代々木〇〇〇ーション学〇の迷宮騒ぎ
『本日、朝7時頃、代々木にある専門学校の正面玄関に、宿直の警備担当者が倒れているのを、引き継ぎの警備担当者が発見いたしました
目立った外傷はなく、命に別状はないとのことです
ただ異様なのは、まず、その専門学校の外観で、窓が無くなっているばかりでなく、建物全体が、一見、赤土の山のようになっていること
そして、開くのは、正面玄関の最初の自動扉だけとのこと
中に入ると、そこには
《代々木迷宮》入城料 一人千円
と書かれた看板があり、入城料を支払わないと、次のドアが開かないようにされているとのことです
学校関係者によると、金曜日の夜、職員が退出した時は、なんの異常もなかったとのこと
警察では、三連休の間に忍び込んだ、能力者の犯行とみて、建造物侵入罪などの疑いで、関係者から事情を聞いています』
『続報です
この学校の複数の学生宛に、友人を名乗る男から、スマートフォンの無料通話機能を使用し、この迷宮と詐称するものの内容がメッセージで送られていることが判明いたしました
メッセージを送られた学生の一人によると、この友人を名乗る男は、この不法に占拠されていると思われる専門学校の学生で、複数の友人と共に、学院祭用のゲームデザインをしていたとのこと
また、そのデザイン中のゲームのタイトルが《代々木迷宮》であったとのことです
現在、この友人を名乗る男、及びその複数の友人とは連絡が取れておらず、警察では事情を知っているものと、捜索を進めています』
・・・
ぶはっ、誰だよ
って、誰だか分かってんのか
代々木の専門学校って言ったらあそこだよね
妄想実現しちゃうっていうか、しちゃったのね
入場料じゃなく、入城料とか書いちゃってるし
いや、流石に、一人で迷宮は作れないと思ってたんだが、一番最初に、新橋で地震があったのなんかも、一人であの一帯の地形をなんとかしようとして、不発ったんだと思う
ただ、チームで、ゲームデザインしてたとなると話が別だ
4~5人で、上手いこと分担して能力を得てたら、可能かもしれん
ミーティング中に能力獲得してたら充分にあり得る
「迷宮!」
カイコ、お前の提案は全て却下だ
朝から元気だなと思ったが、そろそろ11時か
しかし、専門学校かぁ
あそこも商売だから、もしかしてなぁ
「隊長、私はいつでも出撃できます」
秋鳴落ち着け
どうせ、警察が封鎖してるだろ
「カイコの練習になるなら、いんだけど」
いや、何がどうなってだ、岩谷さん
「シンジくーん、私、ドラQなら」
鼎静香、君は、ミコちゃんの面倒を・・・
「ミコちゃんも行きたい」
遊園地ではない
「悪いが、俺は家で寝て来る」
付き合ってられん
女どもは、仲良くおしゃべりを始めた
・・・
そういや、探偵事務所のお知らせ出した気がするなぁ
ちょっと早まった
もう少し落ち着いてからにすれば良かったが、あの女性週刊誌の発売日いつだったかなぁ
出版も不況で、広告検討したいとか言ったら、飛びついてきた
なんか1回出してくれたら、もうひと枠半額でいい、みたいなこと言ってたが、埋まらない枠でもあったんだろう
良きに計らえにしちゃったから、最初がいつだか、良く確認してないんだよな
うとうとする間もなく、お昼どうするのか電話があった
俺は別にいい、と言ったら、それは困ると返された
用があるのは、俺の財布でしょ
昼どき、と言っても、この辺は買い物客が殆どだから関係ないんだが、13時過ぎに、どこか空いてるところで食事をすることにした
事務所に戻ると、昼のニュースを見て、また何やら騒いでいる
『・・・現在、学園経営者と、学園を占拠している学生たちとの間で、話し合いが持たれているとのことです。
学園側としては、学生の自由な発想を無下にする事なく、安全面、法的な面で、問題がなく、原状復帰可能であれば、場合によっては、このままの形で、短期間の間であれば、認める方向だとのこと
気絶状態で発見された警備担当者とは、示談が成立する見通しで、関係当局も現在静観しております。
