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中央公園の怪生物

時間逆光状態の中、三人で坂を登った辺りにある、公園の入り口を目指す


気がついたんだが、最初この逆行は、百分の一秒くらいの速度で巻き戻されている感覚だったんだが、どうも矛盾がある

それだと5分戻るのに、500分、8時間以上かかるはずだが、経験的に、30分で3分~5分くらい巻きもどっている

何かコマ落ちのようなことが起こっているみたいだが、今のところ実害はない


公園の入り口へたつと、幼児を抱えた女性とベビーカーを押した女性が、血相を変えて、こちらに突進してきているようにみえる


普段なら、たくさんの赤ん坊を連れた母親たちが大勢居たはずだが、さすがに今日は少ないのか、目に入るのはその二組


いずれにしろ、公園の中でもなにか起こっている


公園内を下へ降りる階段に向かうと、状況が把握できた


「何!」

「ひどい」


手前に、妊婦らしき女性が倒れている

しまった!

胎児には防衛能力を与えていない


よく辺りを探すと、さっきの異生物が次の獲物を探して漂っている


「こいつら何匹いるの」

「絶対許せないです」


とにかく状況検証だ


階段下に、苦悶の表情の中年のサラリーマン風男が仰向けに倒れている

やはり、腹を食い破られたような状況


更に先にあるベンチのそばに、ホームレス風の男が二人倒れている

こいつらを襲ったのが飛び出して、最初に出逢った女性に食いついたんだろうか


しかしどいつだ


「伸二君気をつけて、もっと小さいのも飛んでる」

「もしかして、最初はこんなに小さいのか?それとも」

「繁殖しているのかもしれないわね」


まだ先か


芝生の方に倒れている若いカップルらしきものが見える


「岩谷さん、あっちが怪しい」


芝生を横切っていく


「うわ、さすがに見たくないな」

近づいていくと、女性の方は内蔵があらかた食い破られているようだが、泡状の物が下腹部の辺りに盛り上がっている


「あの泡は卵かしら」

やっぱり、岩谷さんは平気のようだ


こっちが元に近いな


「ふぁ、あっちのベンチの影に変な人が見えます」

カイコが見つけた


俺の方からは死角になっていたが、まだ先のベンチにかがんだような姿勢でこちらを伺っているような男がみえた


その辺に小さいのが飛んでいるかもしれないので、闇雲に走るわけにもいかず慎重に近寄っていく


「違うわ、彼じゃない」

どうやら、純粋に隠れているだけか?


「でも待って、やっぱり彼なの? おかしいわ」

「どうした岩谷さんらしくない」

「彼の能力は、<物を変質させる能力> もし彼が原因なら、いったい何を変質させるとあの化け物になるのかしら」

「でも、あのカップルの方を見てますよねぇ」

さっきのカップルか


もう一度、さっきの倒れている二人の方へ戻る


「こいつ!」

岩谷さんが、うめいた


「伸二君、こっちの男が元凶よ、この二人はカップルなんかじゃない」

「どういうことだ?」

「この倒れている最低男の能力は<レイプした女を言いなりにする能力>よ!」


二人を観察する


女性はさっき言った状態で、見るに堪えられない


男は、よく見ると、異性物に喰われたような跡がなく、ほふく前進で逃げようとしているところのようだった

腰を抜かした状態なのかもしれない


「自分に近づくなと命令したか・・・」

「最後まで最低よ、こいつが最初に死ぬべきなのに」

「あぁ、でも」

「そう、こいつが死んでたら、能力はたぶん分からなかった・・・」


そうか。。。


「甲斐さん」

遅れてきたカイコに声をかける

「大丈夫、私のことは、カイコでいいよ。気を遣わないで」

「こいつを」

「私からもお願い、こいつだけは許せないから」

「うん。成敗しに行く」


最初に、この女性が襲われた現場を探し出す


「私も行くからね」

「行くって、どこへ」

「決まってるじゃない、事件が起きた時間よ」

「けど」

「私がいつまでも、君の能力が分からないでいると思うの?」

困ったお嬢さんだ


「あぁ、ただ、人と一緒に飛んだことはまだないんだ」

「危険なの?」

「少なくとも場所が確保されていないと、飛んだ瞬間消滅する」

「・・・」

「でも、夕べ一緒に飛びました」


あ痛っ、やっちまってた

夕べあまり考えず、現在時間に戻らなかったか?


