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第134話☆『初ダンジョンに潜る』


「ソーヤは装備それだけ?」

 パネラとエッボが俺たちの恰好を見て聞いてきた。


 次の日の朝、お試しダンジョンに潜るべく、俺たちは町の北門のところで待ち合わせしていた。

 一緒に下宿を出たレッカもそうだったが、2人もちょっとこれから山登りのようなリュックを背負っていた。

 レッカはキャメル色の綿入りの腰まである上着を着て、手足に焦げ茶の革アーマーを付けていた。腰には俺と同じようなダガー、手には山道を行く時に使うようなスティックを持っている。

 もちろんあのトラのような山猫ポーも一緒だ。


 エッボもフード付きのエンジ色の厚手のマントを着て、腰に短いワンドを挿している。

 2人とも避暑地のような気候とはいえ、冬のような厚手の服装だ。

 パネラにいたっては、くすんだ銀色のオープンフェイスのヘルメットを被り、ボルドー色の皮の胸当てと腰当タス・4枚に分かれた草摺タシットに右肩当てをしている。腕や足にも同じ革でできた手甲や足当てをしていた。

 リュックの上には丸い盾を乗せ、腰にはダガーとメイスらしき殴打武器を下げている。

 もう完全武装だ。


 それに対して、俺たちはいつもの恰好だ。俺はいつも通り手足にアーマーを付けているとはいえ、リュックなんか持たず、街歩き用のショルダーバッグを肩に下げているだけ。奴にいたっては薄手のコートに腰にショートソードを下げているだけ。アーマーなんかもちろん着けてない。


