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能力者 パーティを組む

俺は、岩谷さんを何らかの方法で、追跡対象として登録できないか、頭をひねっている


「何、見つめてんのよ」

「えっ、いや可愛いなとか」

ちょっとガタイいいけど


「そっ、そんなの言われ慣れてるわよ」

「ふぅ、嫌らしいです」

カイコ、お前には何も言ってない

岩谷さんをからかうのは面白いのだが、敵に回すわけにはいかない


テレビはまた、さっきの首相の会見をリピートで流し始めた

厨房のおばさんが仕事にならないとばかりに、強引にチャンネルを変えに来た

やっぱ、おばちゃん強いなぁ、少々の能力なら逆らっちゃうよ

結局、会見放送してないのは、安定の12チャンネルだけだったみたいだが


「ふはー、今日、このアニメの日だった」

お前の脳は、お子様脳か、とカイコに突っ込みたい所なんだが、今どき、こういう手合いは、普通にちまたに溢れてるんだよなぁ


なかなか集中できないが、あれこれ頭の中で試してみてると、ふっと

>イワタニシズホをパーティ登録しますか?

と出てきた。おー、なんだそれだが、それで行こう。はいだ、はい


「あのさぁ」

「ん?」

「さっきから何してんのさ」

「えっ、いや」

「なんか、今、ぞくっとしたような」

あっ、相手の承諾必要だったか

「今、頭の中にね、パーティ組みますかって浮かんでるんだけど」

「ふぁー、私もシズさんとパーティ組みたいです」

「おっ、そうだろ、じゃぁ、岩谷さん、『はい』って念じて」

岩谷さんはうさんくさそうに俺を見る

>イワタニシズホをパーティ登録しました


「じゃぁ、甲斐さんね」

>カイユイカをバーティ登録しますか?

あっ、この子、本名だったのね。取りあえず、はいだ

すかさず、カイコが

「はい!」

いや、別に大声ださんでもいいぞ

「シズさん、パーティ組めましたぁ」

ふー


「で、伸二君だっけ、今、パーティリストみたいなのが見えるんだけど、君が言ってる名前と違うよね、これ誰」

うわ、しまった

俺こそ名前を偽ってた

「いや、その、今その名前を使って無くて・・・」


「あのさぁ、ほんと信頼関係無いのに、パーティなんて組めないよ」

おっしゃる通りで

「そもそも、君の能力は、いったい何なのよ」


「お待たせしましたぁ」

おばちゃん、ナイスアシスト

「トンカツトンカツ~♪」

カイコはカイコだ

「腹減ったねぇ」


みんな、食事を始めることには同意のようで、黙々と食事を始める

こういうところは、ご飯とキャベツお替わりできるから、この若い身体にはありがたい


「ふぅ、もう、お腹いっぱいですぅ」

「カイコそんなんだから、やせっぽちなのよ。ちゃんと食べなさい」

「あーん、シズさん、残り食べていいです」

「しょうがないわね」


そんなこと言いつつ、カイコの残したトンカツに箸を伸ばす岩谷さん

その食欲がエネルギー源だよな

俺も食べたいから、ちょっとうらやましい

カイコは、当然あなたにはあげませんという顔だ

皆まで言うな

しかし、お前アイドル向いてねぇ


お腹いっぱいになったカイコがアニメの話を一人でしているのを、岩谷さんが適当に相手をしてる

あんたエライわ

「声優はやったことないの?」

「ふぇ、声優やりたいですぅ」

「何、伸二君、伝手でもあるの?」

「知ってる声優事務所はいくつかあるけど、でも、今、プロダクション入ってるんでしょ」

「なんか、やっぱり、君、色々と怪しいよね」

つい、余計なことを言った


「あっ、7時過ぎたね」

「ん~、でも待ち合わせ8時だよ」

「それにしても、今日は忙しいんじゃなかったの」

「いや、こういう状況だと、バラエティとか飛んじゃうでしょ。ほぼ一週間先送りになるのが多くてさ。

報道のお手伝いっていってもね。一応、自宅待機なんだけど、たまに早く帰れそうなときは、帰れってさ」

「そうか、それじゃ、先に、甲斐さんだけでも送っていくか」

「ふへぇ、シズさん一人じゃ危ないですぅ。私も一緒に行きますぅ」

お前が暇なだけだろ!


