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くるみ姫ともふもふ

三日目の朝になった


細かいことはあったにせよ、自分の新しい家だと言うところにいる

未来の俺が、過去に用意してくれたものだ


部屋に置いてあった伝言は、数枚の紙に書かれている様だったが、まだ全部読んでいない

行き詰まった時に読むように書いてあるし、所詮、自分が考えたことなら、予想できることも多い


大方、後のパラドックスが起きにくいよう、過去に戻ってした事が書いてあるはずだ


今日の予定だが、カイコの買い物に付き合わないといけなくなった

岩谷さんは、そもそも土日関係ない仕事だが、しばらく休職させて欲しい旨の話や手続きで事務所に行くらしい

秋鳴(ときなり)は、本格的にコチラに拠点を移すため、車を貸すことにしたら、夕べのうちに、喜んで出かけたようだ


俺の方はというと、今のマンションの地下車庫に別の車があったりする

だって、都内を走るだけなら、あんなガス喰い車じゃなく、オートマの方が流石に楽

人も荷物も乗せやすいしね


カイコは11時にピックアップすることになっている


昨夜、一番気がかりだったのは、秋鳴のマーキング能力のことだ


彼女自身、あの格闘現場までは、犯人を視認しておらず、当然マーキングした覚えもない

そもそも、秋鳴がどこに潜伏していたかと言うと、はす向かいの家の屋根の上だったらしい


って、どこのレンジャー部隊というか、お前が泥棒だよ


そこから暗視スコープで見ていたらしく、もし、奴を見つけたら、真っ先にマーキングして、それから連絡する手筈だったとのこと


しかし、秋鳴がそんなに暴走する奴なら、ちゃんと身分を確かなものにしといてやらんとマズイよね


そこは、まぁ、考えはあるが、後にして、マーキングについてだ


秋鳴が対象を捕捉したとしたら、明らかに、俺の最初の転移前だ


彼女が奴を見つけ、マーキングする

どうやら犯人のシャツをマークしたらしい

最初に後頭部が見え、その首筋から見えるシャツにしたのだろう

秋鳴と状況をシミュレートしたところ、例えばジャケットが見えても、すぐに着替えられるものだからと、自分なら両方見えていればシャツにするとのこと


それから俺に連絡


で、俺は秋鳴がマークした以前に戻って改めて秋鳴に指示を出し、彼女は移動したのだが、にもかかわらず彼女のマーキングは残ったままだった


これは、それぞれの能力同士の関係で、何か理屈に合わないことが起こるようだ


完全にはリセットされないのか・・・


身近な例では、美女木(みめき)さんのやり直し能力があるんだが、あれは俺がスルーすることにしているから、俺には分かるわけないなぁ


ただ、巻き戻しても、能力絡みのことは、何か違和感が残るのかもしれない


秋鳴も、一回、腹を抉られてたな、、、、



結論が出ないまま、東中野に到着


「ふぁー、また違うのです、今度のは、四つドアがあります」

「カイコが乗れるようにな、後ろだ」

後部座席はスモーク入りのタレント仕様だぞ

ありがたく思え


今日は元々渋谷でネールの予約を入れていたらしい

明日はイベント本番だし、他にも買い物をしたいそうだ


まぁ、このご時勢、渋谷で女子一人は危ないよな

しかし、今度からアッシーは秋鳴にしてもらおう

考えてみると、あいつ便利だな


俺が一人の世界に浸ってる間、カイコも後ろで機嫌よく自分の世界にこもってくれてるから助かる


今日は、何事もなく渋谷近くまで来れた

ちょっと遠いが、空きを見つけたパーキングに突っ込む


「食事できそうなところ、適当に見つけて」

カイコに振っておいたら、何かココロに触れたらしい


イキナリ駆け出して

「ワンちゃーん」

と奇声を発している

まぁ、帽子を目深にかぶって、眼鏡を掛けてるからいいけど


釣られて行ってみると、どうもぺット同伴可の店らしい

テラスにぺット連れの、主に女子がいる


一人、ぺットも居ないのに、手持ち無沙汰に携帯電話をいじっているお姉さんがいる

まぁ、美熟女と言っても怒られないくらいの年齢

ん?見たことあるかな


と、突然、彼女の足元にトイプードルが現れた

「くるみちゃーん」

くるみと呼ばれたトイプードルが、彼女に抱き上げられ、彼女の顔を舐め始めた

かなりカワイイ


ボーッと見てると彼女と目があった

「あなたの能力ですか?」

ぺットを呼び寄せる能力くらいあってもおかしくない

「違うの、この子、自分でママのところに来るの」

あー、ぺットバカの人か

イヤ、問題はそこではない


と考えるまもなく、くるみが俺にジャレついて、顔を舐め回しに来た