「ええと、言ったよね? ダンジョンに行くって」

「えーと、いつも私達、この恰好なんで……」

「ううん……。えーと、確かに魔法使いだからそんな重装備しないだろうけどさ。傭兵の兄さんなら、まあ余裕なんだろうけど……」

 どう言っていいものかという感じで、パネラが耳の後ろを軽く掻いた。


 そう、ダンジョンに入る時は、たとえ少しの予定だろうと、必ずする最低の装備というものがある。

 山に行く時もそうだが、万一の事を考えて予備の食糧とかカンテラの油とか、少なくとも2日分は余計に持って行くのが基本だ。

 なのに俺たちはそのまま、街中歩きの恰好でやって来た。そりゃ言われるよな。


「まあいっか。傭兵の兄さんは軽装でも大丈夫なんだろうし、何か足りないモノがあったら、あたい達が貸してあげるよ」

「なんかすいません。パネラさん」

「こっちが誘ったんだから気にしないで。それとさ、これから仮にもパーティを組むんだから、その敬語やめなよ。あたい達だってあんたの事、ソーヤって呼んでるし」


 他の2人も頷く。

 うーん、外国人に多いフランク感だな。まあ、そうやって親近感を持ちやすくして、連帯感を強めていくんだろうけど。


「わかった。じゃあ、パネラ、エッボ、レッカ、今日はよろしく」

「ああ、こっちこそ。あと傭兵の兄さんも」

「オレは蒼也について行くだけだから、気にするな」

「すいません。いや、スマン。こいつはこういう奴なんで、無視していいから」

 俺は3人を促した。


 目指すダンジョンは、町の北門からアジーレとは逆に東のほうへ1㎞ばかり行ったところの、崖下にあった。

 こちらの入口も金属の分厚い壁に覆われ、壁面には魔法式が刻み込まれていたが、その鉄格子は開いていた。


「一応説明しておくと、ここで登録して入場料を払うんだよ」

 入口の横にこちらは石造りの門番小屋があった。その開いた窓の鎧戸の下に突っかえ棒をして、受付台にしていた。


 登録用紙にパーティ全員の名前と予定の帰還日時を書く。

 下半分には『ここで何かあっても当ダンジョン管理委員会は、一切の責任を負わないものとする』というような誓約書になっていた。

 入場料は1人1,200エル。王都の入関税より高い。これはこのダンジョンの管理費などに当てられる。

 ちなみにあのアジーレ・ダンジョンは通常1人500エル。

 なぜこんなに違うのか。

 それはアジーレが初中級なのに対して、こちらのダンジョンは中級クラスだからだ。


 『メトカロ』それがこのダンジョンの名前だ。

 迷路型のアジーレと違ってこちらはフィールドタイプ、そして棲んでいる魔物達は最高D、Cランクだそうだ。つまりオーク以上がいるという事だ。

 初ダンジョンがいきなり中級。なんかあの馬鹿御曹司じゃないが、入る前からドキドキする。


「良かったらこれ使って。僕はもう1枚持ってるから」

 レッカがここの地図を俺にくれた。ここは5層まであるらしく、大きな紙には6等分に仕切った枠に5つの大陸のような地形が描かれていた。残りの枠にはここに生息している魔物の種類が書かれている。

 ドワーフワーグ(小型でずんぐりした狼)、クリムゾンブル、ホーンベア、クレイジーモンキー、稀にレッドアイマンティス……いるのか、あいつ。


「そういや、アジーレもそうだったけど、こっちにもオークとかゴブリンっていないんだね。他のダンジョンにいるのかな」

 ゲームとかじゃオークとゴブリンはどこでも付きものだものな。

「何言ってるのさ、そんな奴ら、人里近くのダンジョンになんかのさばらせないよ」

 パネラが目を丸くして言う。


「蒼也、考えてみろ。アイツらの習性を。アイツらが大人しくダンジョン内にとどまってると思うか。人里近くに来たら、間違いなく人を襲いに来るだろうが」

 奴に言われて、あらためてこれはゲームや小説とは違うんだと感じた。現実にはあいつらは真っ先に人に害をなそうとする天敵なんだった。他の魔物とは別枠なんだ。


「他所から来たって言ってたけど、そっちじゃオークやゴブリンはいないのかい? なんだか魔物も少なそうなとこなんだね」

 少ないどころか、いませんよ。いるとしたらUMAだな。


 2つめの重そうな扉をくぐり抜けて、いざ初ダンジョンに足を踏み入れたと思ったら、そこは体育館ほどの広めのホールになっていた。


 天井や壁にびっしりとレンガを埋め込まれ、教会の建築のようにアーチ状の梁(?)がドーム型の天井を支えていた。それを支える柱にもまた、魔法式らしき呪文が刻み込まれている。

 驚いたのはこのホールのような空間に、露店よろしく店がいくつもあり、簡易なモノから軍隊が使うような野外テントまでがあちこちに張られていた。

 壁の一角にはチョロチョロと水が湧いている泉もある。


「ちょっと長逗留する者達が、外に出ないで一旦ここに滞在したりもするんだよ。あと町まで戻らなくてもいいようにね、足りないものとか、そこの売店で買えるしね」

 そう言われて見ると、露店のような店々には、カンテラやそれに使う油、ロープ、水筒、丸めた防水布を扱う店もあれば、干し肉や乾燥させてスライスした果物、固そうで日持ちしそうな田舎パンのようなパンが、紐に十字に括られて軒先にぶる下がっていた。

 キオスクよろしく、活力剤を店頭でそのまま立ち飲みしていく者もいる。


「こういうとこでは町よりちょっと高めだから、ポーションとかは出来れば町から用意しといたほうがいいよ」

 エッボが小さい声で言ってきた。

 もちろん暖かい食事や酒も売られ、簡易な折り畳み式のテーブルや椅子もあった。

 ダンジョンというちょっとした駅構内のエキナカのようなところか。

 そのエントランスホールの奥に最後の鉄格子があった。


 鉄格子横の門番に言って鉄格子を上げてもらうと、中はやや薄暗いトンネルになっていた。

 5mほど進むと壁に突き当たり、右に曲がるようになっている。後ろで重そうな鉄格子が下りる音がした。


 通路は緩やかに下り坂になっていてそのまま先に進んでいくと、今度は左に曲がるようになっている。本当は真っ直ぐトンネルを作れるはずらしいのだが、これは万一、魔物がここまで侵入してきた時の防御策らしい。

