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9 殺戮者―邂逅後―

 死神との決着がついた殺戮者は武器商人ウェポン・マスターのところを訪れていた。


「2夜連続とは珍しいな、何かあったのか?」

「ああ、死神に喧嘩を売ってきた」

「死神に喧嘩を売るとは馬鹿なことをしたもんだな、すぐに殺されるぞ」

「ハッ殺し返すさ。」


 確かにあいつとはこれから先、殺し合うこともあるかもしれん。いや、せっかく見逃したんだ、そうでないと困るな。あいつと殺り合うのはなかなか楽しかった、俺の目的達成までの暇つぶしに遊んでやろう。そういえば名前を聞くのを忘れていた、俺が殺した親友と話しているときは「斎藤」と呼ばれていたな。まあ、いずれ会った時にでも聞いておこう。


「それで今日の用事は何だ?」

「話が早くて助かる、実はここを離れようと思ってな、食糧と砥石、それとテントを買いに来たんだ」

「馬鹿か、俺は武器商人だぞ、食糧と砥石はあってもテントは取り扱ってない。」

「まじかよ…そいつはきついな!」

「買うのならホームセンターにでも行くんだな」

「コミュ障であるこの俺が行ける訳ないだろう」

「すまん、冗談だ…」

(この男、コミュ障じゃなかったら行くのだろうか?俺は『殺戮者であるこの俺が行ける訳ないだろう』と返って来るのを期待したんだが)


「なんだその目は」

「いや、何でもない」


と言って、武器商人ウェポン・マスターは、殺戮者に向けていたジト目を逸らし、


「食糧と砥石を準備してくるから、ちょっと待っとけ」

「おう」


準備をしに奥に入っていった。


待つこと5分、荷物を抱えて武器商人は奥から出てきた。


「そういやお前、ここ離れるって言ってたけど、どこに行くんだ?」


と荷物を渡しながら殺戮者に問いかける。


「北」

「は?」


武器商人は思わず聞き返す、


「だから、北だよ北」

「……あぁ北かぁ……」


その商人はフリーズしていた、


「おい、しっかりしろ。」ガクガクユサユサ

「は!俺は一体何をしていたんだ?」

「お前は俺の旅の準備をしていたんだ!」

「…ああ、そうだったな…北に行くとか馬鹿なことを言い出したから固まってしまった」

「馬鹿とは失礼な、俺だってちゃんと計画立ててるんだよ。」

「お、おうそうか…ほれ準備できたぞ!」

(計画については聞かないでおこう)


この商人、結構修羅場をくぐって来たはずなのだが…


「ありがとさん、じゃあ貰っていくぜ」


そう言って殺戮者は荷物を自身の闇の中に放り込んだ、こいつもこいつで謎だ、だがそのことには驚かない商人、


「そうだ、俺もそろそろ、店を移転させようと思ってたんだ」

「どこにだ?」

「一度九州に戻ろうと思ってな、ここからだんだんと南下させていくつもりだ」

「そうか、じゃあいつかまた縁があったときに!」

「ああ、縁があったときに」

(割とすぐなんだろう、こいつとの縁は不思議なもんだからな)


そして殺戮者は北へ向けて出発するのだった。

お読みいただき誠にありがとうございます。

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