本日の結論と世間様の状況
とりあえず、何らかの決着をつけないといけない
「秋鳴、一回、一緒に過去に飛んでくれるか」
「どうすれば、いいんですか」
「そういや、前に試したのは、岩谷さんとカイコとだったな、まぁ、問題はないと思うんだが、なるべく、人のいないところに行こうか」
とりあえず、葬式の時に飛んでみれば良いだろう
様子見に、まず一回、俺一人で飛んでみる
うまい具合に、井城田家の葬式の最中のようで、中庭が目立たなそうだ
ご主人らしき人もいる
そう言えば、喪服の問題をあまり追及しなかったな
兎に角、秋鳴を連れてこよう
・・・
まず、二人分の喪服を手に入れて、再度、葬式の現場へ飛んだ
「で、秋鳴、あれが、ご主人だと思うんだが、試しに、今、着ているあの喪服をマーキングできるか?」
「あっ、えっ!」
「もしかして、居ないか」
「どういうことでしょう、隊長は、最初から予想してたんですか」
「秋鳴の能力には、どう反応してるんだ」
「そもそも、あの服をターゲットに選べないんです」
「もうちょっと、近づいてみるか」
葬式スタッフのような顔をして、遺族の裏手に出る
そもそも、依頼前なので、誰とも面識はない
「ここから見て、何でも良いから、マーキングできそうなものは、あるか?」
秋鳴は、唸っている
「例えば、梨子さんか、雪絵さんのものとして、マークできそうなものはないか」
「はい、あっ、あの数珠!あれは、雪絵さんのもののようです」
「わかった、それだけでも、追っかけてみてくれ、俺は、コッソリ家の中から観察する」
正直、誰かと一緒にタイムワープしている時は、離れるのは危険なので、なかなかベストポジションが無い
挙げ句の果て、これだけマークしていたのに、いつ目線を切ったのか二人とも定かでないまま、さあ、出棺という時には、滋則氏はいなくなっていた
数珠は、出棺したあとの場所に、落ちていた
「よし、ここからは、俺の仕事だ、いったん、現在に戻るぞ」
喪服を着替えて、秋鳴には、適当に、岩谷さんとカイコをピックアップして、事務所に戻ってもらうことにした
今日は、夜は、ライブを見に行く日だ
まだ二時間は余裕がある
結論は出ている
あとは、俺の好奇心を満たすだけの活動だ
・・・
「やはり、ここにいらっしゃいましたね」
今は、しっかりとしたガードレールができているが、当時は、道を外れたなら、そのまま転落したであろう崖っ淵を走る道
そのガードレールに、井城田滋則だった人は腰掛けていた
今は、月曜日の丁度、葬式の終わった頃の時刻だ
「結局、ご自身でも、事故なのやら、薬を盛られたのやら、はたまた自殺なのやら、分からないんですね」
その人の陰は、ふっと笑ったような、頷いたような
そして、何か納得したような顔をして、薄くなっていった
能力を使った人が亡くなると、その結果がどうなるかは、定かでない
一番最初に新橋で出会った、金に埋もれて亡くなった人の場合は、比較的早く、能力を使った結果は、そもそも無かったものとなった
滋則さんを蘇らせたのは、お母さんの能力で間違いないだろうが、能力を使うには、俺みたいに、安全装置を働かせておかないと、気力や体力、言い換えれば生命力を消費するようだ
お母さんが、次の日に亡くなったのは、能力を使ったことと無関係ではないだろう
また、もともと生命力の乏しかったお母さんが使った能力は不完全だった可能性もある
いずれにせよ、滋則さんは、完全には蘇らなかったか、もしくは、能力を使ったお母さんが亡くなったから、残っていたのは、陰のようなもの、人によっては霊と呼ぶようなものだけだったなのかもしれない
秋鳴の能力には引っかからないわけだ
今日は、ちょっと疲れた
依頼人への報告は明日だ
チョッと一休みして、楽しみにしていたライブに出かけよう
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夕方の六時
今は、上野にある老舗のお店で三人でうな重
やっぱり、夏はうなぎだ