 その為か、よく見ると壁には何やら呪文のようなモノが、あちこちに彫られていた。


 それから3度ほど直角に曲がって進むと、天井から樹の根が伸びて垂れさがっている向こうに、また鉄格子が見えた。そういえば天井や壁が、いつの間にかレンガから土に変わっていた。

 パネラが右の壁にあるレバーを下げると、鉄格子がズルズルと持ち上がっていく。

「ここはさっさと通らないと、串刺しになっちゃうからね」

 そう言われて俺は皆の後ろについてすぐに中に入った。

 少し間をおいて、後ろでまた鉄格子が閉まった。


「ソーヤは後ろにいてね。出来たら傭兵の兄さんには殿しんがりを見ててもらいたいけど」

 パネラがリュックから盾を外して、左手に装着しながら俺たちに振り返った。その左隣にはポーがいる。ちゃんと役目がわかっているんだ。

「戦闘は基本、僕たちに任せて。ソーヤは索敵を頼みたいです。あともし有ったら宝の探知も」

 ポーの後ろにレッカ、その横にエッボ、そしてそのまた後ろに俺たちの順で進む事になった。


 これがダンジョンなんだ。俺は辺りを見回した。

 

 そこは辺り一帯の密林ジャングルだった。外の広葉樹林系の植物ではなく、熱帯性の植物のように幹が太く、濃いめの色をした葉は大きく肉厚なものが多かった。そういった樹々が欝蒼と茂っている。その樹の根元から生えているシダ類の葉の1片も掌のように大きい。

 背の高い樹の上の方には毒々しい真っ赤な花が咲いて、俺たちを見下ろしていた。


 そうして薄く靄がかかっていた。

 おかげでなだらかな起状のある先のほうがよく見えなくなっている。

 それなのに不思議なのは、こんなに熱帯っぽい雰囲気なのに、蒸し暑く感じない事だ。湿気が程よく抑えられ、熱くも寒くもない、春から初夏に変わる頃の気持ちいい温度なのだ。

 

「なんだか外より涼しいかも」

 俺は感心して言った。

「そりゃ獲物たちが過ごしやすいように、ダンジョンが調整してるんだよ。ここら辺の獣や魔物は温帯性だから、出て行かれちゃマズいだろ」と奴が言った。

「だったらなんで植物も温帯性のじゃないんだ? 思いっきり南国というか熱帯、亜熱帯系なんだけど」

 それともこちらじゃこういうのもありなのか?


「恐らくこのダンジョンの素、魂魄が移動してきた元が南の方なんだろうよ。あれは地殻を移動するだけじゃなく、動物や人に憑いて移動したりもするんだ。思念をエネルギーにするからくっつきやすいんだよ。

 そうして適当なところでこうして根を下ろすんだ」

 人にもくっつくのか。なんか船便とかで勝手に渡ってきた火蟻みたいだな。

 

 それにしても当たり前かもしれないが、ここも町に比べるとかなり魔素が濃い。

これはあの黒い森で嗅いだ魔素とはまた違う。緑が濃いせいか、それとも植物が息している空気と混じっているせいか、湿気がないのに雨上がりの森のように青臭い。


 後ろを振り返ると、高い崖がそびえ立ち、そこに先程の鉄格子が下りたトンネルが暗く潜むようにあった。少し先は霧のせいで霞んでしまい、どのくらいの広さがあるのか具体的にはわからなかったが、かなりの広さなのはなんとなくわかった。崖の下の地下にこんなフィールドが広がっているとは。


 太陽がないはずなのに、ダンジョン内が明るいのは天井を漂う霧が明るく輝いているせいだ。強いて言えば、真夏の日の曇り空ぐらいの明るさだ。時折、太陽が見え隠れするように、動く霧の濃度によってところどころが時折光って見える。植物が光合成するくらいの光は十分あるようだ。

