第四話 入学式と体調不良
2019/6/9更新
この辺りから少しずつ文章構成力が上がってきたのかな?
入学式当日。
「・・・・・・体調が悪い。」
体温計を脇に挟み、体温を測る。
「・・・・・・39度・・・・・・。ダメじゃん。詰んだ。」
プルルルルルルルルル。電話が鳴った。石川さんのようだ。
「すみません、体調が悪くて・・・。」
「いや、仮想世界に行くんだから関係ないでしょう。早く来て下さい。」
そうだった。今から向かうのは入学式会場ではなく、あくまで石川さんの会社だった。
「というか、車くらいよこしてくれてもいいんじゃないですか?体調が悪いだけではないくて、足も悪いんですよ?車くらい来てくれてもいいと思うんですが・・・。」
「いや、車なんて無いですよ。僕の車だって、ただの軽自動車ですよ?家の会社、給料少ないですし。そんな資金があったら、機械の開発やアップデートに使いますよ。」
「その軽でいいんで、会社まで送ってって下さい。体調悪いんですよ。」
「なんか、段々人を使うようになって来ましたね。いずれ、ため口になってそうで怖いですね。まあ、別にため口でも構わないのですが。仕方ない・・・。分かりました。そちらへ向かいます。」
勝った!!よし、朝ご飯でも食べながら、ゆっくり車が来るのを待つとでもするか。
数十分後に、本当に軽自動車に乗っていた石川さんがやってきた。
「まさか、本当に家で待っているとは・・・。」
「あなたの研究に付き合ってあげているのですから、それくらいしてくれても罰は当たらないと思いますよ。」
そう言うと、石川は不満げに言う。
「この研究はアナタのためにもなっているんですけどねぇ・・・。」
そんなことを話している内に、石川さんの研究所にたどり着いた。
何度見てもあまりに大きい機械である。春休みの間も、仮想世界からの行動になれるためにリハビリなるものをやっていたため、何回も見ているのだが、それでもこの大きさには圧巻される。
「それでは、早く仮想世界に入って下さい。入学式まであまり時間がないですから。」
急かされても・・・。
仮想世界に入ると、今まで風邪だったことが嘘のように感じるほど、体が軽く感じた。
「入学式って何時からでしたっけ?」
石川さんが尋ねてきたことに対して、10時と答えると、
「え!?あと40分位しか無いじゃないですか。」
「え?僕が入学した医大はそこまで遠くないですよね?」
「あれ?入学マニュアル読んでないんですか?大学は基本的に人数が多いですからね、それぞれの学部も合わせて。なので、入学式の会場は確か・・・・・・文化ホールでしたね。急ぎましょうか。」
そうだった。学校は医大じゃなかった。医学部のある、国立大学・・・『国立聖院大学校』だった。受験の届けはや入学手続きなぢは全て石川さんや親に任せていたので、行く学校についてあまり知らないのだ。
慌てて車に乗り込んでから、僕は石川さんに尋ねた。
「・・・その学校評判は大丈夫なんですか?」
「えぇ、基本的には大丈夫ですよ。最近不正入学のせいで、若干評判は下がってしまっていますけどね。」
「・・・なんで評判の下がった場所に送り込もうとしたんんですか。」
「その学校くらいしか『完全バリアフリー計画』の研究に付き合ってくれる学校がなかったんですよ。」
「いや、『完全バリアフリー計画』に失敗したら、さらにその学校評判が下がるじゃないですか。その学校はバカなんですか?」
「現段階で、少し評判が下がっていますからね。もしもこれが成功すれば、今まで下がっていた分、評判がすこぶる上がるんですよ。まぁ、アナタがスランプにでも陥らない限り、失敗することはほとんど無いですけどね。
いや、失敗したら僕やこの会社だけじゃなく、学校側まで被害がいくのか……。責任重大過ぎるだろう。本当に僕で良かったのか?
「……とりあえず入学式の会場に着いたので、話はここまでにしておきましょうか。先生が知っているからと言って、アナタが世界初のバリアフリー患者だと言うことをくれぐれも話してはいけませんよ。どんなに信用ある人でもね。この世に信頼が出来る人なんていないんですから。」
ん?なんか今、怖いことを言われたような……。『この世に信頼出来る人なんていない』?まさかこの人の口からそんな言葉が出てくるとは。まぁ、今僕はこの会社と学校、両方信頼していないけどな。
「さて、入学式か。どんな生徒がいるんだろうな。変な奴ばかりだったら嫌だな。もしろくな奴がいなかったらどうしよう。」
そんな不安を抱えながら、僕は文化ホールへと入った。
テンポの速い話なので、なぜこうなったの?などがあったら、僕のTwitterか、感想に書き込んで頂ければ、本編にその話が載ることがあります。
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