代々木迷宮攻略
さて、いよいよ本格的な迷宮攻略なわけだが、全然、胸はときめかない
この迷宮は、元々能力持ちの連中相手に、本当に魔法やらぶっ放しても大丈夫なものを考えていたらしい
さっきまでのお遊びと違い、カメラマンを含め、部屋にいる全員が危険らしい
と言ってもなぁ
リポートは後からナレーション載せればいいと、とにかくみな、ウェアラブルカメラを付けて、結局、俺ら四人と、カメラマン、TV局のアシスタントプロデューサーの6人で臨むことになった
本気なら、当然治療師のシーちゃん入れるけど、カメラ回ってるとこで、ネタバラしできない
その代わり、TV局のAPのお姉さんは、なんとカウンターマジックを使えるらしい
公安にスカウトされるぞ
能力で作られたモンスターなら、俺やカイコの能力も使えるはずなので、カイコには目立たないように能力発動の練習してもらおう
カメラマンは出亀じゃなくて、もっと真面目そうなやつだった
出亀が来ると、別の意味で十八禁を写されちまう
岩谷さんが、その前を守るように立ち塞がっているのが、様になり過ぎ
全員、いわゆるレザーアーマー、それも装着感がないほど、えらく軽く感じるものと、肘と膝を守るプロテクターを付ける
秋鳴は、武器として、木剣のような物を選択
刃渡りとしては、1m以上ありそうだが、軽そうに扱っている
プロテクターと迷彩服がはまりすぎ
岩谷さんは、手甲をつけてるから、肉弾戦でいくつもりでしょ
俺は木刀のようなものを持ってるけど、俺の剣道の腕じゃなぁ
でも、持った感じは、木刀というよりは竹刀くらいの重さだ
なんでもこの武器は、素人が振り回しても、自爆したり、同士討ちしたりせず、モンスターだけにダメージを与える親切設計とのこと
ノーマルモードでは、こちらがダメージを食らうのは、転んだりぶつかったりした場合と、モンスターの攻撃、と言っても、せいぜい人間が殴りかかる程度のダメージだけらしい
でも、マトモに食らったら、当然痛い
いざ、攻略開始
何か出た
バッ
なんか飛び散ったよ
チンパンジーみたいな下半身がピクピクしてる
カイコ吐くなよ
あっ、吐いてるのカメラマンだった
しっかりカメラ回せよ
APが怒ってる
女性は強いな
壁に貼りついちゃった上半身は、ゴブリンとか言うもんですか
秋鳴が、一振りでやっつけちゃったから、良く分かんなかったよ
モンスターの攻撃より、この辺のグロ耐性との勝負になって来た
・・・
屍を乗り越えていくのも、アレだなぁ、と思ってたが、一定時間経つと、消えるみたい
その辺は、ゲーム的なのかね
死体自体を盾にしたり、死体の山で、堀を埋めたりとか、戦争系だとあるんだが、迷宮だと鬱陶しい
一応、内装というのか、元は教室のはずだが、そんなことは微塵も感じさない岩肌の質感や、ひんやりとした空気感は、洞窟内装探検している気にはさせてくれる
次に来たのは、ゴブリン5匹だったので、殲滅にさすがに5秒はかかったが、もしかして、一匹やったのカイコか?
跡形もなく消えたのが一匹いたんだが、大丈夫かな?
モンスター製作担当まで、やっつけてないだろうな
カイコと目が合うと、小さく頷いてる
秋鳴が、最初の一閃で二匹倒しちゃったのは、相変わらず良く分からなかったが、後、二匹切ったところは見えた
カメラマンも立ち直ってたんで、ちゃんと映像が撮れたことを願おう
岩谷さんは、あんまりゴブリンには触りたくなさそうで、肉弾戦では積極的に参加してない
彼女、剣術系もマスターしてそうだがなぁ
次の部屋は、っと宝箱があるだけだ
おいおい、モンスターいないってことは、やっぱりモンスター担当やっつけちゃったんじゃないだろうな
定番の罠とかありそうなんだが、秋鳴はカイコとアイコンタクトを取るとゆっくり進んで行った
宝箱に手が届きそうな距離になって、秋鳴がバランスをを崩した、が、すぐに立て直す
カイコを見ると、何か対応したようだ
で、宝箱に触ろうとしたら、
消えちゃったよ
突然、スピーカーからでも流れるような声が響く
『すみません、罠と宝箱担当が、気絶してしまって、ちょっと待ってくれますか』
やっちまったよ
かと言って、カメラの前で、俺の能力使って罠の回避はできないしなぁ
「あのー、すみません、罠は無しで続けられますか」
『あっ、チョッと待ってください』
なにやら、”大丈夫か”みたいなこと言ってる
『それで良ければ、いけそうです』
うーむ、やっぱり、モンスター担当も何か影響あったみたいだな
次は、お約束
定番の豚人間オークが現われた
ゴブリンと違って、イキナリ突っ込んで来ない
しかし、オークってモンスター、意外と歴史ないのね
指輪物語が初出だとは思わなかった