・・・


かわいそうなことを聞いてしまった

この夏休みのかき入れ時の三連休に、カイコは海の日のイベントが一つ入っているだけらしい

しかも、マネージャーからメール来て、こういう状況だから、中止になるかもだとか


結局、SL広場が見える喫茶店に入っている


「で、さっきの話の続きなんだけど、君はいったい何者なの」

まぁ、忘れてなかったよね

いざとなったら、全部チャラにはできるはずだから、行くとこまでいくか


「岩谷さんの言いたいことは分かる。で、その前にひとつハッキリさせておきたいのは、この状況で、一番命の危険があるのは、岩谷さんだっていうことは理解しているよね」

「脅迫するの」

「シズさん、私が守ります」


「なぁ、君は、国が全ての国民に、その能力を登録するようにと法律を定める可能性は、あると思うかい?」

「マイナンバーとかと一緒にってことよね」

「当然、政治家が率先して、登録しないと国民は納得しないよな」

「はぁ、でも国って、政治家に関しては、国家機密だとかなんとか、平気でそんなこと言いそう」

あー、そういうのもあるな

国民全登録は今は、まだ考えなくていいか


「<冷静な判断>とかは、別にいいけど<オレの話を聞け>でも、ちょっと恥ずかしいしな」

「なんか、人に言えないような能力とか持ってる人いそう・・・」

「でだ、なんにしろ、そういう偉い人たちが一番最初に確保したい人物は誰だ」

「えっ、私?」

「国だけじゃない、犯罪組織でなくとも、自分たちの能力探られたく無い奴はいくらもいるだろうし、外国の諜報機関だって」


岩谷さんはさすがに黙り込んだ


「で、君は私をどうするつもりなの」

「守る。もちろん甲斐さん、君も一緒にだよ」

「ふに?シズさん告白されたんですか」

せっかくの場面を微妙な空気にするな


「俺の能力は、危険を感じると、時間がゆるやかに逆光したようにできることともう一つ、過去の行ったことのある場所に安全に戻って、また安全に帰ってこれる能力だ」

「そんな能力、良く思いついたわね、その安全にってのがポイントなのかしら」

「俺もゲームが好きでね、テレポートしたら岩の中でパーティ全滅ってのが良くあったからさ」

「はぁ、それは。で、どうして、私を守るにつながるの」

「俺の能力は、使い方によっては非常に危険な能力だ。でも、岩谷さんと甲斐さんの二人なら止められることができるかもしれないね」

「悪いことしたら懲らしめます」

「同時に、俺の能力は人を守ってもあげられる能力だ。二人ともその能力を人に知られると身の危険があるのは分かったよね」

「そうね」

「俺のも人には知られたくない能力だ。他にも言いたいことはまだたくさんあるが、改めて三人でパーティを組みたい。話はそれからだ」


岩谷さんならきっと大丈夫

「うん、分かった」

ありがたい

即決してくれた

「カイコも守ってくれるのよね」

「もちろん。甲斐さん秘密守れるよね」


一瞬、彼女が大人の顔をした

「ふぅ、分かった。カイコって呼んでいいよ」

「は、あぁ、そう、じゃぁ、カイコよろしく」

「で、伸二君はシンジクンのままがいいの」

「うん、本名は二人だけが知っててくれればいいし、俺は伸二のままで」

「私も言いたいことはたくさんあるけど、また改めて。そろそろ時間かな」


20時15分前だ


まず、俺とカイコが駅前で様子を伺うことにした


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