 探知の触手を伸ばすと空間が違うのか、なんとも妙な感じがした。

 ブヨブヨとした空気の抜けかかったビニールハウスの中にいるような、張りかけのテントの中にいるような、手応えの無い膜に覆われているような感覚。

 まあダンジョンという疑似生物の体内の中にいるのだから、外とは違うのだろうが。

 なんだろう、ダンジョン初めてなのに、こんな感じが前にもあった気がする。


「あ――― 精霊の泉か」

 俺はつい小さくだが声を漏らしていた。そうだ。あそこだってダンジョンといえばダンジョンだ。しかも上級クラス、いや特級か。


「え、精霊の泉?! それがどうしたの?」

 エッボが振り返った。

 しまった。獣人は一般的に耳が良いんだった。

 横を見ると奴がまた渋い顔をして、ジト目で俺を睨んでいた。ワザとじゃねぇんだよ。


「いや、精霊じゃなくて、そのせ、セイレーンだよ。昨日見たんだ。本物のセイレーンも綺麗だったけど、あの歌姫はそれ以上だったなぁと思い出して……」

 おお、我ながら苦しい。

「ああ、セイレーンね。ソーヤも本物見た事あるの? ベランジェール嬢も美人だけどさ、セイレーン達もいいよね。精霊は見た事ないけど、精霊たちかと思ったぐらいだもん」

 エッボが少しニヤつきながら言った。


「僕は残念ながらまだ見た事ないんだけど、そんなに奇麗なの?」

 スティックで周りの葉を払いながら、レッカも振り返りながら聞いてきた。

「なんだ、まだなのか、レッカ。あれは男なら一度は見た方が良いぞ。絶対自分好みの女が見られるんだから――」

「あんた達、それくらいにしときなよ。今、ダンジョンにいるんだよ? 気ぃ抜いてる場合じゃないからね。全くこれだから男どもは」

 パネラがジト目をしながら振り返ってきた。

 俺より太い腕をしているとはいえ、女がいるんだった。こういう話は男だけでしよう。


「今日は簡単に廻るだけだけど、出来れば何か収穫があるといいね。ポーにもたまには新鮮な肉食べさせたいし」

 飼い主の声にポーが『ミャアァァ~』と振り返りながら鳴く。意味わかっているのかな。


「蔓山猫はこの触手で周りの気配や思念波まで感じとるんだ。一種の探知や伝心だな。

 お前は昨日、直接触れたおかげで逆に思念を流されたんだよ」

 奴が俺の頭を覗いたように話してきた。


 接触テレパスか。確かにテイムされたと言えなくもない。

 だけど可愛いから許すよ。

 ホントはこんなダンジョンじゃなくて、ポーとのんびりピクニックに来たかったなぁ。

 でも、ポーに肉食べさせてやりたいし、俺も頑張ろう。


 あらためて地図を見る。

 1層にも隠し部屋らしき印があちこちに書き込んであった。こういうとこに人間用の餌がランダムに出現するのだろうか。


 「一応隠し部屋まわってみるけど、あまり期待しない方がいいよ。地図に載ってるのは当たり前だけど探索済みだから、そこにまたお宝が出現するのに時間かかるからね」

 俺が探知できるギリギリの範囲に、2組の他の人間達がいることがわかった。彼らも思い思いの方向に進んでいるようだ。


 ん……。

「ちょっと待った」

 しばらく歩いたところで皆に声をかけた。3人が立ち止まって振り返る。先に進もうとしたポーも、気がついて立ち止まった。

 

「なんだか、この地図に印のないとこに何かあるんだけど」

 俺は右斜め前方を指した。多分50mくらい先か。

「う~ん、確かにこの地図にはその辺りに隠し部屋はないねぇ。でも行ってみる価値はあるよね」

 俺たちは進行方向を変えて、そっちに行ってみる事にした。


 腰の辺りまでシダや大きな葉が茂って、足元が良く見えないようなブッシュを歩く。

「ソーヤ、知ってると思うけど、蛭や張り付き虫に気を付けてね。稀にただの張り付き虫かと思ったら『憑りつき虫』のこともあるから。あいつらに頭に入られたら生きたまま傀儡にされちゃうからね」


 なんだとーっ!

