過去からの伝言
俺は今、せんせーの家の一つとかいうマンションの前にいる
「あれあれ、ここで良かったはず、、、でもでも、なんか建て替わってる」
三人を放ったらかして、静佳さんに、せんせーの部屋があるというところの物件を訪ねている
しかし、目の前にある高級マンションは、なんと最新式の静脈認証だ
「はぁ、これじゃ、しょうがないね」
「でもでも、ポストにシッカリ三嶌ってプレートがあるわよ」
いったい、俺だか誰だかわからん奴は、失踪したのか、ここらにいるのかどっちだ
「ねえねえ、認証装置試したら?」
「はぁ?」
俺が認証されたらおかしいだろう
そもそも、こういったのは生体認証以外と組み合わせるもんだぜ
「ねー、シーちゃん、例えば、この携帯をここに翳すよね」
ん?なんか光ったか
「それで、それで」
「あっ、あれ? で、これは手の甲を認証するタイプだから」
最近は、非接触型で、手の甲を翳すタイプの方が安心らしい
「ホラ、開いた」
静佳さんは開いたドアから、ズンズン入って行った
「えっ、えーと、シーちゃん、不思議に思わないの?」
「あら、せんせーと少しでも付き合ったら、そんなの普通よ」
[付き合った]の所に、微妙にアクセントをおいとるな
「せんせーは、高いところ嫌いだから、二階なのよね」
確かにあなたは、俺のこと良く知ってるよ
しかし未来の俺は、どんだけ、仕込みをしてるんだ
「なんか、扉が少ないわね、一つのお部屋が広いのかしら」
201という部屋はやはり携帯と生体認証、それと4桁の暗証番号?
俺が仕込んだなら、これだろ
開いたよ
まぁ、ここまで来たら驚かないけどね
「はー、ため息が出るような、いいお部屋ねぇ、キレイだし」
まだ玄関ホールに入ったばかりなのに、これか
「あっ、私そろそろ帰るわね、娘も待ってるし、、、それに」
俺と二人っきりで部屋に入るのはまずいそうだ
それは、どうも御親切に
静佳さんは室内には踏み込まず、さっさと帰って行った
変なところで消極的だな
間違いない、俺は彼女に手を出してないや
静佳さんを一人帰して、部屋を一通りチェックする
ほとんど物は置いてないようだが、ウォーキングクローゼットに洒落たスーツ一着と、普段着になりそうなシャツとジーンズなどが一揃え入っていた
事務所の方は古い設備のままだったのに、こっちは、最新のPCやらが揃ってる
事務所は静佳さん出入りしてたからかな
テーブルの上に手紙が置いてあった
わざわざ手書きで、あきらかに俺の文字だ
・・・
ふー、そう言うこと
未来の俺からの伝言
二枚目以降は、後で、ジックリ読めと書いてある
手紙を元通りにして、俺は事務所に戻った
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事務所に戻ると、もう17時近くだった
「伸二くん、また、何コソコソやってるの」
岩谷さんがプリプリしてる
「早速、張り込みですか、自分、できれば着替えてきたいのですが」
「カイコは、このままで大丈夫です」
また、何を言ってるのかね、君たち
「さっき、よろしくお願いします、って、女の子来たわよ」
oh my god!
