいた事がわかるだろうに、ここにいることを不思議に思っていないようだ。

 慣れましたね、村長。


「そういえば、例の4人さんはまだ来てないですよ」

 村長の後ろからピョコッとポルクルが顔を出した。

「ああ、彼らとは別行動なので、じきにやって来る筈ですよ」

 俺たちがこんなに高速移動するのに、レッカ達は通常の旅でやって来るからな。どんなに急いでも王都の近くからだと、4,5日はかかるだろう。

「明後日の昼過ぎ辺りには来るんじゃないのか?」

 奴がちょっと視線を右上に逸らして言った。


「そうかい、そうかい。久しぶりに住民が増えるちゅうことで、楽しみにしとるよ」

 ニコニコしている村長の後ろで、いつもの3姉妹が『住民が増えるんですって』と聞き耳を立てている。

 ううむ、ここでは話しづらい。

「村長、ちょっとご相談があるんですけど……」

「ん、なんじゃ。じゃあ上行くか」

 2階の応接室に行くことなった。


「村長、私もここの村民にして欲しいんですけど、いかがでしょう?」

 ソファに座るなり俺は思い切って言った。

 村長の目が大きくなる。

「それってなんの冗談じゃ?」

「――冗談なんかじゃないですよっ、村長! 

 それに、あくまでなりたいのは私だけです。こいつは違いますから。

 こいつは今まで通りノラのまんまですからね」

「誰がノラだっ!?」


「ほっ! 本当なのかい、本気で言っとるのかっ?!」

 村長が俺の目を覗き込むように、前屈みになってきた。

「はい、お願いします」

「こりゃあ驚いたっ、全くなんて日だ!」

 垂れてもいない前髪あたりを、かき上げるように手をやった。


 以前村長に誘われたこともあるし、色々見てきて、やはりここが今の俺には一番いいと思った事、少なくとも村長たちが存命なうちは、ここに居たい事を話した。


「そうか……。そりゃあ本当に有難い」

 ちょっと村長が手の甲で鼻を押さえたのを見て、俺もちょっと胸の奥が熱くなってきた。

 が、

「ジジイ、感傷に浸る前に手続きしろよ。後が詰まってるんだからよ」

 このバカッザメがっ、デリカシーの一粒もねぇなあ! 


「おお、すまんな。どうも儂も最近年取ったのお。涙もろくてなってかなわんわ」

「私もですよ」

「お前は前からだろ」

「黙れ、このKY野郎っ!」

「なんだ、それっ? またオレの知らない言い方しやがって――」


「わかった、すまんな。すぐに今ポルクルに――いや、儂が必要書類を持ってくるから、ちょっと待っててくれ」

 そう言って村長は立ち上がった。


 俺が村長が消えたドアの方を見ていると、急に奴が文句を言ってきた。

「なんだよ、オレはちゃんと空気ぐらいわかるぞっ」

「あんたっ、その空気って、酸素とか窒素のことじゃないぞっ! 場の空気、雰囲気だよ!

 分かってないだろ、そこんとこっ」


 すると奴がちょっと目を開いたが

「――だからそれぐらい知ってるぞ」

「嘘つけっ! なに横向きながら言ってるんだよっ!

 大体いま誰に聞いたんだっ?! 中途半端に聞くから、そういう事になるんだろうがっ」

「チッ」

 てんめぇ~~~ッ! 

 それにこいつに教えた奴――天使かっ、そうやって半端に教えんなっ!

 俺が後で大変になる元だろうがぁっ。

 大体こいつのおかげで、この記念すべき瞬間の感慨が台無しだよ。


「待たせたな」

 ノックと共に村長が戻ってきた。後ろにトレーを持ったポルクルもいる。

「ソーヤさん、ウチの人になってくれるって……本当ですかあ……?」

 そう言いながら、つぶらな瞳をウルウルさせてくる。

 ウチの人ってなんだよ、『村』が抜けてるよ。


「お前、泣くなら、それ下ろしてからにしろ」

 酒瓶を乗せたトレーが彼と一緒にカタカタ震え出すのを見て、奴が声を上げた。

 すいませんっと、慌ててトレーをテーブルに置いた彼は、後ろを向いてハンカチを出す。

 そのトレーには酒瓶とグラスが4つしかない。

 あの、お茶は……。


「まずは先に乾杯させてくれ」

 村長がウィスキーのコルクを抜くと、グラスに注ぎだした。

「本当は4人の新しい住民が来た時にと、購入しといた物なんだが、ええぃもうっ、これが飲まずにいられるか!」


「ジジイ、オレのは遠慮しなくていいぞ」

 少しは遠慮しろ。

「わかっとるよ。旦那はなみなみだな」

 ホントに縁ぎりぎりに入れた。もう表面張力で持ってるくらいだ。

「私は少なくて……シングルでお願いします」

「僕はダブルでお願いします」

 おお、いいのか、ポルクル。あんたはワイン派じゃなかったか?