「すまん、気がつかないうちに二人を危険な目に合わせていたかもしれない」

「伸二君!」

「とにかく、事件が起きた正確な時間と場所も分からないし、まずそいつをマーキングする。それから奴の行動を探る」

「じゃぁ、私達はどうすればいいの」

「迎えに来る。ここに居るのもなんだし、できたら、車の中に・・・」

「三嶌さん」

「えっ!?」

初めてカイコに名前を呼ばれた気がする

「私たち、神様に守られている気がしています」

「ふへ、は」

カイコの口癖が伝染(うつ)っちまった


「一緒に行きます。シズさんも一緒です。」

「だ、だからさぁ」

「伸二君!行くわよ」

参ったね


-------------------------


三人で飛ぶなら、なるべく広々とした場所、すなわち、この公園の広場から飛ぶことにした

もう、よく分からないが、俺のつじつま合わせ能力が、全部なんとかしてくれることを信じる


「なるべくくっついててね」

「シズさーん、私はシズさんにくっついてる」

「なに、私が伸二君にくっつくの! じゃぁ、遠慮無く」

おい、がばっと来るな、ジャーマンスープレックスホールドでもかけるつもりか

いや、前から来たから、ベアハッグか


「痛いよ、お姉さん」

「つべこべ言わず、さっさとやれ」

俺を締め付ける岩谷さんを更に後ろから、カイコが羽交い締め

嬉しいような嬉しくないような状態で、まずは、夕べの夜10時に飛んだ


「も、もう良いですよ」

「ん、頭を撫でるな!」

いや、マジ背骨痛いです

どんだけ怪力やねん


さすがに暗い

「ヒャッホー」上の方で奇声を上げている連中がいるようだ

騒いでいるのはいいが、坊やたち

今は、警察官はもとより、いままで大人しくしていた一般人にも能力者がたくさんいることを忘れない方がいいぜ


「とにかく明るいところに行きましょ」

岩谷さんは左手でカイコの手を握り、右手は俺の腕をつかんで歩きだす

なんか連行されているみたいだ


「岩谷さんはまだ、マップを試してないよね」

「マップ?」

俺はレイプ犯を、岩谷さんには、<物の変質能力>を持つ男をマーキングしてもらっている

「明るいところに出たら、試してみよう。高層ビルの方なら、人が少ないんじゃないかな」

夕べは金曜の夜だった

新宿辺りにいたら、ひどい騒ぎだったろう


って、いま、そこに来ちゃったよ


普段からほとんど人通りのない地下へ向かう階段をみつけ、壁に向かって地図を映し出す

岩谷さんも要領が分かったようだ


「ありがたい、奴は新宿にいる」

「こっちも新宿みたいよ」

連中には、すでに接点があったのだろうか


レイプ犯の名前はダカツヨウダ・蛇勝妖駄 31歳

岩谷さんがマークした男は郡司康介 23歳


「近いわね」

「あー、蛇勝の方は、動いてないな」

「郡司って男の方が、近づいてきてる」

「行くぞ」

青ざめているカイコも大きくうなずいた


三人で地下に降りると、向こうから楽しげに歩いてくるカップルがみえる

「彼よ、嘘、あの二人の方がカップルなの」

俺たちはカップルに背を向けて、雑談しているフリをして、通り過ぎるのを待つ


「あー、なんて乙女・・・」

岩谷さんがため息をついた

「シズさん脱力してますよ」

「<あたしだけを見ていてね>だって、くそ」

おいおい、助けないとか言い出すなよ

しかし、これで、ストーリーがみえた


あわれな奴は、きっと彼女を見続けたんだろう

それで、あそこでついに爆発したか


さて、始末をどうつける

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