第125話☆『ブリック沼の怪魚と不法侵入』
この日、王都のハンターギルドでは依頼があり過ぎて決める事が出来なかった。なんだかまわりの賑やかさに、落ち着かなかったせいもある。奴に言わせると、俺の中途半端に発達してきた探知能力のせいだと言う。
探知はレーダーのように場の形状やそこにある物質などを感知するが、他にも気配や、人の思念が一種の磁気になって感じてしまう事があるのだ。感性の強い人が、人混みが苦手なのはそのせいかもしれない。
俺の場合はとにかく人混みの中で、皆が思い思いに喋っているような騒めきの波を感じるのだ。実際の声自体は気になる程ではないのだが。
「ヴァリアス、これなんとか出来ないかな。なんか集中して考えられないよ」
なんとか依頼を6件までに絞ったのに、その先から思考が停止していた。
「それは慣れるしかないな。お前が前に言ってた、あの女を意識すると盗み聞きをしてしまうというクセも、オンオフを使い分けするしかないんだ。だからそれが出来ない未熟な魔法使いは、雑念除けの頭飾りを付けたりしてるんだ」
そういやさっきの山賊男も額にチャンピオンベルトみたいなの付けてたなあ。あの顔で繊細なのだろうか?
申し訳ないが、俺はまた思い出して笑いそうになってしまった。
「俺もじゃあそういうの付けたほうがいいのかなあ」
「まあ慣れれば、騒音の中でも寝られるぐらいに気にならなくなるぞ。でも集中出来ないなら、しばらく付けてみるか?」
するりと空中からベルトを引っ張り出した。
「あれ、それ、前にターヴィと修行した時の」
「そうだ。あの時のヘッドバンドだ。あの時はダミーで使ったが、今回はちゃんと改良してやるよ。オレの髪の毛を縫い込んで、兜としての性能もつけてや――」
「スマン、俺が悪かった! なんとか自力でやるよ」
俺は即却下した。
結局、この間キリコと来た時に受けられなかった『ブリック沼の泥採取』を受けようと、ギトニャのハンターギルドに向かった。
応対してくれたのはこの間と同じ受付嬢。俺の顔を覚えていたらしく、仮Dランクのプレートを見て「昇格おめでとうございます」と言ってくれた。
だが仮の一人前の俺には甘くなく、1人ではやはりお勧め出来ないと言ってきた。
そこで俺は取ってきたばかりの魔力認定書を見せた。土は『アプレンティス+(見習い級プラス)』だけど、ランクはともかく魔法が7つ認定されている事には感心してくれた。
よし、もう1つ最後の押しだ。
「こいつ、今回はこいつも同行します! だから何があっても大丈夫です」
ちょっと嫌そうな奴を、壁際から引っ張ってきた。
「こいつはAの傭兵だから、奴と組むならOKですよね?」
俺は奴の身分プレートを見せながら言った。
「え、……ええ、でしたら十分です」
受付嬢は泥遊びとは無縁そうな奴をしげしげと見ながら頷いた。
「ええと、期限はあと17日間くらいあるな。今日はもう3時過ぎだし明日にしようか」
内容にもよるが、受けた依頼をすぐにその日のうちに実行する事は、それほど多くない。モノによって下準備というものもあるからだ。
「まだ3時過ぎだろ。訓練ついでに片付けちまおうぜ」
「訓練なら朝やったじゃないか」
そうなのだ。今日は王都に行く前に、王都が見下ろせる小高い丘の上で、散々走りまわされていたのだ。気分は1人体育会系朝練で、もう俺は自分が魔法使いだという事を忘れそうだった。
おかげで誰もいない場所で水浴びぐらいしないと、人前には出たくないぐらいだった。
「あんたは俺をあの山賊男みたいな魔法使いにしたいのかよ」
「お前の身体能力はあんなもんじゃないぞ。まだまだこれからだ。それにお前の筋肉組織は、ああいう風に肥大はしない。だから今持ってる服が着られなくなる心配はしなくてもいいぞ」
いや、心配してるのはそういう事じゃなくて……。でもあんなゴリラみたくはならないのか。そこはなんだか納得。
ブリック沼は森と平原に囲まれた静かな青緑の沼だった。大きくはないが、長いしっかりした石造りの桟橋があり、クレーンらしき滑車付きの機械を載せた、頑丈そうな船が3艘停まっていた。
水面を覗き込むと見た目の綺麗な色と違って、透明度はほぼ皆無で、全く底は見えなかった。
「兄ちゃんよお、いくら岸寄りでも下手に手を入れるのは危ないぜ」
俺が桟橋に屈んで水の中に手を入れていると、船から桟橋に降りてきた人夫風の男が声をかけてきた。
「動くものには何でも噛み付く‟ランカァ・ガー”の奴らは、こういう端っこにも来るからなあ」
その‟ランカァ・ガー”というのが、例の危険な肉食魚なのだろうか。男は猫車のような一輪車に、泥が入っているらしい袋をたっぷりと載せて運んでいる。
俺は礼を言って、沼底がどのくらいの深さなのか探知してみた。
おお、意外と深いな。青緑に濁った水の中をどんどん下に触手を伸ばしていっても、なかなかそこに着かない。沼ってのは湖よりも底が浅いものを言うんじゃなかったか?
