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鳩首会談

ようやくマラトンの戦いの準備が進んでいます・・・作者の悪だくみも進行中です。

でもいつのまにか20万文字超えましたねー。皆さんの応援のおかげです。

感謝です。

スパルタ編もようやく終わりが見え始めました。

 スパルタに到着して、すでに4日が過ぎた。

 帰路は順調でなんの問題なくスパルタに到着できた。

 祭りの熱狂が覚めていく中で、双王、監督官エフィロイ、長老会、姫様、俺の協議は進んでいた。

議題はもちろんラオニサス祭についてだが、王と長老会の意向により、来年以降も継続を求められていた。

 開催費用の代わりにヘイロイタイを船の漕ぎ手として出すということで、その人数も年間500人で折り合いがつきそうだった。

 ただし戦闘要員は、アルゴスとの戦争、アテナイ等の他ポリスからの依頼をこなすことを考えると、人数的に派遣が難しいということで、こちらに一任されることになりそうだった。


 もともとスパルタ市民はリュクルゴスの改革の結果、総数で8000家に決められたので人口上、兵士は4000~5000人程度が上限である。

 戦争時は、これに加えメトイコイ30000人からの歩兵10000人が追加され、合計14000~15000が理論上の最大兵力である。

 普段は市民兵3600名で6師団モーラを運用して外交、治安維持を行っているので余力がほとんどなく、メトイコイの動員も戦時に限られる。

 その結果、戦闘要員についてはこちらで用意ということになった。


 もっとも陸戦しかしたことがない戦士が海戦をこなせるのか?とか機密兵器の問題もあることから、こちらとしては実は歓迎できる提案だったが……

 長老会からそれで、その海軍がスパルタ海軍と言えるのかという疑念が示され、その問題に折り合いをつけるために、話し合いが続いていた。


 (はー、長老の頭が固いのは困るわねー、寝小便した時の話してやろうかしら)

 (レイチェル、やめてね。ようやくまとまりそうなんだから)

 (わかってはいるけどさ……)


 「では監督官5人の総意として以下の提案を行う。一つ、アーシア・オレステス・アリキポスを軍司令官ポレマルクに任命する。一つ、アーシア・オレステス・アリキポスをアポロンの祭司に任命する。任期は終身」


 そこまで言うと調整役の監督官は出席メンバーの様子を確認する。

 誰も反対の様子がないのに監督官はほっとしたようだ。

 終身の役職は王のみ、長老会も60歳以上は終身だが……寿命のため20年を超えることはほぼない。

 つまり、1代限りだが王家が増えるようなものである。

 俺の寿命の件がばれていたら絶対に通らなかったろう。


 「次に祭司にまつわる権限として、寄付された物品の管理の権限と、身を守るための衛士を認める。衛士については寄付を用いて賄うことを許す。」


 この部分が、リュクルゴス制の私有財産禁止と海軍創設のための私有財産の必要性を擦り合わせてできた項目である。

 たとえ、商売で儲けても寄付された物品の管理。

 海兵・漕ぎ手の奴隷は衛士、ということで私有財産ではなく、あくまでも役職に基づく権限となった。

 そして、これでサルピズマも衛士扱いになった。


 「またラムヌースに神殿および海軍拠点を置くことを許可し、その統治官としてアーシア・オレステス・アリキポスを任命する。以上です」


 ラムヌースはマラトンの北10kmのエウボエア海峡に面した場所であり、半日もかからずエトルリアにつける。アテナイにも陸路で40km程度である。


 ラムヌースは史実だとネメシスの聖域が有名である。

 たしか、ここでアレクサンダー大王に都市を作れという啓示があったはず。

 しかしネメシスっていかにも女神って感じがする姿をしている。

 翼が背中にある女神、役割は神に対して無礼を働いた人間の軽薄や横柄を罰する 復讐の女神。


 まさにグリーク・ジャスティス!


 史実だとペルシア人が戦勝碑用に持ってきた大理石のブロックを削りだして作った女神像が有名だ。



 ということでペルシア侵攻の最前線だが……基本、船だし、マラトンも近いからいいか。


 でも、いいのかな、そんな場所を勝手にスパルタで統治して?

 レイチェルに小声で尋ねる。

 (ネメシスの聖域を守る目的なら大丈夫、娘のヘレネがスパルタ王妃だったこともあって、スパルタとは縁が深いのよ。)

 (ヘレネってあのトロイア戦争の原因の世界一の美女?)

 (ええ、彼女よ。)

 (へー、それは……なんというか……その子孫が今の王家になるのかな?)

 (系譜はつながってないわね。彼女に子供はいないわ。)

 (そっか。)


 「反対意見はないようなので、王家からは祝いとして双王クレオメネスとレオテュキダスの右足跡を模った礎石を贈ろう」

 街や神殿を作る基準の礎石、それに双王の足跡を彫り込むことは、その地にラケダイモンが上陸したという意味を象徴的に示す。


 「長老会からは大理石の柱を贈らせてもらう」

 これは神殿の建築を認めるという意味である。


 「デルフォイのアポロン神殿からはテーセウスが使っていた盾を贈ります」


 (テーセウス?なんでデルフォイに?)

 (彼の遺骸をアテナイに戻す神託があった時に奉納されたの)

 (で、なんで、今?)

 (彼の名前を使えばアテナイからの反発はなくなるわ、まあ念のためよ)


 「ありがたく承ります」


 俺は神妙な顔で贈り物を受けてはいたが、頭の中ではすでに受け取ったヘイロイタイ1000人をどう配置するかで埋まっていた。


 単純計算ならば10隻は運用できるはずだが、現状2隻である。建造中や中古を購入しても半分は余ると思っていた。

 この500人を拠点整備にまわせれば……石工は別に雇う必要があるが……

 先行の部隊はそろそろテゲアに着いたころだろうか?

 こちらも早く合流したい。


 「では、明後日の民会で提案して 7日後の民会で承認という形で進めます。王家、長老会とも準備をよろしくお願いします。」


 監督官の言葉が会議を締めくくった。


 ……まだあと1週間スパルタで足止めか。


 その間、姫様に協力してもらって各地に連絡するとして……あ、クレイステネスさんと師匠に連絡しないと。

 クトゥルフの件も聞いてみるか。


=アーシアのスキル一覧表=

汎用知識(ギリシャ地域)

一般技能(鑑定)

一般技能(知識・メイド)

一般知識(公衆衛生)

専門技能(薬学)ランクC

専門技能(馬術)ランクD

特殊技能(尋問)ランクD

特殊技能(神学)ランクF

特殊技能(神聖文字)ランクF

特殊技能(法学)ランクF

特殊技能(料理)ランクD

特殊技能(詐欺)ランクD

特殊技能(弁論)ランクF

特殊技能(取引)ランクE

特殊技能(魔術)ランクB

特殊技能(演劇)ランクC

特殊技能(服飾)ランクC

特殊技能(知識・船舶)ランクE

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