ムチャクチャ人懐っこいというか、この子可愛すぎる


「ふひゃー、私も私も」

カイコが気がついて参戦してきた

俺のことを気に入ってくれたらしいくるみが膝の上にちょこんと座り、カイコの顔を眺め、次に飼い主に許可を求めるような顔をして、それから、カイコの匂いを嗅ぎだした


「くるみちゃん、男の人が好きなのね、女の子だからしょうがないか、ママだけ特別」

まぁ、カイコはめげずに俺からくるみを引き剥がしてモフモフしている

「ふぅ、くるみちゃんって言うの、あーん気持ちよさそうに目を細めてます」

俺にはもがいてるみたいに見えるぞ


「ここ、ご一緒しても大丈夫ですか?」

店内はかなり混んでるように見える

「どうぞ、私、北村みつる、歌手なの」

あっ、そうだ、新橋のライブハウスに出てた人だ

「でね、でね、くるみちゃん凄いのよ」


・・・


北村さん自身の能力は、人集めをする能力だった

ライブの集客に苦労するらしい

歌さえ聴いてもらえれば、ファンになってくれると思うんだけど

と彼女は言っているが、俺も以前、彼女のシャンソンを聞かせてもらって、涙が零れた覚えがある

流石に若返った俺には全く見覚えがないようだ


能力を使うなら、ちゃんと少ない人数から、数を指定してした方がいいですよ

とアドバイスした

下手したら東京ドームいっぱいでは収まらないくらい客が来る可能性もあるし、能力を使った反動が充分にあり得る

「うん、でもね、出来るだけ自分でするの、最後の二、三人くらいかな、使うのは」

「そうですね、なかなか来てくれない人だけ呼びかけるとかですね」


で、ちょっと待て


「で、くるみちゃんは・・・」

「この子天才なのー」

あっ、ぺットの自慢話か

「ほら、くるみちゃんって、時計読めるでしょ」

いや、知りませんが、確かに凄いが

「それでね、この時間になったら、ママのところに来ていいよ、って言っておいたら、ちゃんと来たの」

はっ?よく分かりません

「昨日は、一日中、その練習で大変だったのよ、ほら、能力使うのって、疲れるんでしょ」

「えーっと、その能力使うのは、」

「くるみちゃんでしょ、決まってるじゃない、なんか人に聞いたら、能力使うと疲れるからちゃんと休ませなきゃだめだって、でもお家の中なら、そんな遠くへ行く訳じゃないから、大丈夫よね」


あー、整理します


このくるみというトイプードルは、間違いなく天才犬らしい

時計はアナログ時計だけだが、この針がここに来るまで、静かにしている、とか、元々できたらしい

そして、ありがちだが自分は人間と同じだと思っている


「くるみちゃんっていくつですか?」

「この夏に一歳、でも、もう大人だよね、くるみちゃん」

くるみは、カイコから逃げ出して、北村さんにジャレついていた

もちろんカイコは恨めしそう


しかし、待て

本当に、犬にも能力がついてるだと?

一歳にも満たないなら、人間なら自分を守る能力だけだが、犬は基準が違うらしい


とにかく、最初は、彼女の外出先に突然現れたらしい


飼い主だし、確かに本人(本犬?)なことは分かるが、念のため自宅で確認してもらったら、いなくなっているとのこと


仕事先で困ったらしいが、かといって、どこかに勝手にいかれても困るしと思ってる矢先にまたフッといなくなる


慌てて自宅に確認すると、今、突然ゲージの中に現れて水を飲んでるとのこと


さすがに仕事どころではなかったみたいだが、もう一度現れた時に、一生懸命、家で待っているように言いくるめたら、その後は、ゲージに戻って寝てたらしい

二往復して、かなり疲れたみたいだったとのこと


で、昨日は、一日中、しつけをしていたというわけだ


んー、でも、もしかして、飼い主の希望との共同作業の結果もするなぁ

うまくシンクロしちゃったというか、結果的に、彼女が二つの能力を持った風になってるかもしれない


そうでなければ、そこらにいるぺットの中にも、能力を持っているのがたくさんいてもおかしくない


ただ彼女がいくら呼んでも、くるみが現れることはないらしく、あくまでくるみの意思で能力を発動しているので、やはりこの犬自身の能力なんだろう


北村さんは、カイコともいつの間にか仲良くなって、頬っぺたにキスしてた

カイコの明日のイベントが湘南だと聞くと、家が近いから見に行くという

江ノ島の近くに住んでるそうだ


ってことは、くるみは、そっから飛んできたのか


くるみもママの所と、自分のゲージという限定条件があるから、安全なんだろうけど



とりあえず食事をそこで済ませて、北村さんとくるみ姫と別れた






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