やっと底に着いた感触があったのは、おそらく30m近く下がったとこだと感じた。
「先に手前から泥を採っているからだろう。沿岸にはもう良い泥はなさそうだな」
ヴァリアスが横に立ちながら言う。
「じゃあ、この沼のもっと奥とかじゃないと、良い泥はもう無いのか」
俺はあらためて船の方を見た。男達は忙しく泥を、平地に置いた荷車に積み替えている。あと2時間もすれば日も傾き始めてくる。3時間足らずで町か村まで戻らなくてはいけないのだから、まさかこれから作業しようとは思わないのだろう。ただの観光で訪れた者のように思われているようだ。ここら辺は特に見るものは何もないよと、太いロープの束を抱えた男が通りすがりに言ってきた。
なんだか作業の邪魔になりそうなので、俺達は桟橋を離れてグルッと沼の縁に沿って移動した。
「この沼にいるプランクトンや藻・魚などの死骸がバクテリアで分解された物質と、元々この地にあった鉱石が混じり合って、哺乳類の肌を洗浄・活性化させる物質に変化するんだ。それがちょうどよく生成されるのが、バクテリアが一番活発に動く今の時期なんだよ」
木立に沿って歩きながらヴァリアスが説明した。
「そういう泥や土は各地にあるが、知られている中でここのは、特に人間の肌によく合ってるんだ。金持ちの間で結構な高値で取引されてるんだぞ」
そう言われると、さっきの作業している男達は無精ひげのむさそうな野郎ばかりなのだが、手だけが妙にスベスベと綺麗だった。以前何かの化粧品のCMで、あるモノを使って作業する職人の手だけが綺麗になる事から保湿成分を発見した、みたいなものがあった。どうやら効用は確かなようだ。
依頼書を見ると『含水率30%以下のもの』と、泥を水増し出来ないようになっている。また質も混ざりものがないかチェックされるらしい。その質と水分量によって1Pd(ポムド=453g)864e~2,730eとずい分ふり幅がある。
それでもさっきの男達みたいに100㎏(約220Pd)以上採れれば、最低でも20万エル近くにはなるのか。
「ちなみにこんなのが一番成分の濃い泥だ」
ヴァリアスが俺の鼻先に、掬った泥の玉を浮かばせてきた。
「臭っ!」
俺はビックリして反り返った。
見た目は青緑色に少し白いクリーム状の筋が入った、アイスクリームのミント味にでもありそうな色なのだが、その匂いは青魚がそのまま腐ったものに、セロリ系の匂いが混ざったようなものだったのだ。
「基本、発酵・腐敗物の混合だから当たり前だ。製品にする時には良く煮た後に、香料とかを足して匂いを消すんだよ」
「つまり腐敗度が強いのが特に成分が濃いって事か」
探知であらためて底を探ると、やはり沼の縁の近くは沈殿物が少ない。ある程度岸から離れなくては十分に熟成した沈殿物の層はないようだ。
だが、探知の触手は届くのだが、いかんせん土魔法の触手はそこまで届かない。これはやはり船でも出すしかないのか。
「船なんか要らないだろ。水面を行けばいい」
奴がダークサイドに堕ちたキリストのごとく、水面を歩き出した。水魔法で足元だけ水を固めているのだ。
簡単に言ってくれるが、俺は水と土と探知の、少なくとも3つを一緒に操作しなくてはいけなくなるのだ。 前にも思ったが、どこの勇者様だって一度にこんなにやらないぞ。
だが俺に拒否権がないのはいつもの事。俺は奴の後を注意して追った。