 最後に自分のグラスに半分以上注ぐと、村長はグラスを持ち上げた。



 村民登録はハンター登録のように簡単だった。

 登録書に出身地などを記入して、モスキートペンで自分の名前を書く。

 登録料として初めに3,000エルを払う。

 そうして住民税は、村民税が3,500エルと基本国民税が12,000エルの年計15,000エルだ。

 分割払いOKだ。もちろんこれくらいは一括で払う。


 ただ、この国民税が払えなくて村や街から追い出され、無宿人になってしまう人もいるようだ。

 そう言う人たちは例えその場に長く住んでいても、定住者とはみなされずに有事の時に差別されるのだ。

 どこの世界も世知辛いものである。


 あと本来は解析鏡とかで、人種などを確認するのだが、そこはハンター登録もあるので省略された。

 というか、実はこの村にはそのような高い機材を置いてないので、隣町のギトニャの役場まで行かなくてはいけなかったのだ。

 

 解析鏡はもちろん素材の鑑定にも使えるから、あれば何かと便利なものだ。以前はあったらしいのだが、村の石塀の修理にどうしてもお金が足りず、売ってしまったそうだ。

 俺がここの村民になったからには、すぐに買い戻せるようにしてやるよ、村長。

 特に所得税の半分は、村の収入になるようだから、いっぱい稼いで納税できるように頑張るよ。

 本当にこれほど『ふるさと納税』を意識したことは今までなかったな。


 手続きが終わると、村長があらためて握手を求めてきた。

 その手は筋張って皺と傷だらけだったが、力強く熱かった。

 これからお世話になります、村長。


「あれ、このお茶いつものオーツ麦湯じゃないですね」

 ウィスキーは村長と奴の2人で飲み干してしまった。

 ポルクルがすぐにお代わりとばかりに、別の酒瓶と一緒にお茶入れたポットを持って来てくれたのだが、それは炒った麦茶じゃなく紅茶だった。


「ああ、たまには良いだろう? お前さん方のおかげで以前より潤ったからのぉ。

 せめて客人用に用意したんじゃよ」

 まずは紅茶くらい、普段から飲めるようにするのが目標かな。

 ポルクルはこれから酒屋のヒックリーに、ビール樽を頼みに行くと言って出ていってしまった。


「あ、忘れてた」

 新しい酒を何杯か飲んでから、奴が顔を上げた。

「アイツ待たせてたんだった」

 あっ、俺も忘れてたぁーーーっ!


「ん、誰ぞ、待ち合わせか?」

「いえ、それがジェ、いや――」

「ジジイ、従魔の件は知ってるだろ。蒼也がここの住民になったから、たまに従魔も来ることになるかもしれん。今のうちに紹介しといてやる」

「ほっ、従魔って、旦那っ、それって!」

 村長が目を見張った。


「とりあえず村の後ろ側の空地でいいか。畑のないとこがいいだろ?」

「なんと、旦那っ! 本当にここにドラゴンを呼ぶ気かっ?!」

「そうだ。特にここの住民の匂いを、覚えさせといたほうが何かといいしな」

「ちょっ、ちょっと待ってくれっ」

 急に村長は立ち上がると、階下に降りていった。


「やっぱりマズイんじゃないのか? ジェンマをここに連れてくるのは」

 俺も村長の慌てぶり以前に、あのギーレンでの騒動で察しがついていた。

「ちょこっと見せるだけだ。黒い森に行く前に上を通ったんだが、さすがに通り過ぎただけじゃ、村の匂いとかがわからんからな」

 そう言いながら、瓶に残った酒をまた注ぐ。

「それって必要か? 村がわかってればいいんじゃないのか?」

「万が一、他所で出会った時に、ここの住民かどうかわかれば、アイツだって悪さしないだろ」

 それは別だったら、何かするという事か?


