13 相棒
「支部長が気絶したようだから、ここからは、儂が話を引き継ぐぞ」
「!」
そう言って木戸は話を進めていく
「今回の任務のことだが、支部長はお前さんを囮として使うつもりだったらしい…」
囮という言葉にはあまり驚かない壱月、
「確かに、追うだけでいいというのは、疑問でしたが、そういうことですか。」
「だが、儂はお前さんの殺気を感じて、確信した、お前さんは殺戮者に死刑を執行する覚悟があるのだと…」
「…!」
「そしてある程度修羅場をくぐれば、日本支部内最強の死神になれるだろう。」
「…木戸さんはなんでそんなに俺のことを買っているんですか?」
「君が口にした『悪・即・斬』という正義、それを昔の友人も言っていた事を思い出してね」
「そういうことですか」
「まあ、儂の事はどうでもいいんじゃよ。儂がここに来た理由はこれをお前さんに託すためだ」
「これは?」
木戸が支部長の机に縦に長い黒色のケースを置いた。
「こいつは、これから君の相棒になる特別な武装だ。」
「特別な武装?」
「聴いたことはないか、死神界に八つしかない、神々が造ったとされる武装があると。」
「まさか、致死概念付与武装…通称【死絶武装】ですか!?」
「そうだ、四神話の鍛冶神が造り上げた、死神専用武装だ」
ニヤリと笑い木戸はケースを開いた。
「その中でお前さんに託すのは、日本神話〈金山彦神〉が造ったとされる、【死雨】だ。」
そう言って木戸は壱月に【死雨】を渡した、武装の種類は刀剣のようだ。
だが壱月は一つ疑問があった、
「半死神の俺が使えるんですか?」
「使えるとも、【死絶武装】は『ドレッドノート』と同じく死神特有の魔力を使うからな。」
「俺でも使える!」
「だが、一つ注意が必要じゃ、」
「マスター登録ですね?」
「あぁマスター登録が完了できて初めて【死絶武装】は真価を発揮するからな、あとマスター以外が鞘から抜こうとすると即刻死に至る」
「なるほど、どっちみちマスター登録しなければならないんですね」
「それが…先代の【死雨】使用者がマスター登録を解除するのを忘れてしまってな、お前さんが登録するには、先代の魔力に上書きしなければならないのだ。」
「魔力の上書きですか…一度やってみます」
「ああ気をつけてな」
壱月は【死雨】の柄を持ってかなり魔力を込めるが反応はない、更に魔力を強めるがまだ反応はない…まだまだ魔力を強めるが…反応はない、これで最後だとありったけの魔力を込める!
「はぁあああ!」
すると、【死雨】は輝きだし、光を強めていく!
が、しかし
「マジ…か…」
ここで壱月の魔力が底をつき…【死雨】の輝きもなくなっていった…
「ハァハァ、相当手強いですね」
「だが、儂が以前やったときは輝くことはなかったから、かなり惜しかったと思うぞ」
「…!そうですか…ちょっと鍛えてきます!」
そう言って壱月は支部長室を飛び出して、訓練場に走っていった、
「え?」
「おや、嬢ちゃん気がついとったのか」
壱月に用があったと思われる、少女を残して…
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