アンズちゃん、そんな律儀にしなくて良いのに
「い、いや、俺一人で充分だと思うぞ」
「そんな、自分、役に立ってみせます」
秋鳴、上の方から、俺をしおたれた目で見ないでおくれ
「カイコ、君は、帰りなさい」
「ふぇーん」
カイコが来たら、岩谷さんもついて来ざるを得んだろう
「何?もしかして私も着いてきて欲しい」
岩谷、ニヤニヤするな
「あんた、仕事は?」
「なんかねぇ、どうなっちゃってるのかしら、このままじゃ、ウチの会社潰れちゃうよ」
ここには転職させません
「だいたい、今晩引っかかるかどうか分からんぜ」
「自分は何晩でも張り込みできます」
あー、そうでしょうとも
往復三時間はかかるという秋鳴には、仕方無いから手伝ってもらうことにして、もうこの事務所に泊まれるよう明け渡すことにする
「あとの二人は送ってく。まぁ、食事くらいしてもいい」
「ふぇー、トッキー帰ってくるの待ちます」
カイコなんだそのポッキーみたいなのは
秋鳴が固まってるじゃないか
「だって、お昼、オニギリとサンドイッチだけだったんですよ」
あー、そうか、悪人成敗とかしてたんなら、そんなノンビリ食事をする時間は無かったか
「分かった、妥協線として、新宿20時集合で食事だ。秋鳴も、その方が楽だろ」
「はい、では、すぐに出発します」
俺の気が変わらないうちにとでも思ったのか、秋鳴はサッサと出て行った
三人は既に連絡先は交換したみたいだが、そもそもパーティ組んだらお互いの居場所は分かる
「なぁ、岩谷さんはなんか武術やってたの」
「えっ?やってたっていうか、番組で一年間、いろんな武術とか、格闘とかの取材したのよ」
「まさか、体験入門とか?」
「そうそう、全部、最初の入門編だけだけどね」
うわ、それでも、相当凄くないか
「何カ所、回ったのさ」
「4クールで48カ所だったかしら、最後の方は、けっこう、慣れてきちゃって、スカウトされたわ」
えーっと、格闘系スキルを48種類持っていると言うことで、間違いないでしょうか
「でもねぇ、一カ所にせいぜい2日くらいでしょ、全部ごっちゃになっちゃってるのよね。まぁ、攻撃主体の流派やら、防御主体の流派やらいろいろあったし、攻撃も寸止めじゃないのもたくさんあったなぁ、そうそう昔の捕縛術なんてのもあったよ、伸二君縛られてみる?」
すみません、縛る方が好きです
「ふぇー、私もみたいです」
カイコ、よけいなところで参戦するな
「馬鹿野郎、お前が縛られろ」
それなら俺もみたい
「ひゃー、変態です」
岩谷、お前も俺を狙うような目でみるな
「伸二君、ヘタレだしなぁ」
なにを!今の若い俺なら、、、いや、やっぱり岩谷さんに勝てそうな気がしない
「そうだ、秋鳴が寝れるようにしとかないとな」
逃げました
まぁ、ベッドのシーツを取り替えるくらいだけどな
秋鳴は、そんな細かいことは気にしないだろう
ベッドメイクして、ロフトから降りてくると、岩谷さんが神妙な顔をしてる
「なんかさぁ、能力者の取材みたいな企画を考えろってメール来たんだけどさぁ」
まぁ、今なら、当然そういうのだよな
「私、もう、あんまり人前に出ない方がいいと思わない? 自分の能力のこととか当然聞かれるよね」
「あぁ、そうだったな、まずいことになる可能性が高いんだよな」
「シズさん、、、雲隠れですね」
カイコが俺の顔を伺う
「確かに、最初は俺自身のことを守りたくて、二人にパーティを組んでもらうことをお願いしたんだが、君らを守ると約束したことも忘れてないよ」
いや、ちょっと忘れてた
「そうよそうよ、確かにそう言ったわ」
あんたも忘れてたね
「まぁ、とにかくこの状況が治まるまでは、なんとかすることにしよう、少なくとも、生活に困らないようにはしてあげられそうだし」
「きゃー、シズさーん、ずっと一緒にいれますね」
「カイコ、君の仕事はどうなんよ」
「ふぇー、なんか、売れっ子の人たちは、不特定多数の人が集まるところには出たくないとかで、月曜日のイベントは絶対行けというメールが来てます」
「で、この先どうしたいんだ」
それから俺たちは、カイコの身の上話を聞きながら、時間を潰した




