第六話 診察見学
この病院に診察で来る人は少なく、ほとんどの患者は他の病院からの勧めで来る。もちろん診察などもするが、そこそこ大きい病院のため敬遠されやすいようだ。
「斉藤様どうぞ。」
診察をしているところを見てみるか?と言われたので、僕は雑用を一度止めて診察室に入った。すると、高橋先生がカルテを見ながら診察を進めていた。
「えーっと、最近呼吸困難になったんですね。肺に支障が出ているという可能性が高いので、一度調べてみましょうか。こちらへ来て下さい。・・・・・・あ、CTの準備お願いします」
すると、ひょこっと現れた放射線技師(?)が、
「了解です。」
MRI(核磁気共鳴画像法)というのは、簡単に言えば磁気の共鳴によって生体内の内部の情報を画像にする機械のことで、CT(コンピュータ断層撮影)というのは放射線などを利用して物体を走査し、コンピュータを用いて処理することで、物体の内部を構成することだ。
僕は、あまり機械についてまだ詳しくないのだが、確かCTは放射線を使うため、被爆する可能性があるはずだ。それについて尋ねてみると、
「確かに、CTは被爆する可能性があるけれど、違う病気で肺がやられてしまったら意味が無いだろう?しかも、MRIでは骨と空気の違いが無くなってしまうからね。」
と答えられた。こういうことも当たり前になってこそ、やっと立派な医者になれるのだろう。
・・・・・・15分ほどがたっただろうか。無事(?)に検査が終わった。その画像はとても素晴らしく、それ程詳しくない僕ですら、美しく感じた。
それを見ながら、高橋先生は診察を再開した。
「えー、まずはこれを見て下さい。あと、こちらが正常な肺です。」
彼は、二つの写真を患者に見せた。
「ここを見て頂ければとてもわかりやすいと思うのですが、肺の表面が風船状になって今っています。病名は「気胸」というのですが・・・」
と言ったところで、
「え!?」
と患者が遮った。
「その病気、私なったことあります。」
気胸とは肺から空気が漏れて、胸腔にたまっている状態のことをいう。
「はい、この病気は再発をするんですよね。前の医者はそういうことを言っていませんでしたか?」
「あぁ、言っていたような気もする・・・。」
どっちだよ・・・と思いながら、僕はレントゲンの写真をみる。確かにまるい物体の様な物が写っている。
「これは手術が必要です。内容としましては、ブラ・・・肺の表面にある風船状のものを切除することです。二日後に手術をしますので、病衣をきてベッドで横になっていて下さい。」
「あ、はい。わかりました。」
そして、自分の部屋へ戻っていった。この文章だと分かりづらいかもしれないが、彼は元々入院していた人だ。
僕も大学でしっかり勉強して、医療免許もしっかりと持っているので、そこそこの知識はある。それでも、こんな風に診察しているところを見ると、自分はまだまだだなと思ってやまない。僕も、早く立派な医者になってみせる!!
やっとまともな医療を始めた。ロボットに入ってるとか、仮想世界がどうとか、現実から遠く離れたような話ばかりしていましたからね。まぁ、作者からしたら、調べることが多すぎて頭が混乱してくるんですけど・・・。
あ、5話の高橋外科が高橋記念病院(こっちの方が大きい病院っぽい)に話の都合上変わってます。
テンポの速い話なので、なぜこうなったの?などがあったら、僕のTwitterか、感想に書き込んで頂ければ、本編にその話が載ることがあります。よりよい小説を!!
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(@Cain06892403)