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探偵は不動産屋じゃありません ~私の家を探してください

今朝は、朝8時に事務所にやって来た


ワイドショーで、昨日の迷宮リポートを少し流すらしいが、自分の家でTVを見る習慣がない


『・・・お騒がせの迷宮騒動でしたが、学生の作品だったと言うことで、将来的には、各地の遊園地などで、お披露目出来るのではないかと言うことです』


映像的には、15秒位だが、ミコちゃんが挑戦しているところと、カイコが騒いでいるところが少し映った

TVはそんなもんだろう


ヤッパリ、現代日本で、迷宮とか言っても無理があるよな

死んだら自己責任ってワケにいかないし、せいぜい遊園地のアトラクションだろうなぁ

まぁ、あのリアルさなら、かなり人気は出そうだけどね


ただ、モンスターとか罠とか作りっぱなしにできないんだと無理があるが、消えちゃったのは、カイコの能力のせいかなぁ

まぁ、あまり興味ないからいいや



秋鳴は、朝からトレーニングして来たらしく、シャワーを浴びて、サッパリとした顔をしてる


こんな早くから活動する必要はないんだが、朝型になると、午前中、結構持て余す

秋鳴見習って、くそ暑くなる前に、少し走ってくるか


・・・


自宅に戻って、シャワー浴びて(くつろ)いでいると、秋鳴から電話があった


事務所に客が来ているという

まだ、10時過ぎたばかり

何でも、広告を見たそうだ

てことは、探偵事務所の客か!

そりゃ大変

広告出たの、今日発売号だったか


事務所に駆けつけると、六十代くらいの、髪をキレイにセットした上品なおば様が待ち構えていた


まだ、俺が階段を降りきるのも待たずに、

「探偵さん!家を、私の家を探して欲しいんです」

え?

うちは、不動産屋ではないんだが

まず、落ち着こうか


「分かりました、詳しい話はあちらでお聞きしますので、お座りになってお待ちください」

「シーちゃん!」

「はい!今、コーヒーお持ちします!」

そう、シーちゃんは、今日から朝10時にスタンバることになってる

すっかり忘れてたが


てことは、ミコちゃんはロフトか

秋鳴のプライベートスペースが無いと、チョッと可愛そうだなぁ


脱線してしまった


俺は、探偵事務所を不動産屋と間違えているかもしれない、おば様の話を聞くことにした


・・・・・・・


事件は、月曜日の祝日に起こった


依頼人の名は、金野成子(かねのなるこ)

数年前にご主人に先立たれ、お子さんもいないので今は悠々自適で、高級マンションに一人暮らしだそうだ


日曜日までは


実のところ、こちらには、三ヶ月ほど前に越して来たばかりだそうだ

以前住んでいた一軒家が、ようやく最近売れて、ホッと一息ついたところで、さて暑中見舞い代わりに引っ越し案内でも出そうかとしてたところらしい


最近は、郊外に一軒家を買ってあっても、歳を取ってくるとメンテナンスが大変ということで、都会のマンションに越す高齢者は多い


金野さんも、そんな中の一人だった訳だが、月曜日に買い物に出かけて帰って来ると、自分の家が分からなくなってしまったと言うのだ


まさか、自分がボケたかと思ったらしいが、まぁ、俺もそう思ったが、とにかく何が起きたのか順序立てて話してもらった


まず、自分の住んでいるはずのマンションに帰ると、オートロックの鍵が開かない

ただ暗証番号併用式なので、覚えていた暗証番号で玄関の自動ドアは開き、ホールへは入ることができたらしい


そして、エレベーターで自分の家のある階に上り、自分の家だと信じていた家の鍵を開けようとすると、ヤッパリ開かない


鍵が壊れたにしても、休日で、管理会社もすぐ電話がつながるか分からないし、鍵屋さんを呼ばないと駄目かしら?

