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過去との対話

ようやく車に乗り込んだ

なぜか、今度は、おとなしくカイコも後ろの席に座った

俺自身はこのタクシースタイルの方が運転は気楽だ


「やっぱり、しばらくは、街中は危険ねぇ」

「はぅ、マネージャーさんからメール来てましたぁ、<出歩くな>の一言でしたけど」

人気タレント抱えてるプロダクションも大変そうだな

どんな奴が狙ってくるか分からん


「そういやさぁ、岩谷さんに聞きたいことがあったんだ。今日の午後のワイドショーのコメンテーターのことについてなんだけど」

「あぁ、杉尾さんでしょ」

「あっ、見てた? そうそう、彼、なんか能力持ってるの」

「あはは、あのね、たぶん<何コメントしても受ける能力>だと思う」

なるほど

そんな気苦労してたのか


「はぁ、でもいろんな人の能力がなんとなく分かるのはいいけど、覚えとくのも大変よね、なんか一覧表とかできないのかしら」

「うん、さっき、俺が言いかけたのそれなんだよね」

「あっ、伸二君はそれできるのね」

「あとで、俺の所行ってから、じっくり分析してみよう」

「そうね、今は、運転に集中してもらってた方が良さそう」

そういうと、女子二人はそれぞれ物思いにふけってる風になった

後ろでもっと騒がしくするかと思ったけど、この子たちは、ちょっとタイプが違うみたい


赤坂見附から表参道まではすんなり出た

そうそう透明人間は飛び出してこないだろう

ただ、警官の姿はあちこちで見かけた


「死んだ人って」

「えっ?」

カイコの声か

「甦らせられるのかな」

なんだか、今日聞いた声とは全然違うトーンで、カイコがしゃべり出した

「あたし、お母さん、小学生の時死んじゃってるの」

「カイコ、あなた」

「お母さんが帰ってくるようにって願えばよかったかな」

・・・

そういや、こっちから来ると一方通行だらけだ

あえて、運転に集中してみる


「ふはぁ~、でも、シズさんとパーティ組めたから良かったですぅ」

「ありがと、大好きだよ」


お芝居が始まってしまった


目の前の坂の途中に、駐車場口がある


「着いたよ」

「はぁ、裏通りなの」

「こっちは裏口だからね、車入れるから、外出てて」

シャッター開けっ放しだったなぁ

車を突っ込んで、裏口から入る

エレベーターは、基本テナント用で、通常は地下に降りないように設定してある。



「み・し・ま・た・ん・て・い・じ・む・しょ」

小学生みたいな読み方は止めて欲しい


「伸二君って、結局、何をやってるひとなの?」

いや、正直俺自身が謎です。


「わー、螺旋階段だよ」

こういう反応は悪くない


「そこに、下駄箱あるからね」

相変わらず、点けっぱなしの電灯

でも、さすがに、たまには取り替えてくれてたみたいだな

天井が高いから、蛍光灯があちこちにある。

真夏だが、半地下のせいもあって、意外にムッとするようなところは無い


「奥の応接セットで、いいかな。簡単なキッチンと冷蔵庫は、そっちね。氷くらいは、あると思う」


「探偵さんの机だ」

カイコがしきりに反応してくれてる

彼女なりのコミニュケーション術なのかな


・・・・・・・・・・


ひとしきり落ち着いたところで、俺の拡張能力について、少し説明する

「他の人からは見えないみたいね」

予想通りだが、こればかりは自分では確認できない


「岩谷さんも、一覧表みたいのが出ると便利だけどね」

「うーん、最初はどうやったの」

「例えば、カイコの能力を探ってみて、マークするとか、登録するとか、、、」

「あっ、なんか来た、<対象の能力者と、能力を登録しますか>だって」

「おー、俺の場合は、そこで、『はい』って念じた」

「ほー」

一覧表の出し方や使い方は、俺とだいたい同じみたいだ

「私はどうすればいい?」

「うーん、カイコは、難しいなぁ」

