三嶌探偵動く
ようやく二日目の朝になった
夕べは、都合三回呼び出しをくらった
グッスリ寝たと思って起きたら時間逆行状態
時計は、まだ午前一時頃だった
最初は福島、次が宮城
この間は、実時間で5分ほどだった
深夜になってから、思いつめての実行らしかった
最後は東京だったんだが、最初はピンと来なかったため、いつの時代に関わろうとしているのか分からず、探るのに時間がかかってしまった
20年前の時にようやく相手を見つけ、そして袴をはいた女子大生をみかけ、思い出した
知っている女性が、謝恩会へ行く地下鉄で、事件に巻き込まれたという話を
ちょうどその事件で東京が大混乱している時に、俺はこっちにいなかったので、印象が薄かった
結局、三人ともスルーした
この後も、たぶんずっと
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今日はもうTVのニュースを見て、楽しもうという気分でもなかった
夕べ、無差別に人を襲っているらしい連中に遭遇してしまったが、派手に動き回っている連中は早晩潰し合いが始まるだろうと思っている
とりあえず降りかかる火の粉だけは払うが、積極的に関わる気は無い
朝8時にメールが入ってきた
<起きたら電話して /シズホ>
とっくに起きてるが、さてどうしよう
タクシー代わりにさせられるのか
お昼ごろ、ちょうど眠くなりそうなんだがなぁ
そん時は、そん時で、過去戻って寝てきてもいいか
prrrrrr
『もしもし』
「三嶌です」
『おはよー、早いのね』
「まぁ、色々と、そっちへ行った方がいいの?」
『話も早いわね、何時ごろ来れる?
「何時でも」
『あっ、そうか、今すぐでも来れちゃうもんね。じゃぁ、10時に来てもらえる』
「了解」
二時間あるか
気が進まないが、ニュースを見るか
・・・
さすがにニュースは能力ガラミ一色だった
夕べは殺人、傷害が相当数あったらしい
しかし、半数が逆襲されてのことではないかとの見解
カイコもこの中の一人になるはずだった
指名手配者の自首もあった
絶対に逃がさないという電話がかかって来たらしい
誰が何をどう願ったのか
犯人を追い詰める方を願うか、犯罪が無かったことにするのか
実際、昨日時間干渉で呼び出されたのは思ったより少なかった
個人で過去へ戻って何かしら解決しようとするのは、さほど多くなかったのだろうか
事件そのものが無かった事にすると、そもそもニュースにもならないな
十代の子達は、制限付きにしたからか、まだ大きなニュースがなさそうだが、恐らく能力のレベルアップ始めた奴が多数
予備校や、専門学校は、閉鎖してしまった所がある
夏期講習どころではなく荒れた所があるみたいだ
大学は、とっくに夏休みだろうしな
株式市場の混乱かぁ
海外市場での日本人締め出しとかかな
俺も突然金持ちになっている口だから、人の事は言えん
上手に能力使った奴らの資産の分捕りあい
しばらく嫌なニュースばかり見そうだ
ネットはくだらん愉快犯のせいで、アチコチサーバーが落ちたり、どうやらspam業者が攻撃されてるっぽい
今までの金持ちvs貧乏人
犯罪者vs被害者
気分を変えたくて出かけることにした
・・・・
まだ八時半というところだが、お茶を飲むだけなら、空いている店もある
おや、あれはドジ娘だ
「おはよ」
「えっ、あっ、おは、おはようございます」
「ずいぶん早いね」
「なんか、早く起きすぎて、で、で、いつもギリギリで失敗しちゃうから、今日は早く来ました」
「偉いじゃん、でも失敗しなくなったんじゃない」
「はい!もう失敗しません」
「良かったね。でも、もしかしたら、一日が凄く長くなっちゃったとか」
「そうなんです、だから、学校で眠くて、帰ったらすぐ寝ちゃったんです」
「そうか、それで早起きしちゃったんだね」
「あっ、あのう。。。」
「あー、俺、そこに住んでんの。その階段上がったところにある探偵事務所」
「た、タンテイさんですか?」
「よく、お茶のみに行くでしょ」
俺の秘技(笑)<女の子に適当に話しかける>
昔から女の子が多い環境にいるんで、なぜか警戒されないで話せる
