表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/94

スパルタン空間

スパルタン空間とはスパルタンは2倍に強くなり、敵は2分の1の力になる、なまらスゴイ空間である・・・嘘です。


姫様はすでにあの薬の有効性に気が付いているようです。@デルフォイ用

スパルタへの帰路はエウラリアの関係もあって二手に分かれることになった。

登り道がおわりスパルタが見えた地点で、コリーダとエウラリアは北のテゲアに向かい、俺だけがスパルタに向かうことにした。


 コリーダはテゲアからさらに北上して、アルゴスを迂回しコリントスまで向かう予定である。

 たぶん1週間程度で着くと思うが、そこでアリキポス商会に話をして競技会の賞品である、小麦や木綿布を手配して戻ってくる予定にしてある。


 エウラリアはそのまま南航路のドロンの下に配属、やがては料理女中キッチンメイドになるであろうが、とりあえずは洗い場女中スカラリーメイドからはじめてもらうことになる。

 才能があれば北航路を任せたいが……過大な期待は彼女の負担になる……とりあえずの方針でいいだろう。

 若干、コリーダが不満そうだったが、サルピズマを1スート連れてくるように頼んだので、仕方ないと納得したようである。たぶん自分のスート(ダイヤ)を連れてくると思う。


 俺は一人、槍の旗を立ててスパルタに戻った。

 まずは報告である。

 ピタン地区を通り市場アゴラに向かう。


 午前十時ジムナジアのせいか訓練のしている人たちが目立つ。

 アゴラへ進んでいくと右手に訓練用の建物が見えた。

 その中で大勢が華やかな歌に合わせて踊っていた。……全員坊主頭の中学生位……全裸です。

 歌っていたのは長髪の大人たちだったが、よく見ると、その奥でも長髪の人物が踊っていた……全裸……男性……マッチョ……大人……もう感覚がマヒしてきた。


 誰も恥ずかしそうにしてないと、意外にそっちが普通になるんだな。

 あ、ヌーディストビーチと同じ現象か。


 なんか納得したところで、アゴラ手前の競技場では徒競走をする女性たちがいた……全裸で……もはや服を着てる方が間違ってる気分になってきた。


 恐るべしスパルタン空間。


 すぐ横では走る女性たちを熱心に見ている男性陣もいる。

 あの子は腰が安産型とか、あの胸なら母乳はよく出そうだとか、綺麗な髪の艶だとか、女の裸を見てるというより家畜の品評会に近いてんてなるほど……これでも進歩したのか……リュクルゴスの改革ってすごい。

 

 これがプルタルコスの書いた、スパルタの男は女性の裸体行事を見て嫁探しをしたってことか……なんだろう……恋愛って贅沢?


 アゴラにいくと見知った長老の一人がいたので、馬を降りて帰参の挨拶をする。

 今日の午後二時エレテから劇場で長老会と民会が行われるので、報告するなら出席するように言われる。

 もちろん報告させてもらう旨を返答すると、レイチェルとピュロスが泊まっている宿舎に向かった。


 「あーやっと、喋れる」

 「おかえりー」

 「おかえりなさいませ、アーシア様。コリーダは?」


 開口一番がやっと喋れるっていうのも変だが、実際そんな感じだった。

 寡黙すぎるだろラダケイモン!


 「ただいま、レイチェル、ピュロス。コリーダは訳があってテゲアに行ってもらった」

 「テゲア……なんで?」

 「まあ、最終的にはコリントスなんだが、ちょっと待ってね」


 ちょっと集中して周囲に人がいないことを確認する。


 「うん、いいね。コリーダにエウラリアっていう女の子を連れて行ってもらった」

 ピュロスの目が鋭く光った。

 「エウラリア……さん、どなたでしょうか?アーシア様」

 「エウラリアは元ヘイロイタイでメッセナでちょっと訳あって、押し付けられた」


 ……


 「アーシア様、その訳というのを聞かせていただけますか!」

 「そうだねー、アーシア。女の子ってとこが、特に気になるねー」


 二人に詰め寄られ、訳をかいつまんで話す。

 これ、これだよ。打てば響くような会話のキャッチボール。

 あー、満足。


 「ということで、民会ではコリーダは賞品を手配に行ってもらっているという話にしようと思う」


 あれ、レイチェルがすごいご機嫌斜めだ。


 「……アーシア君、ちょっといい?」

 「はい」

 「君、バカ?」


 ちょっといきなりひどくないか……


 「内服薬の配合間違うとか、正気?下手すりゃ死んでるんだよ」


 あ……返す言葉がありません。


 「今回はたまたま無事だけど……まあ、面白そうな薬だし……」


 あれ?