「ねぇ、悪い人とか、悪意を持っているひととか、カイコの場合は、そっちでいけないかしら」

「うーん、だとしても、ここにはいないからな」

おい、俺をそんな目でみるな


「あー、でも、さっき登録した、パーティ一覧は出るだろ」

「ふに?あっ、ここに映った」


カイコも納得したし、トイレへ行って戻って来たら、時間が止まってた


あー、しばらくは、しょっちゅうこんなことが、ありそうだぞ


さて、敵はどこだ


目の中に、何か見えるかな

そういや、昼間はまだこの使い方気づいてなかった


現在地を念じて、目の前の紙を見ると、黒点のようなものが映った

んー、これだけじゃなぁ、地図でないかな


出た、、、のか?

何だこれ、、、

屋根か


おい、縮小だ、いや、拡大? やっぱ、縮小。

もっと、もっと

こりゃ、A4サイズくらいじゃ、しんどいな

作戦会議用みたいな、ホワイトボードがあるから、それ、使おう


えーと、これは、なんとかアースのデータを流用した感じ?あそこが、原宿駅か

対象の攻撃者の場所は、っと

もっと縮小か、すでにこの時点で、東京全体なんだが


いっそのこと本州全体まで縮小だ


あった


遠い


ほのかに赤い点がある


あそこは兵庫県くらいか?


視点移してから、拡大


神戸の方かな


三ノ宮駅があそこか

三ノ宮なら、10年くらい前に行ったことがあるなぁ

それより前だと、震災前だが、いろいろと変わってるよな


震災かぁ

あまり気が乗らないが、行くしかないよなぁ


二人を置いて、とりあえず三ノ宮に飛ぶことにした


--------------------------------


三ノ宮駅の前


時間が止まったような状態だからいいが、やはり繁華街は人が多かったらしく、大通りの真ん中にテレポートしてしまった


近くまではタクシーで行くか

余計なトラブルは避けたいので、今日の早朝に戻ってから、タクシーを拾うことにした


タクシーで2kmほど走ったあたりで降りて、今度は夜に飛ぶ

時刻は、間も無く22時

さっき時間が止まった15分くらい前か


まだ若い、せいぜい30前くらいのサラリーマンが、思いつめたような顔で座り込んでいるのが見えた

少し酔っているのか、近づいて見ると顔が赤い


さりげなく彼のすぐ近くで、彼からは死角になるところまで行ってみた


泣いているのか?

頭を膝の間に埋めてしまった

間違いない、この男だ


そろそろ時間だな


「かあさん・・・」

顔を上げた彼が、ひと言呟いた


フッと、彼の姿がかき消える

さっきまで、マップにハッキリと赤く映っていた彼を指し示す点が、薄くなっていく

と同時に、俺の能力が発動した


--------


しばらく悩んだ末、俺は事務所に戻ることにした

俺のマップでは、対象者に過去にとばれてしまうと正確な日にちまでは分からないようだ


まぁ、今の状況なら考えれば分かる

おそらく1995年1月16日だろう

彼が小学生だった頃か


どんな能力を願い、本当に彼が安全に過去へ戻れ、その結果何かを成し得て、再びこちらに戻って来れるようになるのかは、知ろうとは思わなかった。


時間逆行の中、再び、目の前に現れた彼を、防衛対象者から外して、俺は事務所に転移してから時を動かした


---------


「どうしたの?やけに浮かない顔をしてるじゃん」

「うん?いや、偽善者もそれはそれで疲れるな、と」

「そろそろお開きにしようか」

「あぁ、、、なぁ、カイコ」

「ふへ?」

「お母さんに会いたいか?」

・・・

「伸二君、まさか」

「あっ、ごめんね、私、さっきよけいなこと言っちゃたね。いいのいいの。『前しか向かねぇ』なの」

トイレ借りるねっと、カイコはその場から出て行った

「伸二君、やっぱ何かあったのね」

「えーっと、帰る準備してね。11時になっちゃうよ」


前しか向かねぇ、、、か

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