今日のライブは、今食事をしているこのお店の系列店で、一階はうなぎ屋さんなのだが、四階はライブハウスという作りになっている
なので、ライブハウス内でも、うな重が食べられる不思議なお店
ただし、ライブハウスと言っても、スタンディングでドリンクはカウンターで交換するような店ではなく、どちらかと言うとホテルのラウンジのような雰囲気のお店
これだけわくわくしているのは、北村さんの能力の影響なんだとは分かっているが、楽しみで絶対に見逃せない気にさせられてしまっている
でも、以前、聞いた時もとても素敵な歌声だったから、問題ないだろう
井城田さんの件は、正直、いい気分のものではないが、本当に彼女を告発したければ、妹さんなり誰なりチャンスはあったわけだから、明日の報告でお終いにしたい
ライブは超満員で、何より、年輩のお客さんたちが、目をキラキラさせて楽しみに待っているのが、印象的
同じ能力を使うにしても、自分の欲望を満たすことに使うだけではなく、他人を幸せにする使い方もあったんだよなぁ
「北村さんって」
岩谷さんが呟く
「元々、魅了する声を持っていて、それに人を引き寄せる能力が重なったみたい」
「ペットのトイプードルの能力も、やっぱり北村さんの能力が絡んでる?」
「後で、ワンちゃんも来るかしら、そしたら、確かめてみるね」
岩谷さんが北村さんに会うのは、今日が初めてだ
ライブが始まった
演奏は、ピアノとパーカッションだけなのに、とても素敵なアンサンブル
CMで聞いたことのある、quand,quand,quandのサンババージョンというのにハマってしまった
「私もこう言う歌い手さんを見つけて取材しないといけないんだよなぁ」
岩谷さんも楽しんだようだし、カイコは何かツボにはまったらしく、涙をこぼしてた
途中、飛び入り紹介だと言って、トイプードルのくるみ姫が突然ステージに現れて、歓声を浴びていた
「あのワンちゃん、、、北村さんとの結びつきが、とっても強いのかしら、北村さんの能力が増えたように感じるの」
岩谷さんが、興味深いことを言った
今朝、会った、冬馬君と言い、滋則さんを呼び出したお母さんと言い、能力の発現は、なんだか分からない方則がまだまだたくさんあるみたいだ
最後にカイコが
「歌は、こういう方が歌わないと駄目です」
と何か悟ったように言っていた
帰る際に、北村さんと再会を約し、幸せな気分で岩谷さんとカイコを送り届けた
北村さんとは、思わぬ形で、また再会することになる
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先週までは、電車で動く生活をしていた
車で動くようになると、何が一番違うかと言うと、電車の中吊りやら、キオスクの夕刊紙の見出しなどが、目に入らないこと
電光掲示板のニュースとかもバカにならない
そんなわけで、車移動は世事に疎くなってしまう
最近はスマホをいじりっぱなしの人も多いが、どうでもいいような知り合いや友達のつぶやきみたいなものばかり見て、何が楽しいんだろうかと思う世代としては、二次、三次ソースの多いネットの情報も、わざわざみないので、そのネオンサインが目に入った時は驚いた
《日本・インターネット遮断》
自宅にはTVを置いてないので、早寝するかもしれない秋鳴に電話を入れておく
電話は特に問題無く繋がっているようだが、やはりTVをみたり、スマホをいじらない秋鳴も、そのニュースを知らなかった
事務所に寄ると、秋鳴がテレビの前に座っていた
確かに、PCもタブレットもネットに繋がらない
TVメディアと言えども、最近は、メールはもちろん、動画ファイルをクラウドなどを通じてやり取りする時代
下手すると、編集ソフトがローカルで動かない事態もあり得る
視聴者参加型の番組はもちろん無理
ニュースが手書きフリップ満載なのは、社内LANも機能してないんだろうか
渡航禁止はついに、全ての国になったらしい
日本が孤立させられている
あと、何日持つだろう