 「ちょっと配合よこしなさい。代わりに特訓してあげる」


 「あの、午後二時エレテから民会があるので……」


 「じゃあ、終わったら睡眠無しで、ピュロスは薬種用意しておいて、まず眠気覚ましから作るから」

 「はい、レイチェル様」

 

 あー今回は自業自得だな、しょうがないか。


 午後二時エレテに劇場で行われた長老会と民会は特に波乱もなく、無事に乗り切ることができた。


 「よって対アルゴス戦の功績を認め、アーシア・オレステス・アリキポスにラケダイモンの地位と海軍主席を命ずる。またスパルタ海軍創立に伴いガレー船の漕ぎ手としてヘイロイタイ1000名を下げ渡す。そしてデルフォイの予言者であり、軍船建造を私費で賄うことを鑑み、私有財産を特例で認める」


長老の朗々とした宣言が終了した。


「ありがとうございます。アーシア・オレステス・アリキポス、ラケダイモンの名を高めるべく精進します」


 そのあと、返礼としてアポロ神にささげる競技会を報告したら、みんな熱狂した。


 「個人競技だけでなく縦隊エノモイア単位の競技も予定しています。スパルタンの皆さんの部門の優勝賞品は小麦5タラントン(180kg)をはじめ、木綿布など多数、取り揃えてあります。ヘイロイタイの選抜競技も同時に行いますので観覧、参加どちらでも楽しめるよう取り組んでまいります。」

 劇場を歓声がつつむ。

 「開催は収穫のひと月前、今から40日後です」

 歓声がピークに達した。

 「競技規則は10日後の民会で発表します」


 「では、本日の民会は終了する」

 長老の一言でお開きになった。


 「アーシアよ、感謝するぞ。」

 「これは、レオニダス殿下、もったいないことです」

 「いや、先の競技会発表でデマラトス王の廃嫡についての不満が大分そがれたようだ」

 「そうですか、それは気が付きませんでした」

 「別に、隠さなくてもよい。アギス王家としては感謝しかない」

 「対ペルシア戦に民意を統一しなければなりませんので」

 「そうだな。そうでなくては勝てぬ」


 やっぱ、レオニダス王(仮)は貫禄あるわ。

 300の兵士と捨て駒になるのを、承知した王ってだけでも異例なんだけど……

 レオニダス殿下にあって気分が高揚した俺を迎えたのは薬臭い宿舎だった。


 ……あ


 「アーシア、待ってたわよ。今日から3日ぶっ続けでしごくからね」

 「その前にレイチェル、コリントスとかテゲアとかのアレティアに連絡つけて……」

 「終わらせておいたわ。安心して製薬に集中しなさい。眠くなったら眠気覚まし、疲れたら疲労回復薬を自分で調合して飲むのよ。ふっふっふ」


 やだ、黒いわ、レイチェル……いかんおねえ言葉に逃げたくなる。


 現実は過酷だ。

(クエスト:20種類の薬、連続配合終了・・・専門技能(薬学)ランクCに昇格します。) 



=アーシアのスキル一覧表=

汎用知識(ギリシャ地域)

一般技能(鑑定)

一般技能(知識・メイド)

一般知識(公衆衛生)

専門技能(薬学)ランクC

専門技能(馬術)ランクD

特殊技能(尋問)ランクD

特殊技能(神学)ランクF

特殊技能(神聖文字)ランクF

特殊技能(法学)ランクF

特殊技能(料理)ランクD

特殊技能(詐欺)ランクD

特殊技能(弁論)ランクF

特殊技能(取引)ランクE

特殊技能(魔術)ランクB

特殊技能(演劇)ランクC

特殊技能(服飾)ランクD

特殊技能(知識・船舶)ランクE

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