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絶望の化身  作者: Cain/カイン
プロローグ
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プロローグ

2019/5/11更新

人は絶望をすると、心のどこかに悪魔が生まれる。

その悪魔は、絶望をした者たちにさらに絶望を与える。

幻覚、幻聴、不安感、人間不信。その全てがたたみかけてくる。

それに打ち勝つために・・・


「僕はブラック・ジャックになりたいです。」

「アナタには無理よ。」

 ここは指導室。僕は黒崎真人。医者志望の中学生である。しかし、僕には普通の人とは違う特徴がある。それは・・・。

「だって、アナタには、足が無いじゃない。」

 そう。僕には足がない。いや、正確に言うと、足はある。だが、両方の足が一切動かないのである。

 僕は幼稚園児の頃、車にひかれ、一命は取り留めたものの代わりに足を失った。足を失った僕にとって、医者になるということは不可能に等しい。それでも、医者になりたい理由が僕にはある

「でも先生、あなたは障害があっても、何でも目指すことが出来るって言ってくれたじゃないですか!!」

「それとこれとは違う。確かに車椅子で医者をしている人はいるわ。でも、アナタが目指しているのは“外科医”でしょ?精神科ならまだしもそんな体で手術をするなんて、無理に決まっているわ!!」

 確かにそのとおりである。車椅子外科医なんて前代未聞である。それでも、僕が外科医になりたい理由がある。

「僕の担当医だった人は、こう言いました。人は絶望すると、心のどこかに悪魔が生まれ、その悪魔は、さらに絶望と苦しみを与える。しかし、希望さえ持ち続ければ、悪魔に打ち勝つことが出来ると。」

「医者は子供の未来を担っているから、そのようなことを言うだけ。みんな似たようなことを言うわ!!絶望しなければ何にでも慣れる訳じゃない。人それぞれに出来る環境と出来ない環境があるのよ。それを人は不可能と言うの。」

「それでも、僕は絶対にあきらめたくない。思春期は絶望する人が多いから自殺率が多いんです。」

「絶望絶望うるさい。話にならないわね。」

 そして、先生は立ち上がり、教室を出ていった。そんなにもダメなことなのだろうか。障害者が外科医になりたいと思うことは。

 手術の時はいすの高さを変えれば手術ができる。診察の時だって、基本的に医者は皆、椅子に座っている。

 誰もやっていないことをやってはいけないなんて誰が決めたのだろうか

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