「この辺りがいいかな」
沼は丸型ではなく、長めのS字のようにカーブしているので、この場所からだと桟橋は全く見えない。人目を気にせずに行なうことが出来る。
足下の水底の泥の腐敗度も良い具合だと思う。
とりあえずガッツリ掴んで、出来る限り水を抜いて圧縮しながら、沼底から泥の塊を引き上げた。
何かが近づいてくるのがわかった。
それは不透明な水の中を、まっすぐに躊躇なくこっちに向かって進んでくる大きな魚らしきもの。
泥の塊から水を抜きながら上げているとはいえ、水中での土は重い。そのため掛かる水の負荷を少なくするという操作もしている。だから足元もあり、水の操作が複雑になっていたため、探知がおろそかになっていた。
気が付いた時にはすぐ10mくらいの範囲に複数あらわれていた。
そのうちの1匹が勢いよく、もう少しで水面に上げられそうだった泥塊に、ぶち当たるように噛み付いた。
「あっ、くそっ! もうちょっとだったのに」
塊はバッと拡散するように水中で崩れた。
「来るぞ」
もう泥は後回しだ。俺は探知と足元の水に意識を集中した。
俺の足元に斜め下から勢いよく向かってくる2m級の大魚を感じた。水面を足場に、ギリギリ引き寄せて後ろに跳ぶ。
派手な水しぶきを上げて、さっきまで俺がいた水面に怪魚が姿を現していた。
尖った長い口、その口にはびっしり細かな牙が生えている。背中の青と白のまだら模様の鱗が、陽の光を浴びてキラキラ光って見えた。
が、そいつの銀色の腹が見えた時、俺は着水するのにうっかり足元の水を固定するのを忘れそうになった。
そいつの腹には目と鼻のように見える歪んだエラと、もう1つの大きな口があった。エラは八の字型に左右4本ずつあり、口は大きく苦悶したように‟への字型”をしていた。それが恨めし気な老人の顔のように見えたのだ。エイの顔も人の顔に見える事があるが、これは醜悪だった。
ざっぱぁんん! と、そいつはまた大きな水しぶきを上げて水中に没した。すぐに別の奴がやってくる。
同じ位置にいてはマズいが、水上で何度も跳ねてるのも分が悪い。三方向から近寄ってきた奴らに、頭を狙って思い切り電流を流した。
バシャアァァン! ビシャアァーン ! 怪魚たちの打った水柱が高く上がった。
効かなかったかっ?! 思わず身構えたが、怪魚たちはそのまま水面に体を叩きつけると、プッカリとさも恨めしそうな顔を上に見せながら浮かんできた。
おお、これは殺ったのかな……? 水だから電気が通り易かったのか、電気に耐性がなかったのか、どっちだかわからないが。
見ていると、うち1匹がピクピクと動き出したかと思うと、すぐに回転して水中に潜っていった。残り3匹はピクリとももう動かない。
「1匹は逃がしちまったが、とりあえず良くやったぞ。こいつは見かけの割に脂がのってて美味いんだ。もちろん売れるぞ」
「食うのかこんな、怖い顔……」
やだなぁ~。なんか凄く恨めしそうで……。そっちも俺の命狙ったんだから恨まないでくださいよ。
俺は必死に祈ってから、引き寄せて収納した。
「‟恨み顔”だから『ランカァ(恨み・怨恨)・ガ―』って呼ばれてるんだ。元々はここまで歪んだ顔似じゃなかったんだが、人間どもがコイツらを選別した結果なんだよ。たまたま恨み顔に見えるヤツを気持ち悪いってんで、獲っても殺さずに逃がしてたんだ。その結果、そういう歪み顔タイプが生き残って繁殖したってだけのことだ。別にコイツら自身は恨みも憎しみも何もない。シンプルに本能のまま生きているだけなんだがな」