 それ早く言ってくれよ――っ。あー、虫除けスプレー持ってくるんだった!

「アイツらは基本、耳や口とかの穴から侵入するから、ボケっとしてなければ防げるぞ」

 虫が気になり出して、遠くへの探知がおろそかになってきた俺に、奴が小馬鹿にしたように言った。


 そうなのか。俺はカットソーの裾をしっかりズボンの中に入れ、フードの縁をお面で押さえるように被り直した。

 うん、これで耳からの侵入も防げるだろう。


 探知した場所に何かあるのは感じるのだが、モヤモヤとして具体的にどんなモノがあるのかは分からなかった。

 ただ分かるのは危険なモノではなく、何か自分たちにとって価値あるものというのだけは感じていた。

 

 たどり着いたのはある高い樹の根元、草とシダが根っこを隠している。草をどかすと太い根っこが絡まった隙間の奥からそれは漂っていた。

 ポーが樹の前まで来ると、根っこの辺りをバリバリ引っ搔き出した。するとボキッと根っこが折れた下に空洞が見えた。


「隠し部屋だ」

 レッカが言った。こういうのが隠し部屋っていうのか。

「ちょっとどいてて」

 パネラがしゃがんで地面に手を当てた。サラサラとまわりの土が陥没していき、根っこの下に人1人が入れるくらいの穴が開いた。中は魔素が濃く渦巻いていて、それが探知の邪魔をしているようだった。

「エッボ、カンテラ出して」

 リュックからカンテラを出そうとするので、俺は光球を作ってみせた。


「おー、それは助かるよ。カンテラ持ってると片手が塞がるからね」

 穴の中に光を入れると、パネラがそっと中を覗き込んだ。探知でそれが穴の奥のほうにひっそりあるのがわかる。

「ある、ある。ちょっとあたいが取って来るよ」

 腕から盾を外すと、意外と身軽にパネラが穴の中に入っていった。

 少しして穴から手だけ出して、地面に幾つかの石を置いた。それはモスグリーン色をした、野球ボールからビー玉サイズまでの魔石だった。


「見つけられたのはこれくらいだったよ」

 入った時と同じように軽く穴から出ると、またパネラが地面に手を置いて穴を塞いだ。

「スゴイね。ここまだ発見されてない隠し部屋だと思うよ。ちゃんと隠しとかなくちゃ」

 エッボが上から枝やシダの葉を寄せて、根本を隠す。

「こういうのって、ただの穴って言わないで隠し部屋って言うの?」

「そうだよ。ただの穴は隠れてないし、第一こんなに魔素は濃くないんだ」

 レッカが地図にこの場所を書き込みながら答えた。


「結構大きいのもあるし、幸先いいじゃん! ソーヤあんた使えるね」

「へへ、それはどうも」

 そう言われて悪い気はしない。

 俺が気分良くしているところに、奴が水を差してきた。

「おい、すぐに警戒を解くな。ここはダンジョンだぞ。探知のお前が一番気を抜いちゃいけないんだぞ」

「わかってるよ。今だけ―――」

 何かこっちに向かってきてる。


「何か来る。それも複数、人じゃない」

 俺はその方向に顔を向けた。同時にポーも俺の思念を感じたのか同じ方向に向くと、腰の触手を傘のように広げた。

「何、匂いはしない――、こっちが風上かっ」

 エッボが辺りの匂いを嗅いで腰のロッドを手にした。


「皆、あたいの後ろにいて」

 おもむろにパネラが前に出ながら、盾を腕に装着するとメイスを一振りした。

 

ここまで読んで頂き有難うございます。

次回は少しアクション入れたいです。

よろしくお願いします。

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