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ミコちゃん 五歳

時間逆行状態の中、何とか踏み留まっている俺

まだ、少し目眩がする


抜刀隊と、ナイフ男たちの戦いがクライマックスを迎えているはずだった


とにかく体勢を立て直して、何が起きているのか通りを覗き込んだ


うわっ


眼下では、敵味方関係なく、ギャラリーも巻き込んで見渡す限り、全員なぎ倒されていた


いや、ただ一人、中腰ではあるが、立っている


抜刀隊の最後の一人

おそらく隊の長の女


体感では、台風に向かって歩くような風圧だったかもしれない

だが、風が吹き荒れたわけでもなく、この少しドキドキした感覚は、精神的に圧力を加えられたような、妙な落ち着きのなさ

足にも、あまり力が入らない


もしかしたら、これは威圧というやつか

これだけの人数をひれ伏させる能力


あの女が隊長なのがうなずける

歴女で、戦国シミュレーションゲームとかやってたら、手に入れてそうな能力だ


竹下通りの時は、俺の奇策に手が打てなかっただけだな


最後の敵がどこに潜んでいるのか分からなかったのだろう

無差別になぎ倒した


しかし、これだけの大きい能力を使ったら、結構、身体に来るだろうな

でも、女子高生ならともかく、二十歳過ぎてたら、あんなパフォーマンスはちょっと恥ずかしいと思うが

こないだ見た限りでは、もうちょっと行ってそうだった


今、能力喰らったから、マーキングができてるな

ホウジュタケミ・宝珠武美 って二十八歳だぁ!?

もしかしたら男子校の先生と、部活のOBとかだったりして

そう思って見ると、そんな雰囲気が漂ってる気がしてきた


どちらにしろ、いいもん見させてもらったし、安全なところまで退避して、時間を動かそう

死んでる奴はいないと思うが、結末をみる気は無い


人混みに来ると、ろくなことがないな


カイコピックアップしたら、サッサと帰ろう


・・・


そう言えば今日は、シーちゃんこと、静香さんが子供連れて来るようなこと言ってたような気もするなぁ


カイコは当然のごとく、子どもに会いたいと言うし、まずは、事務所に寄った


裏の駐車場に車が戻っているから秋鳴(ときなり)もいるみたいなので、カイコだけ降ろすと、俺は自宅マンションに、今乗っている車を置きに帰った


一応部屋まで戻り、それから、ふと、思い出して、机の上に拡げっぱなしの伝言の続きをチェックすると


:日曜日(今日のこと)

資産形成


の一言


このタイミングでか

気持ち的には、一段落したところではあるが


どちらにしろ、内容に齟齬があっても、今が少し書きかわるだけだし、俺自身が、あれやれこれやれと指示されるのが大嫌いだから、俺が俺自身に指示を出すとしたら、こんな感じだろう


自分で考えてやらないと、面白いこともつまらなくなる


しばらく現在を放置することにして、金稼ぎに、過去へ向かった


ーーーーーーーーーーーーーーー


体感時間半年ぶりに、現在時間に戻る

もちろん働きづめではないから、それなりのお楽しみ付き


探偵事務所も気になったが、結局近寄らなかった

妙なパラドックスはいやだったし、そこに関わるのはもっと先の話だろう


そう言うわけで、俺としては、久しぶりに事務所に顔を出した


事務所には、静香さんも来ているようだ

例によって、ポカンと口を空けて俺を見た


「久しぶり」

「あらあらシンジくん、そんなに私に会いたかったの、あれあれ、髪伸びた、あーん、若いとすぐ伸びちゃうのね」

しまった、昨日ぶりだった

しかし散髪適当な間隔でしてたけど、やっぱり女性はすぐ分かるな、って若いからって一日でそんなに伸びないだろう

「お子さんは?」

「今、ロフトでカイコちゃんと遊んでる」


まぁ、ロフトは秋鳴に明け渡してるから、秋鳴が良ければそれでいいんだが

だが、秋鳴、お前は、普段着からその戦闘服か


「必要な荷物は運んだの?」

「いや、ハチロク流石です、200km/h近くでますね」

馬鹿野郎、誰がクルマの性能テストしろと言った

そんなに出せる直線コースあったか?


