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12 昇格

 翌日、壱月は昨日の少女が伝えてくれたように、死神本部ー日本支部長室ーに来ていた。ちなみにちゃんと5分前に到着している。壱月にもしっかり組織の者としての自覚はあるようだ。


(よし、時間だ)

コンコンコン「死神〈斎藤壱月〉です。支部長、おられますか?」

「ああ、斎藤君か、入りたまえ」

「失礼します。」


扉を開け、壱月は支部長室に入る。

するとそこには、支部長ともう二人、客がいた。片方は昨日の少女だ、今日も昨日とは、また色の違う和風戦装束を着ている。もう片方は初めて見る初老の男性だった、整備服の名札部分に「機械科・木戸」と書いてある。二人をちらりと見た(結構細かく見ていたのでガン見ほどではないにしても絶対ちらりじゃないのだが…壱月は気がついていない)後、支部長と向き合う。


「支部長、お呼びでしょうか」

「うむ、斎藤君を呼んだのは、他でもない昇進のことだ」

「!!」

「ハハ、その反応期待しておったよ。」


壱月はあまり顔に出していないが、支部長からはバレバレのようだ。


「失礼しました」(何が起こるかわからないから、謝っておこう)

「構わん、構わん。若いもんは、それでいいんじゃよ。まあ取り敢えず、話を進めるぞ」

「はい!」

「まず、昇格おめでとう斎藤君。君は今回の作戦で見事〈見習い〉から〈一人前〉となった。」

「ありがとうございます」

「それでこれからの事なんじゃが、君は確か人選委員直属の執行者志望だったな」

「はい」


※人選委員・・・人類選別委員会の略称


「その事なんじゃが…」

「なんでしょう」

「実は斎藤君に、違う仕事をやってほしくてな」

「と、言いますと」

「斎藤君には、このまま殺戮者を追って、可能なら死刑を執行して欲しいのだ」

「それはッ!?」

「わしの最初で最後の頼みと思ってやってくれんか?」

「……」

「もちろん最大級の協力をする…それに君は殺戮者に親友を殺されたのだろう、"復讐出来る"と思ってやってくれんかの?」


 支部長からその言葉が発せられたとき、壱月は殺気を全力で放った。殺戮者に対してではない、支部長に対してである。

支部長は三歩程後ずさり冷や汗を大量に流している、そして昨日の少女は腰を抜かすが、木戸は一切動じなかった。壱月は支部長を失望したという眼で見ながら言う、


「支部長、」

「な、なんじゃ、さ…斎藤…君」

「俺は別に復讐がしたい訳じゃあないんですよ、」

「そ、それはすまんかった…わしの…勘違いだった…ようじゃ…この…話は無かった…事…に…」

「ですが、俺は親友と約束しましてね、」

「そ、そう…か、なんと…約…束した…のか…な」

「死ぬまで『悪・即・斬』を貫き通すと!」


ここで全力だった殺気が更に一段と強くなる!支部長はまた三歩程後ずさり顔色を悪くし、ガクガク震えている。少女の方は木戸が殺気から守っているようで被害は無さそうだ。


「理解していただけましたか?」

「あ、あ…ああ…わかった、理解したから…さっ殺気をこれ以上放たないでくれ!」

「理解してくださり、ありがとうございます」


そこでこの部屋に漂っていた殺気は霧散する。支部長はまだ震えているようだ、少女は落ち着いてきた様子だ、木戸は少女の隣にたって支部長と斎藤の会話を最後まで聞くつもりらしい。


「そ、それで、斎藤君はど、どの仕事に就きたいのかね」

「何を言ってるんですか、決まっています、殺戮者を死刑執行する″任務"に向かうんですよ。」

「へっ?」

「なにしろ支部長が、最大級の協力をすると言って下さっているのですから。」

「行ってくれる…のか?」

「はい、仕事ではなく任務としてですが」

「そ、そうか、そうか、行ってくれるか!」

「はい!」

「そりゃ、良かった、よかッ----」


支部長が気絶した…

お読みいただき誠にありがとうございます。

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