と思いながら、まだ鍵をガチャガチャしていると、インターフォンから、

『どちら様ですか?』

と言う知らない男の人の声が聞こえて来た


「えっ?え、あのー」

と言い淀んで、フッと表札を見ると、全然知らない名前が書いてある

自分は一人暮らしで、用心もあって、表札には名前を入れていない

「すみません、部屋を間違えました」

慌ててそう言って、隣近所の家を見回したり、階を間違えたかと、エレベーターを確認したり、最後は、郵便の集合ポストも見に行ったのだが、自分の家は、あそこしか考えられないのに、ポストには鍵がかかっていて、名前もさっきの表札で見た名前になっている


頭は混乱しているし、すっかり疲れてしまっている

幸い現金数万円と、クレジットカードを持っていたので、今日は、もう何処かホテルでも宿泊して、明日、ゆっくり考えようとしたそうだ


火曜日になって、朝から、誰か友達にでも電話をして相談してみようかと思ったところで、まだ誰にも引っ越し先を伝えていなかったことを思い出した


以前、住んでいたところのご近所さんとは、通り一遍の挨拶をするくらいで、電話番号を登録しているような相手もいない

番号を登録しているような、古くからの友達には、まだ引越しを伝えてないのだ


とにかく、マンションの管理会社に電話してみると、自分名義の購入物件の登録は、どこにもないとの返事

自分の家だと思っていた所は、表札にあった名前・竄愧文章(ざんきふみあき)という人の登録となっていた

仲介の不動産屋にも連絡したが、該当の書類が無いと言われる

最後は、役所にも行ってみた

以前住んでいた住所の先が、なんと転居先不明

そんなことあるのかと思ったが、役所の人も首をかしげて、ちょっとすぐには分かりませんと言われたそうだ

途方に暮れて、とにかく、もう一泊、ホテルに泊まったそうだ


朝になって、鏡を見ると、ゲッソリした顔で、白髪は目立つし、混乱して、髪をかきむしったので、髪はボサボサ


気分転換に、朝早くからやってる、美容院に出かけたそうだ

その美容院は、引っ越してから、一度だけ行っただけの美容院だったが、美容師は、自分の顔を覚えててくれた


(自分の事を分かってくれる人がいる)


ホッとして、涙が流れてきたら、美容師が心配して、髪をセットしながら話を聞いてくれたそうだ

そして、美容師が奥から出してきたのが、顧客管理カード

そこには、しっかり、自分の家だと思っているところの住所が書かれていたのだった


そばで話を聞いていた別の美容師が、発売したばかりの女性週刊誌、定期購読なので朝一番で配達されたその週刊誌を持って来てくれた

「近所に、探偵事務所があるみたいですよ」

そう、俺が広告を出した週刊誌だった


結局、勧められるままに、美容院から、ここに駆けつけたというわけだ


ふむ、どうも、能力絡み臭い事件だ


「秋鳴、金野さんの家で、探すことはできるか?」

「いえ、彼女のイメージしているものの所有者は、不明になっていて、探せません」

なるほどな


「分かりました、そのご自宅の住所を教えてください、チョッと調べてきますので、このままお待ちください」

俺は事件の起こった月曜日へ飛んだ


・・・


金野さんは、お昼前に出かけたそうだ

帰ってきたのが19時前

言われた住所に出かけて、金野さんが出てくるくらいの時間に、影で様子を見てみる

彼女が、出かけたところで、まずポストを確認すると、ネームプレートは無く、鍵もかかっていない


彼女が確かにここの住人であることも分かったので、一時間おきに、見に来ることにした


すると、18時過ぎに、様子を見たときに、さっきまでなかったネームプレートが付いて、鍵がかかっていることが分かった

この一時間の間に、何か工作がなされたらしい


金野さんは、言ってた通り、19時過ぎに帰宅すると、鍵をガチャガチャしたあと、諦めて、暗証番号を押して、そのまま、中に入って言った


よし、状況は確認できた


鍵が使えなくなっていることが、もう一つ、納得できていないのだが、何が起きたのかは、ほぼ想像できた

もし、想像した通りなら、ぜひ、竄愧とか言う奴に、会わないといけない


奴が現れそうな時間に飛んで待つことにしよう




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