車を買ったところのディーラーが調子の良い奴で、コレ乗るならリミッター要らないですよね、とか勝手になんかしたらしいから、本来180km位までのところ、カタログ性能で230km/hくらい出るらしい

しかし、オーナーでさえ、ウッカリ140km/h出しちゃったのが最高だぞ

中身オッサンだから、若返っても、もう無茶はしない


まぁ、秋鳴は伊達にライセンス持ちではないだろうが、次に手を打つのはこいつの身分を、少々暴走しても大丈夫なように手を打つことだよなぁ


俺が呆れた顔をしていると、カメラの位置は全部分かるし、ナンバーは写らないようにしときましたとか

おい、そういう問題か


あげくに、コレ経費で落ちますか、とガソリン代の領収書持ってきた

お前、引っ越しと関係なく乗り回してたろう

出してやるけどさ

そもそもあの車は、荷物そんなに乗らないし、引っ越し車じゃないけど

明け方まで、九十九里でもぶっ飛ばしたとかじゃないだろうな


「ミコちゃん、パパ帰って来たよ~」

おい、静香!あんたどさくさに何を言ってる


するとロフトから、カイコにしがみつかれた子どもが顔を出した

「パパオカエリナサイ」

その棒読みのセリフ、誰に言わされてる


うわ、でも、可愛い

こんな可愛い子が、俺の子の訳ない(笑)

でも、養女にするのは、心動くかも


カイコを振りほどいてハシゴをスルスル降りてきたのは、おしゃべり盛りのおしゃまな五歳児だった

カイコは恨めしそうな顔をしてる

お前、猫可愛がりし過ぎるから逃げられるんだぞ


ミコちゃんと呼ばれた子は静香さんをちらっと見ると、促されて俺の方にやって来た


「こんにちは」

俺は子どもには、ことさら丁寧に接する癖がある

「コンニチワ」

「よく出来ました」

頭を撫でてやると、ニマーと笑って「ミコねー、」とおしゃべりタイムが始まってしまった


気がつくと膝の上に座って、パソコンのお絵描きソフトをし始めてしまったところで、ようやくカイコとバトンタッチできた


ふー、子供の相手をするのは一週間に一回、30分が限界だな


静香さんは、秋鳴相手におしゃべりしていたが、ご近所でもいろいろ騒ぎがあったとかを、ほとんど一方的に喋りながら、なんだかんだ手は動かしつつ片付け物をしている


同時に秋鳴が片付けが苦手なのも良く分かった

これじゃ、物をしょっ中無くして探し回るはずだ(笑)


自分がやりますとか言っても、結局、静香さんの背後を追いて歩いてるだけ

人それぞれ、向き不向きがあって良いのだ

君は、車のメンテナンスをキッチリやってくれ


いずれにせよ、過去で色々仕込んで来たことによって、特に悪影響はなさそうだ


そうこうするうちに、岩谷さんが帰って来た

自宅じゃなく、普通にここに帰ってくるなよな


結局、一方的に休職届けだして、後輩に仕事振ったりしてたらしい

あんた、クビになってもなんとかしてもらえると思ってるだろう


17時も過ぎたし、成り行き上、二台に分乗してお食事会に行くはめになった


「パパがご馳走してくれるから、何を食べても良いのよ」

幼い子を洗脳する悪魔の囁き

俺は既に、抵抗を諦めている

静香さんは、女としてより母親としての強さの方が圧倒的なんだろう


言っとくが、ファミレス程度の所にしか、連れて行かんぞ

子どもに贅沢をさせてはいかん


カイコも子どもと戯れるのを諦めきれず、俺のファミリーカーに乗り込んだ

ハチロクは、リアシート狭いしな


特に問題も起こらず、楽しく一日が終わろうとしている


裏で、動いている奴らのことは、何もしらずに




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