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初めての仲間と次の方針

「で、どこ行くの?」

「この先に、知り合いの店があるんだけど、この時間なら、たぶん空いてるから、そこへ行く。」


俺は、取り敢えず、知ってるライブハウスへ向かう。夜の店なので、今は、誰もいないはず。鍵は当然かかっているだろうが、ちょっと、時間軸をずらせば、俺に入れないところはない。


カギのかかっていない時間に飛んで、中に入ったら、また、元の時間に戻って、中からカギを開ければいいだけのこと。他にもいろいろやり方があるが、人と一緒に入るならこれが簡単だろう。


「君は、できたら、近くに危険な能力を持っているやつが、いないか、調べてくれない?」


「いいけど、『君』とか、私の方が、年上だよね。」


ちっ、面倒くさいな。


実は、さっき話しかけてから、もう一つ別の自分の能力を思い出した。俺は、彼女が、最近、一番信頼できる人と話していた時の、肉体時間年齢にしてみた。


案の定、急に俺に対する警戒心が解けた。最後に駄目押しで、好きな人に声をかけられた時の時間年齢にしてやったんだが、それを固定状態にはしなかった。この子は、簡単に、場に流されるタイプではなさそうだ。面倒くさくても、素のままで信頼してもらえるように、努力した方が良さそうだ。


「そうかなぁ、あんまり変わらないでしょ」

「嘘、君、まだ二十歳くらいでしょ?私の名前は、岩谷。岩谷靜保。」

「岩谷さん。俺は、三嶌(みしま)。三嶌伸二」

本当の名前とは、ちょっと違う。最近、ネットで調べると、FACEBOOKとかですぐバレるからな。


「ふ~ん、伸二くんね。」

いきなり、下の名前で、くん付けかよ。

「とにかく、岩谷さんの、能力はスゴイと思うから、危なそうな人がいたら、教えてね。」

「了解 (はぁと)」


おだてには弱そうだ。



「なんか異様な雰囲気よね」

周りをキョロキョロしながらも、彼女はついてくる

「でも暑いとかは、感じないのね」

一人で突っ込んでる

そう言えば、夏の太陽は確かに頭上にあるが、汗ばんだりするような気配がない


200mも歩くと、目的の店はある

階段を上がって2階だ


「ちょっと待ってて」

さっき説明した要領で鍵を開け、階段を降りて、声をかける


「へぇ、ライブハウスっていうから、もっと違うところ想像してた。君、渋いところ知ってるね。」


岩谷さんが、もの珍しそうに、室内を見回す


ここはグランドピアノが置いてある、大人の隠れ家的な店だ

時間は相変わらず、緩やかに逆戻しの状態


「薄暗いけど、この状態だと、電気を点けられないみたい」

「あれ?でも、ここに来るまでのお店って、電気点いてなかったっけ?」

「よくわからないけど、時間が止まる前から点いてるなら、大丈夫なんじゃないのかな」

「まぁ、それは、いいわ。で、君はどうしたいの?このまま、ゆっくり過去に戻るの?私はどうなるの?なんで私に声かけたの?」

「とにかく、座んない?」

一度に、突っ込まれても困る


この状況だと火も使えなさそうだから、お茶も飲めないな

意外と不便


「今、どうしたいかって言われると、できれば、安全にやり過ごしたいよ」

「で、この状況をどう思ってるの?」

「最初はね、身の危険を感じた。」

「今は、違うの」

「岩谷さんは、今、自分がとても危険な状況にいると思う?」

「君と二人っきりで、いること?」

おい、それなら、あなたより、コッチが危なそうだよ


俺が、微妙な顔をすると

「冗談よ、冗談。そうねぇ」

「岩谷さんのそばにいれば、本当に危険な奴ってのは分かりそうだよね。だから、たった今のことだけ言うなら、危険な状態ではないかな」


実は俺自身もさっき気がついたんだが、今の時間逆行状態は、危険感知からの自動回避でなく、自分自身でこの状態を作り出したんだった


「一応、安全そうなところまで移動したら、この時間が止まったような状態を解除しようかとは思ってるんだけど」

「要は、そこまでは、私に付き合えと」

「まぁ、いきなりアチコチ崩れてきた状況の中にいるよりは、少しは、冷静に考える時間があったでしょ?」

「そうね。で、安全なところって?」

「安全もそうなんだけど、できれば、情報が集まるところにいたいよね。ってことは…」

「テレビ局!」


先ほどのインタビュー番組を流していたテレビ局


そう、汐留テレビだ


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