そうなのか。それならいいんだけどさ……。
もうさっさと泥を掬って帰ろう。
地面に戻ってから、掬った泥の水分量を約8%くらいまでにして、普通のレンガ状のブロックにした。水をもっと抜くことも出来るが空気中の湿気を吸ってしまうので、それ以上抜いても無駄だからだ。
大体全部で34㎏ぐらいか。本当はもっと採りたいけど、さっきの魚がまた来ると嫌だからこれぐらいにしておこう。
「さっきの人達、どうやってあの魚から逃れてるんだろ。あんな風に跳んでくるんじゃ、船の上でもおちおちしてられないだろ?」
俺は臭いレンガを収納しながら奴に聞いた。
「簡単だ。魚は音に敏感だろ? あのランカァ・ガーも五月蠅い音や甲高い音が嫌いなんだ。だから船の上で鉄板とかを叩いていれば近寄って来ないんだよ」
「なんだとぉっ! それ早く言えよっ」
「始めから知ってたら、こんな姿見なかっただろ? 何事も経験だ」
くそぅ、わかっちゃいるけど、なんか腹立つな。
「それじゃ音出してれば大丈夫なら、そんなに危険な仕事でもないんじゃないのか? ああいうクレーンがなければ大変だとは思うが。あの受付、というかギルドの仕事の査定って大袈裟なんだな」
「音を出していても絶対来ないとは言えないんだぞ。腹が減ってりゃ構わず襲ってくる事もある。
それに船にあの尖った鼻先で穴を開けてくるなんてざらにある事だからな。地上に比べて水上の方が格段に危険度は高いだろ。
絶対安全なんて事はないんだ。
お前は草食動物みたいに臆病な癖に、危険に対する想像力が欠けている!」
ヴァリアスの奴は話ながら、俺の額をグイグイと指で押してきた。
「いてぇな。しょうがないだろ。これでも俺は都会育ちなんだから。自然のしかも異世界のサバイバルなんて知らんもん」
「そうなんだよなー。知識もないせいか、とにかくその意識の低さがネックなんだよなぁ。ひたすら危険な目にでも遭えば少しは鍛えられるかな……」
奴が溜息混じりで不穏な事を呟いた。
「待てっ! お前のその考え方が一番、俺の危機感を刺激するぞ。結果は俺がただ泣くだけになるから止めとけっ」
ちなみに魔物の本によると、あの怪魚の肉は意外と泥臭くなく、泥が溜まった内臓は高級化粧品の素材に使われるのだそうだ。
しかもあの腹の顔の部分の皮を加工して、笑い顔に作り変えたマスクが縁起物として売れるというのだ。
‟恨みや穢れを消して、今度は幸福がやって来る”という意味があるらしい。
本当に国が違うと色々な考え方があるもんだ。
「じゃあ時間も中途半端だし、帰りは転移を使わず走っていくか」
ああ、もうそんな事言われても驚かなくなったよ、俺。逆にマヒしてきてる感じがする。
ここはギトニャから大草原をずっと西に行って森を1つ抜けたところだ。今の俺なら閉門までにギリギリ間に合う距離でもある。森の中にはちゃんと魔除けの杭のある、人道も繋がっているので、比較的走りやすい。
「わかった。じゃあそれで今日の訓練は終わりで良いんだな」
俺は足のストレッチをしながら言った。
「いいぞ。ただし、道じゃなくて森の中をだがな」
こんのぉ~っ、ドS悪魔め~!