 すると近くの修道院から、定時でもないのに鐘の音が聞こえ始めた。

 それはあの地豚狩りの時に聞いた鳴り方と同じだった。

 村人集合の合図だ。


「ほう、全員一か所にかたまってくれた方がやりやすいな」

大事おおごとになっちまったんじゃないかよっ!」

 確かにドラゴンが来るってのは一大事なんだが。


 15分もしないうちにほぼ全員が集まったようだ。

 窓の外で村長の演説が始まった。


「よく集まってくれた、皆の衆。

 時間がないので単刀直入に言うが、どうか騒がないで聞いてくれ。

 今からドラゴンがこの村にやってくる」

 当然だが、辺りからどよめきが起こる。

 それを両手で制して、店長が話を進める。


「じゃが、安心してくれ。これは危害を加えに来るんじゃない。

 皆も知っとるじゃろが、王都なぞには竜騎士がいる。ワイバーンなどを従えてる者がいるのを」

「おう、それは俺っちも知っとるぞっ」

 群衆の中から声がする。

「そげな人がやって来なさるんかぁ」

 ザワザワとまた勝手に話し始める。


「まあ、似たようなものじゃが、ちょいとスケールが違うようでの。

 だから皆は驚かんで欲しいのじゃ」

 また皆の声を制して村長が続けた。

「ちゃんと飼いならされてるなら、怖くねぇぞ」

 んだ、んだと、まわりの声が同調する。


 それから俺が新しい村民になったことや、その従魔としてドラゴンが来る話をし始めた。

 いや、正確には俺のじゃないんだがな。まあややこしくなるからいいか。


「もういいだろ、呼ぶぞ」

 ヴァリアスが急に立ち上がった。

「え、まだ演説終わってないぞ」

「終わるの待ってたら、みんな帰っちまうだろうが」

 そのまま階下に降りていく。俺も後から慌ててついて行く。


「おっ、旦那と兄ちゃん、今みんなに説明しとったとこだ」

 俺たちが役場から出てくると、村長が振り返った。皆の目が一斉に俺たちの方に向けられる。

 うっ、ちょっと恥ずかしい……。


「すいません。蒼也と言います。今度、ここの住民になりましたので、よろしくお願いいたします」

 前に押し出されて、ついおたおたしてしまう。

「ああ、地豚狩り(あの時)の兄ちゃんかっ」

「おう、若ぇ者(わけぇもん)は歓迎するぜっ」

 またあちこちから歓迎の声がする。

 俺がペコペコしていると、

「言っとくが、これから来るのはコイツの従魔じゃなくて、オレの従魔てかだからな」

 魔王がほざく。


「じゃあジジイ、もう呼ぶぞ。というかもう向かってきてるけどな」

「なにっ?!」

 いつの間に。いや、おそらくテレパシーで伝えたのか?!

「おおっ、じゃがこの広場には今、みんながおる。ここに降りてもらうのは危険じゃぞ」

「どのみちこんなとこじゃ、狭くて教会に引っかかっちまうよ。壁の外でいいだろ」


 探知しなくても俺にもあいつが近づいてくるのを感じた。これが契りを結んだって結果なのか。

 ジェンマは1km くらい先に来たと思ったら、するするとすぐそこまでやって来ていた。

 

 遠くの方で叫び声が聞こえる。

 と、同時に高い笛の音が響いてきた。

 門番の誰かが、警報を鳴らしてるんだ。

 そして皆が見上げる上空に、あいつがやって来た。


「「「「「「「「…………っ!!!」」」」」」」」

 広場中の人達が固まった。あの村長でさえもゴクリと唾を呑む音をたてた。


 少し東に傾きかけた太陽の光を浴びて、ジェンマの黒い鱗がキラキラと光って見えた。その巨大な影を、口をあんぐり開ける村人たちの上に落としていく。

「いいぞ、ゆっくり後ろに降りろ」

 ちょっとの間、村の上を旋回していたが、やがてスーッと教会劣塔の上に尾をたなびかせて、塀の向こう側に降りていった。


「行くぞ、蒼也」

 奴が役場前から皆の前を横切ると、塀の方にスタスタと足早に移動する。

 そのまま軽く片足でジャンプすると、あっという間に塀の向こう側に消えた。

 くそ、置いてきぼりかよ。

 転移したかったが、皆の目があるので出来ないし、石塀は6mくらいありそうで、流石にひと跳びで俺には飛び越せない。

 しょうがないので、ヤモリのように僅かな溝や突起に足をかけて登る事にした。

 なんだか俺、だんだん人から離れてないか?


