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ニャルラトホテプ

・・・星人はつきません。

デルフォイ編からの伏線回収モード・・・第2弾

アーシアの不老の原因がついに・・・

皆さんにとって超展開になってないことを祈るのみです。

 それは何気ないことが発端だった。

 メッセニアからの帰路で木の枝が髪に絡まって、取れなくなってしまった。

 面倒なので髪を切ろうとしたら、ピュロスに止められ、長いことかけて解きほぐされた。


 「だいぶ伸びましたねー、アーシア様。少し編み込みましょうか?」

 「え?」

 「このままだと、また絡まりますよ?」


 ……


 そういわれて緩い三つ編みにされていた。


 その恰好になってふと思った。


 「ねえ、レイチェル?」

 「なに?」

 「なんで不老なのに髪が伸びるの?」

 「ええ、あたしたちの不老はあくまで生命素の劣化コピーの防止だから、細胞の再生については普通に行えるからね」

 「そういえば、この身体はいつの間にそうなったの?」

 ……

 姫様は困った顔で黙ってしまった。


 「知らないの?」

 「そういうわけではないんだけど……」

 「?」

 「あのね、あくまで、悪気はなかったのよ。彼女は……」

 「彼女?」


 ……


すごく話しにくそうだったが、ようやく口を開いた。

「アレティア巫女長よ」



 「あなたが私の魔術で過去を見た後に、劇場に行ったじゃない。」

 「ああ、あの時……」


 デルフォイの座席に映った線文字B……なぜか神聖文字ヒエログリフ翻訳で読めてしまったときか……すごい昔に感じるけど……

 「あの時の儀式の目的って諸世紀を見せるのが目的じゃなくて……」

 「うん。」

 「あの黄金鏡のニャルラトホテプの力で、あなたの生命素の調整トリミングをするのが目的……」

 「は?」

 「いや、生命素の調整をして……老化しないようにするのが目的……」

 「???」

 いろいろと突っ込みたいが、まずは

 「ニャルラトホテプの力って……?」

 「え?あの文面読んだんでしょ、上下ナイルの王アメンホテプ3世……ニャルラトホテプ3世、ツタンカーメンの父王よ。」

 名前のときと同じか……翻訳が少しずれてるみたいだ。


 「ああ、……そういうことか、クトゥルフの話かと思った。」

「Cthulhu って?」

 「いや未来の創作小説で、ナラトゥースやら、ヨグ・ソトースとかいう邪神がでてくる……」

 「ナレータートート? 第6王朝初代トート王のことよね。イアフメフ・トトメスは第18王朝初代と2代の王のこと?」


  ……どうも、姫様には翻訳されて別音に聞こえるみたい。


 ってファラオの名前、あの邪神が?

 「まあ、確かにヘレネスの魔術の原点はナイルにあるけど、邪神ってなに?……」

 言われてみれば神様に正邪は存在しない時代だ。

 邪神の概念は存在しないわな。


 「ええと、生命素の調整って?」

 「黄金鏡は文字を出すほかに目に見えない光を出して、対象の人物の生命素を調整するの。その調整は前に教えた複写不全を防ぐための枝の刈入や、素の補給をうまく生かせるように全体を整えることも含まれるわ」


 電子線……もしくは……放射線、これを金属薄膜の干渉光で作り出したのか……すごいな

 その光線でDNAのトリミングを行ったということなのだろう。


 ん、とすると俺も遺伝子改造生物に知らない間にされていたってことか!


 「……怒った?」

 「……ん、まあ」

 「彼女は、あなたがビオスに戻るのを防ぎたかったのよ……これ以上、神託で巫女を失わなくてもいいように」

 「……理屈はわかるけど……」

 「怒るなら私に怒って、黄金鏡の使用許可を出したのは私だから」

 

……


 そういうレイチェルは真剣な表情だった。

 そのあと、黙ったままの俺に補足の説明を続けていた。

 それによると、体型や左右の対称性の向上があったので若干顔や身長の変化があったらしい。

 また、この生命素の調整は、姫以外はあと1例しか成功していないため、成功する確率が低く、失敗するしても体に害はないこと。

 判定は姫が魔術で見る必要があったこと。

 こまごまと教えてくれた。


 とはいえ、本人の承諾なしに人体実験のモルモットにされたほうは、納得できるものではない。

 現に子供も作れなくなっているし。


 野営の準備の時も、俺は機嫌の悪いままだった。

 空には上弦の半月が光っていた。

 「アーシア様、よろしいですか?」

 夕飯のあとピュロスとコリーダの二人がやってきた。

 「どうした、ピュロス、コリーダ」

 「レイチェル様から詳しい話を聞きました」

 「どう思う?」

 「私は奴隷ですから・・・なんとも言えません。自分に起きても受け入れるだけでしょうし」

 「ご主人様?」

 「なんだ?コリーダ」

 「アタシはご主人の物になれてうれしいけど、そのために、その儀式は必要だったの?」

 「たぶん必要だったんじゃないかな?」

 早々にビオスに戻っていれば、ここまでデルフォイ神殿と関わることは無かっただろうし奴隷を譲られることもなかっただろう。


 「じゃあ、ご主人様、アレティア様を許してもらえませんか。きっと悔いてると思うし、怒りは私が引き受けます」


 ……


 確かに巫女長のふるまいを見ると自分の大切な奴隷を供出するなど、贖罪に努めているようにも見える。


 ……


 「そうだな、必要だったんだろう。だが、断りなく人の運命を変え……」

 そう言った瞬間、頭の中にエウラリアの顔が浮かんだ。


 ……俺も同罪か。


 「わかった。納得はできないが割り切る。必要なことだったと割り切る。そうレイチェルに伝えてくれ」


 俺の言葉を聞いた二人は姫様の方に走っていった。


 はー……そうなると……あとはクトゥルフ神話か……


 なんで、そんなにファラオの名前に被るんだろう?


 一度、師匠とクレイステネスさんと相談してみるか。

=アーシアのスキル一覧表=

汎用知識(ギリシャ地域)

一般技能(鑑定)

一般技能(知識・メイド)

一般知識(公衆衛生)

専門技能(薬学)ランクC

専門技能(馬術)ランクD

特殊技能(尋問)ランクD

特殊技能(神学)ランクF

特殊技能(神聖文字)ランクF

特殊技能(法学)ランクF

特殊技能(料理)ランクD

特殊技能(詐欺)ランクD

特殊技能(弁論)ランクF

特殊技能(取引)ランクE

特殊技能(魔術)ランクB

特殊技能(演劇)ランクC

特殊技能(服飾)ランクC

特殊技能(知識・船舶)ランクE

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