ラーケルに戻ってきた時には5時過ぎだった。
もう森の中ではやっぱりハプニングがあった。縄張りだったのかワイルドボアー(猪)に追いかけられた。こいつは意外と電気が利かないタイプだった。樹には蛇蔓というツルに似た食肉植物が絡まっていて、樹に飛び移るのは断念した。
なんとか振り切ったが、さすがは四つ足、ギリギリ危なかった。おまけに一角兎が乱入してくるし、もう俺にあまり殺生をさせないでくれよ。
市壁が見えてくると門にフランが立っているのが見えた。
疲れ気味の俺は、今はあの男のテンションの高いオーラを浴びたくはなかった。もちろんヴァリアスの奴も、師匠とうるさく付きまとわれるのを面倒くさがっていた。
だから俺達はまた、勝手知ったる何とやらで、役場の裏に転移して入った。
「おっ、馬車がいる。来客かな」
いつもの役場の裏手、馬小屋と倉庫の前に2人乗りくらいの小型の馬車が停まっていた。馬小屋にも3頭の馬が繋いである。
珍しいな。俺は馬車を見ながら横を通ろうとした。
急に敵意を感じたのと、役場の横から男が飛び出してきたのは、ほぼ同時だった。
「貴様っ! いま気配を消して来ただろうっ!」
革鎧をしっかり身に着けた武装した男は、ズンズン俺に迫りながら怒鳴ってきた。
「えっ……、あ、その……」
確かに転移していきなり村の中に出現したんだから、そう思われるのか。
謝ろうとした瞬間、俺の体がビシッと動かなくなった。
えっ? バインド?! 正確に言うと両腕が何かに抑え込まれて、体にぴったりとくっ付いて離れなくなってしまった。足は開いてはいるが、何かが巻き付いて動けない。
パッと左右を見ても、奴の姿が見えない。あの野郎、こんな時にいなくなりやがってっ。
「すいませんっ! 何か企んでたわけじゃないんです。ちょっと門を通りたくなくて……」
いや、これ、いい訳になんねぇな。
「ふざけるなっ! 何者だ、お前っ」
男が腰の剣を抜いて俺の顔の前に突きつけてきた。
しょうがない。ヤバかったら転移で……。
あれ? こんな魔法で押さえ込まれてて転移出来るのかな……?
それに知ってる村だから平気だろうって勝手に思い込んでたけど、不法侵入に気配を消して役場に近付くって……。
――本当にマズくないか これっ!!
男の敵意と鼻先に向けられた切っ先のせいで、俺は急に事態の深刻さを感じ始めてきた。
剣先がするりと俺の頬すれすれに動いて、フードを引っ掛けるとそのままめくられた。
「あ……! お前……!?」
男は俺の顔を見て驚いたようだ。
あれっ 俺もこの人、見た事あるぞ。
俺が喋ろうとした瞬間、男の後ろに奴が現れた。
「ぐっ!!」
男は振り返る間も与えられずに、首根っこを掴まれて、勢いよく地面に叩きつけられた。
「てめえ、よくもオレの身内に剣を向けてくれたな。やったからには覚悟は出来てるんだろうなあ?」
もう神様の鱗片も感じられない、この極道フォースの始祖みたいな奴と身内とか思われたくない。
「手をどけろっ! 馬鹿ヴァリーッ! 悪いのは俺達なんだからなっ。あと身内ってやたらに言うなよ」
バインド(縛め)が解けて、俺は奴が押さえつけている腕を掴んだ。
「なんでだよっ! ファミリーは身内だろうが。それとも家族のほうがいいのか?」
そっちに反応するのかよっ。
「だから言うなって! それより手を離せって」
男は首を押さえられ地面に伏せたまま、俺達のやりとりをじっと聞いていた。
俺は思い出した。
彼はあの地豚狩りの時に、ドラゴンの鱗を売ったバイヤーと一緒にいた、護衛の風使いの1人だった。
ここまで読んで頂き有難うございます!
うう、『ランカァ・ガー』の名前に一部誤字がありました。ギーじゃなくてガーです(汗)
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『ランカァ・ガー』の人間の手による淘汰の話は、平家蟹から拝借しました。
人面魚もそういう選択による人間の淘汰のせいかもしれませんね。
最近、持病の肩こりが酷くて、特に左が手まで痺れる状態で……痛みで寝てても目が覚める始末。
寝不足で調子が悪いです……(´;ω;`)
整骨院だけじゃダメかもと、肩こりに効くという飲み薬を購入。
で、1回何錠飲むのだろうと、あらためて箱を見ると、エンボス金地に黒文字。
もう角度によってはキラキラしちゃって、見づれぇっ!! って思わず突っ込み入れたくなった。
治さないとパソコンで作業しづらいよ~。




