第十話 謎の外科医『赤城慶』
~研修二十五日目~
研修が始まってもうすぐ一ヶ月。大分この仕事にも慣れてきたような気がする。
ただ、研修という物が分からなくなってきたような気もする。
外科医というのは基本的に見て動きを覚えることしか出来ない。いずれは執刀しなくてはいけないのに、若い内に一度も執刀させてくれないというのはどうなのだろうか。
そんなことを考えながら病院へ行くと、白衣を着た知らない人が立っていた。
「どうも、赤城慶だ。今日からこの病院で働くことになった。よろしく。」
・・・・・・なんか、少し無礼な人だな。僕が研修医だと知っていて、下に見ているのだろうか。
「こんにちは。研修医の黒崎真人です。宜しくお願いします。」
「研修医だったのか・・・。まぁ、若くは見えたけど。ところで、高橋先生はどこにいるんだ?」
「えっと、彼ならスタッフルームにいますよ。というか、まだ会っていなかったんですか?」
「あぁ。あのヤロー急に呼びやがったからな。まぁ、俺も前の病院で無茶したのが悪いんだけど。」
・・・無茶をしたって、一体何をしたのだろうか。
初頭効果といって人の第一印象は7秒で決まり、それは半年近く続くと言われている。服装が乱れていて、口も悪くこの人の第一印象は最悪であった。
朝会で彼のことが軽く紹介されたが、出身校や得意分野が心臓だということなどが紹介された。まぁ、僕はこの人が昔何をしたのかが気になって、それどころではなかったのだが。
朝会が終わった後、赤城は僕に話しかけてきた。
「お前は研修医なんだろ?残念だったな。日本に生まれて。」
僕は、この言葉の意味が分からず「なぜですか?」と聞き返した。すると、
「日本にはクソみたいな習慣があるからだよ。」
と言い返された。クソみたいな習慣とは何だろうか。と悩んでいると
「アメリカでは若手をどれだけ育てるかを頑張っているが、日本はベテランばかり使いやがる。精神の弱い医師は若い内に消えるからそりゃベテランはみんな使い物になるさ。使えるやつを使うっていう考えの日本がある限り、お前ら研修医はダメなままだって俺の好きな漫画に書いてあった。」
・・・・・・漫画の話かよ。でもアメリカの方が進んでいるのは常識だ。僕は何かを言おうとしたが、赤城がどこかへ行ってしまった。
彼の手術を見ることが出来たのは、その2日後・・・・・・心筋梗塞の手術でのことだった。
遅い!!そう思っている人も多いことでしょう。すみません。
前回の話は年内に一本だそうと思って無理矢理作り、メチャクチャな話になってしまったので、今回はしっかりと作りました。(笑)
短すぎる!!と思う方もいるでしょうが、次回の話がそこそこ長いという予定になっております。
テンポの速い話なので、なぜこうなったの?などがあったら、僕のTwitterか、感想に書き込んで頂ければ、本編にその話が載ることがあります。よりよい小説を!!
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(@Cain06892403)