 塀の上は尖った石ややじりのような金属製の突起が刺さっていた。

 顔だけ出して辺りを見回すと、丸くカーブする塀の左側に黒い尻尾が見えた。

 手足に力を込めて一気に塀を跨ぎ越える。

 ジェンマはまたさっきのように地面に伏せていたが、大きくて小山のようになっていた。

 その黒い艶のある塊は、ゆっくりと呼吸するたびに赤の花が散って、夜の椿の山のように見えた。

 ううん、こいつを眺めながらお花見風なことが出来そうな気もする。

 さっき散々見たのに、あらためて綺麗な鱗をしているなあと思った。


【ソゥヤ、遅かったなぁ】

 ジェンマが首をこちらに向けてきた。

「ウルサイな。大きさを考えろよ。こんな高さ一跨ぎに出来るか」

 すると生意気に、フンッと鼻で息をすると、飼い主のヴァリアスの方を見た。

 てめえ~~~っ! そいつと一緒にすんなよなぁ。

 やっぱりこいつは見かけだけだった。ちょっとでも感心して損した。


 それからジェンマは首をもたげると、塀の中に顔を入れてクンクンと匂いを嗅ぎだした。

 あちこちで悲鳴が起こる。

 が、村長の声でそれもすぐ収まった。


「おお~っ、大したもんだな、こりゃあ」

 上で声がしたので振り返ると、塀の上に村長が片足をかけてこちらを見下ろしていた。

 足元には硬そうな泥が積まれている。

 あ、土魔法か。

 そのまま塀の外側に土が流れてくると、その垂直に流れる土砂に乗って村長が降りてきた。


「いやあ、確かにこりゃ見事なドラゴンだ。儂が昔見たブラックより美しいかもしれん」

 さすが村長はビビる様子も見せずに、ジェンマを見上げた。

 ジェンマもそれを聞いてちょっと誇らしげに、胸を張ってみせた。

 村長こいつは鱗だけの奴ですからね。


「村長もブラックを見た事あるんですか。よく無事でしたね」

 確か一番大きい種で凶悪なんじゃなかったか?

「儂の全盛期の頃さ。あのハルベリーやセオドア、アル達と一緒に駆け回ってた頃だよ。

 結局逃しちまったが、あのヴォルワル山岳地帯で出遭った黒竜も、なかなか美しい鱗をしとったぞ。

 ちょうどお前さんみたいな黄金色の目をしとったしなあ」

 ジェンマを見上げながら、しみじみと昔を懐かしむように、村長が首の後ろを擦った。


「ヴォルワルの黒金目……」

 俺が呟くと、ジェンマが左側の金の猫目石のような瞳を動かした。

「ジェンマ、お前のお父さんじゃないのか?」

【さあ、親父が生きてたとしたら、結構な年になるぞ。それに他にも黒の金目はいるし……】

「そうか、確かにそりゃ他にもブラックはいるか」


「なんじゃ、兄ちゃん、ドラゴンと会話出来るのか?」

「えと、その……」

「そうだ、血の契りしてるからな。コイツと蒼也は血兄弟だ」と奴。

「ほっ! そりゃあ、またなんとまあっ」

 村長がまた目を見開いた。

「村長……このことは人には言わないでくださいね。従魔って事で……」

「わかっとるよ。面倒なことになりそうだからのぉ。しかしドラゴンと血兄弟とは……」

 ええ、あくまで『血』ですからね。『乳』兄弟じゃありませんからね。


【俺はソゥヤの従魔じゃないぞぉ】

「わかってるよ。だけど表向きはそうしとかないと、ややこしい事になるんだよ。わかれよ、それくらい」

 なんだか不満げにグルグル唸ってるジェンマを諭す俺の横で、ヴァリアスが村長に訊いた。


「ジジイ、ここの畑はどこまでが村のモノだ?」

「ん? ざっとあそこの三本杉から、向こうの道んとこまでが、大体ウチの村の所有地だが……」

 と、先に見えている3本並んだ樹と、山側に向かう道を指した。

「ふーん、あんまり広くねぇな。ま、逆に十分やれるか」

 そう言ってジェンマに振り返った。


「ジェンマ、お前、今聞いた畑の上に小便撒いてこい」

「「えっ!」」

「ちょっと待てっ! なんの嫌がらせだっ、いきなり?!」

「いや、兄ちゃん、それはちと違うぞ。いやしくもドラゴンの小水じゃろ? そりゃあ肥料として申し分ないぞ」

「あ、そうなんですか?」

 そういや、前にドラゴンの排泄物も薬の素になるとか言ってたっけ。


【……それが……】

 ジェンマが急に頭を下げてもじもじする。

「どうした、お前もしかして――」

【すいません! 我慢できずにさっきの森で用足して来ちゃいましたっ】

 ガバッとまたドラゴンが平伏する。

 その様子に村長が目をしばつかせた。


「ったく、後で使うかもしれねぇから我慢しろって言っただろうが!」

 奴が少し声に怒気を込める。

「待て待て、そんな事言っても生理現象なんだから、仕方ないだろ。しかも酒いっぱい飲んだんだろうし」

 まったくどこの大型犬のしつけだよ。

「そうじゃ、そんな無理せんでいいぞ。出ないもんを無理には出せんじゃろ、さすがにドラゴンでも」

 どうやら様子を察した村長も助け船を出してくれた。


「しょうがねぇな。じゃあまた飲めばそのうちもよおすだろ。

 ジジイ、酒、樽ごと用意できるか?」

「ほっ! そりゃあ多少は出来るが――こりゃまた本当になんて日だっ!」


 村の外でドラゴンを囲んでの宴会が始まった。


いつもご覧いただき有難うございます。


こちらの『なろう』は只今のんびり長閑モード、

『カクヨム』はダンジョン編☆で一波乱モードになってます。

 まあどっちも好きなんですけどね(^o^)


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