カイコみたいな子の方が珍しい
「あっ、あっごめんなさい、気がつかなくて」
「お店、もうやってるっけ」
「うちは十時からです、、、一時間以上も早く着いちゃって」
「じゃぁ、まだ誰も来てないんじゃない?」
「そうですよねぇ、時間つぶさないと」
「ちょうどいいや、俺も一時間くらい時間つぶさなきゃいけなかったんだ、でも事務所にはインスタントコーヒーしかないなぁ」
「えっ、タンテイさんの事務所に遊びに行ってもいいんですか?」
「あー、おいでおいで」
秘技<なし崩し>
・・・
「はぁ、素敵なところですねぇ」
美女木杏子は、もの珍しそうに事務所を眺める
「コーヒー飲む?」
「すみません、私コーヒー飲めなくて」
「ティーパックで良ければ紅茶も色々あるよ、アップルティーとか」
「あ!、アップルティお願いします」
時間つぶしは可愛い子とお茶に限る
「あのータンテイさん?」
「三嶌です」
「あっ、ミシマって読むんですね、私はミメキっていいます、美女に木って書くんですけど」
いや、知ってるけど(笑)
「美女木さんね。何かご相談でも。いや、冗談です」
「あの、本当に相談というか、依頼料っておいくらですか、わたし学生で、、、」
「うーん、内容によるけど、顔なじみだし、話聞いてからでいいけど、ほんとに相談事あったんだ」
「はい、一週間ほど前のことだったんですが」
夜、彼女が部屋でくつろいでいると、ベランダで物音がしたので、ふっと見上げると、男と目が合ったんだそうな
彼女自身は特に被害はなかったらしいが、お隣が洗濯物をやられたらしい
三階らしいから、なかなかチャレンジャーな犯人だ
「で、警察には?」
「お隣の方が、被害届出したらしいけど、現行犯とかでないと難しいとか」
どうも、隣は水商売の女性か何かで、あまりまともに取り合ってもらってないようだ
「えーっと、その正確な日にちと時間が分かれば、犯人は特定できると思うよ」
「ほんとですか!」
「次に、そいつがやって来たときに捕まえればいんだね」
「そうですけど、ずっと見張ったりとかできないですよね」
「まぁ、色々、やり方はあるんだけどね」
「あっ、ぜひお願いします。気持ちが悪くて」
「はぁ、じゃぁ、ちょっと協力してくれる?トラップを仕掛けるから」
「えっ、えっ、どんなことですか」
・・・
「えー、恥ずかしいです、、、それみんなに見られちゃいますよね」
「別に自分のじゃなくていいよ、お母さんのとかでも」
「そんなセンスのないものとか嫌です」
はい、トラップは、当然ベランダに下着ですね
彼女は普段、ベランダに下着を干したりしないそうだ
普通の女の子のたしなみだよな
「そしたら、ちょっと効果下がるけど、パジャマとかでもいけるかなぁ・・・」
変態は変態を知る
「はぁ、それなら、我慢してやってみます」
問題は、その泥棒が、新たに特殊能力を持っているかなんだが、その時はその時
って、何、よけいな事に、首突っ込んでんだって?
そりゃ、可愛い子が困ってたら、別腹でしょ
・・・・・・・・・
早速、事件の晩に飛ぶ
彼女の住んでる板橋は、よく知ってるから、家もすぐに分かった
はぁ、何、あそこに昇ったの
表通りからは、見えにくいところ
おそらく非常階段からだろうが、とりあえず、一部始終を拝見しましょうか
まだ、この時点じゃ美女木さんと知り合ってないから、俺が不審人物になってもいけないんだが、念のため、隠しカメラもセッティングしておきたいな
どこから現われるか分からないし、犯人にも見られたくないので、調査は、まず、確実に犯人を目視してマーキングしてからだ
確実に奴がベランダに居た時間帯で時間を止めてから、奴の姿を探しに行く
見えた
>対象者をマーキングしました。
>グマイヒソカ 愚昧暗29歳 住所 板橋区板橋2丁目・・・
近くの奴だな、中山道はさんだ向こうくらいか
まぁ、これだけでもいんだが、せっかくだから一部始終を見といてやろう
なるほど、器用だな、うまいことぶら下がって、樋伝いに逃げやがった
仕込みは終わった
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