目の前のオークは小サイズバージョンで、ゴブリンより少し大きい小学生高学年くらいの身長だ
但し、体格がいいし、ゴブリンみたいにはいかない
あぁ、そうだ
st
ちょっとカイコと打ち合わせておこう
「カイコ!」
「ふはー、またやりすぎちゃいましたか」
「それでも加減しようとはしてるんだね、いつもはどんな風に念じてるの」
「ふへー、襲われたときは、ヤメテーとか叫んじゃいましたけど、今は、成敗してあげます!って念じました」
「そうしたら、ちょっとだけ成敗してあげますって思いで、でもそれだと長いから、『チョっ!』ぐらいでできるかな」
「ふあーい、やってみます」
「そんじゃ、スタンバイしてね」
では、動かしますか
早くも、秋鳴が、一匹目に向かった
初心者向けなのか、オークは武器として棍棒すら持ってないので、迷わず突っ込んでる
ゴブリンに比べて清潔そうだからか、岩谷さんも動き出した
秋鳴の一撃
さすがに、一発じゃ無理か
胴体に三分の一ほど剣が食い込み、派手な血しぶき上げた
半歩遅れた岩谷さんが、血しぶきを嫌がる間に、二匹めのオークとの間合いが近い
おー、顔面に掌底打ちが決まったよ
秋鳴は、カカトで、蹴り飛ばし、剣を抜く
一匹仕留めた
最後の一匹は
おー、下半身が、消えた
どういう仕組みになっているか分からんが、血しぶきも飛ばない
そのまま上半身が、キレイに落ちてくる
カイコが、加減してやった結果だろう
少なくとも、本体能力者は、無事じゃなかろうか
ただ、キレイに消えた分、上半身だけで、オークがまだ蠢いてる
床から生えてるみたいで、キモチ悪い
秋鳴が、一瞬、ためらったが、脳天から真っ二つにして、とどめをさした
うわー、やっぱりなるべく、血しぶきはかかりたくない
リアルっていうか、能力で作ったとは言え、架空の生物だから一応作り物なんだろうに、この作者は何を再現しようとしたんだろうか
まんま、豚を直立させるイメージで、内臓とかデザインしてたら凄いが、能力に投げっぱなしで、作ってるんだろうなぁ
なんて、変なことに感心してる間に、岩谷さんも、蹴りを何発か決めてるようだが、オークもさすがに打撃系のダメージには、強そうだ
ふらついて反撃をしてくる余裕は無いみたいだが、とどめはさせてない
秋鳴が、どうする?って顔で岩谷さんを見ると、岩谷さんも、秋鳴に任せることにしたようだ
オークも足は完全に止まっているので、秋鳴は余裕を持って、真正面から、斬りおろした
いやー、ゲーム用に用意したんだろうが、 良い切れ味の剣だ
『すみませーん、皆さん簡単そうなので、次は魔法を使えるモンスター出しますが、大丈夫ですか?火傷くらいするかもしれないんですが』
「あっ、あたしの出番かも」
APやる気満々だな
「跡が残らないなら、タレントもOKです」
「すみません、私も武器を貸してもらえますか」
岩谷さんも肉弾戦に懲りたらしい
しかし、緊張感ないな
「じゃぁ、次に行きましょう」
APがノリノリで先頭立って行っちゃたよ
犬みたいな顔をしたのが4体現れた
コボルトのテンプレートだ
コボルトって魔法とか使ったかなぁ
まぁ、設定するのは自由だしな
何やら唱えだしたが、秋鳴と岩谷さんは、待たずに突っ込んでいく
AP、清水さんと言う名前らしい、は小柄でグレーのレディーススーツの上からプロテクターをつけている
でも膝丈のスカートで戦闘はしない方がいんじゃなかろかと、余計な心配
あっ、fireshotか?
岩谷さんが、手甲で弾き飛ばす
秋鳴、馬鹿、避けるな、俺に向かってくるだろ
目線を切ってしまったが、カイコは、火そのものを消そうとして失敗したみたいで、キャーキャー言ってる
清水さんの「カウンター!」って、チョッと裏返った様な声が聞こえる
火の玉は見えやすいし、せいぜいで時速90km/hほどの速度みたいで、最後方にいる俺の所に飛んでくるまでには、余裕でかわせた
秋鳴と岩谷さんを狙った二匹は、二発目を打つことなく、アッサリやられた
魔法でも使わなければ、ゴブリン並だからな
ただ、カイコは、チョッと犬っぽい外見に、ためらってるな
練習なんだからしっかりやっとくれ
清水さんは、最初はリキ入ってたが、楽しそうにカウンター発動中
ヤッパリ、右手を前に出すポーズするよね
魔法封じられた残り二匹は、アッサリ屠られた
清水さんが、カメラマンを確認
岩谷さんもそちらを見て頷くと
「OKでーす」
・・・
所詮、お遊びの迷宮攻略じゃ、こんなもんだったね
後は、ダラダラと編集素材用の画を撮るみたいだが、俺は、プロテクター外したら、サッサとここ出るぞ
もちろん秋鳴は、全然遊び足りなそうだったけどな
ちょっと間が空いてしまいましたが、この先のプロットもできたので、最終話まで、なんとか更新できると思います。