ただ、現場周辺は野次馬でごった返しており、引き継ぎ、建物の封鎖と警備は行われております』
「ねえねえ、普通に遊園地みたいに入れるんじゃない」
「いや学園祭みたいに、入場料無料で、短期間なら、それほどうるさくはないだろうけど、無理じゃね?」
「あー、でも取材に行きたい」
岩谷さんとしては、血が騒ぐよな
学園としては、エラい宣伝になって、行って来いだろうが
「伸二くんなら、入れるよね」
「そりゃ、やってやれない事はないけど、普通に不法侵入だぞ」
「あーん、駄目元で取材申請してみようかな」
岩谷さん、あなた休職中じゃ
あっ、そうか
「あのさ、例えば、あの迷宮を作った連中が普通に今ある遊園地にスカウトされたら、一日で新しいアトラクションができるよな、しかも学園在籍の学生ということで、学園側の宣伝にもなるとか、、、」
「あっ、いけるかも、それなら、取材のみの、2~3日限定公開で、丸く収まるかも」
岩谷さんは、さっさと電話を始めた
シーちゃんはポカンと口を開けてる
カイコは、パーティとか意味不明のつぶやき
ミコちゃんは、キョロキョロ
秋鳴は
「飯にしませんか」
そうだ、そうしよう
岩谷さん一人放置も可哀想なので、中華の出前を頼むことにした
しかし、岩谷さんはサスガ現役ディレクターで、片端から電話を調べて、連絡しているようだ
チャーハン720円かぁ
消費税アップで700円が20円アップしました、って値段だなぁ
この辺じゃ、こんな値段だろうなぁ
「伸二くん、うまくいくかも!」
出前待つ間もなく、岩谷さんが声を上げる
「学園封鎖されちゃってるけど、あそこ今、投資会社とか入ってるから、そちらから根を回して、広報担当者と連絡取れたの」
現状打開のいい方策だからと、うまく丸め込んだらしい
「今、連絡待ちだけど、早ければ、今日にでも、取材許可下りるかも、カメラマンも押さえた」
「はぁ、どうぞどうぞ」
「カイコもレポーターとして連れてくね」
「もう、事務所OK取れたの?」
「マネージャーは来れないんだけど、誰か世話役いるならって、伸二くんいるから大丈夫よね」
はっ?いったい何を
「カイコから聞いたよ、伸二くん、なんか慣れてるみたいで、名刺持ってるって」
カイコも変なところを観察してやがる
少なくとも俺は、本職ではない
シーちゃんがうらやましそうな顔をしてる
ミコちゃんは、不安そうな顔をしてる
さすがに、小さい子は無理だろう
「あっ、連絡来た」
岩谷さんは、部屋の隅に行って、こそこそやってる
時々、チラチラこちらを見てる
「伸二くん、パソコン借りるよ、大至急、簡単な企画書を作らないと」
まぁ、順序から行くとそうだよな
今回はスピード勝負でもあるけど
そうこうするうちに、出前が来たのでお食事タイムだ
岩谷さんは、豪快に冷やし担々麺をながら食いしてる
パソコンのキーボードには、カバーがしてあるからいいけど
・・・
企画書
貴校在学生の方が、貴校を利用して手がけた作品の取材をお願いしたく、下記の通り、ご提案申し上げます
中略
貴校の在学生に対する寛大な処置と、その自由度のPRとなるばかりではなく、全国の遊興施設で、その在学生の作品披露をする窓口として、貴学園のご紹介が可能です
また、取材は、一両日中に可能なため、速やかな、原状復帰を行なうに当たっても、多大なるメリットがあるものと推察いたします
さらに、可能であれば、小さなお子様でも楽しめるセクションもご用意頂ければ、子どもが楽しむ様子を紹介することも可能です
・・・
なんか、でっち上げ企画書にしては、いんじゃなかろうか
強引に、ミコちゃんまで押し込もうとしてるが
岩谷さんは、そそくさと、また、あちこちにメールしたり、電話をかけてる
んー、仕事ができる女だな
秋鳴は、腹筋してる
お前、飯食った直後に、良くそんなことできるな
しばらく鍛えるのが不足してたらしいからな
はぁ、読者の期待通りになりそうで、、、




