表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/94

泉のほとりにて

まず、使った漢方は出鱈目です。真似しないでください。

もっとも、今回はアーシア君のミスですが、作成直後の時は二つしか薬効がありませんでした。熟成で化学反応が進んで出た薬効ですので・・・またやるかもしれません。

ともあれ専門技能(薬学)Dクラスだとこれくらいのことはできるようになります。もっとも効果の安定は難しいですが

同じく専門技能(乗馬)DクラスはG1レースに出れる騎手ぐらいにはなります。

 幸いにして、夜が明ける前にはネドンタス川についた。

 ここからまでくれば、ゆっくりと川沿いに上っていけばいい。

 コリーダは馬を降り、手綱を引いて道を登りはじめた。

 こっちも降りてエウラリアを乗せたまま坂を上り始める


 「あのアーシア様、奴隷の私が乗ったままは困ります」

 馬の上からエウラリアが声をかけてくる。

 「いいから気にしないで、腕を痛めているんだから仕方ない。それに今日は歩き辛いだろう?」

 その言葉に顔を真っ赤にして黙り込んだ。


 その言葉であることを思い出した。

 「なあ、コリーダ?」

 「何でしょう。ご主人様?」

 「ビオスって大人になってるのかな……?」

 「えーと……?何がでしょう?」

 予想外の質問にコリーダが混乱している。


 「いや、さっきの話で気が付いたんだけど……もしかして、この体はまだ子供かも……」

 「えーーー!」


 ビオスの時の記憶がない。このため、この体に第2次性徴が来ているかは知らないわけだが、15才だし終わってるんだろうと思っていた。

 でも、改めて考えてみると、神託以前のビオスは高い声だった。つまり声変わりしてない可能性がある。

声が低くなったのはどうも東山のせいらしいし。


 そう思い始めると、髭をそったことがない。

 というか全身のうぶ毛が薄い方(下半身も無毛)


 筋肉は細マッチョだが……スパルタなので……


 子供の時の栄養状態は最悪……スパルタなので……よって成長が遅れていてもおかしくない。


 「ピュロスやコリーダと一緒に寝ていても、朝、困んなかったし、気分が一杯一杯のせいだと思ってたんだけど……」

 「子種の方はどうでしょうか?」

 「うーん、少なくても夢精はないな」


 ……


 「まあ、大きな問題ではないんだが」


 とり合えず強引にそう話をまとめた。


 「スパルタに戻ったら父親のプトレキスに聞いてから考えよう」


 「はい、わかりました。お手伝いできることがあれば、なんなりと申しつけください」


 いや、その返事まずいって、コリーダ。


 わかって言ってるんだろうけど、エウラリアもいるんだからね。


 「とりあえず近くの水場に着いたら、食事にしよう」


 やがてラオニサス・エイジスの麓で湧水が泉になっている場所を見つけた。

 時間的には午前十一時ニンフェくらいだと思う。


 ここで朝食兼昼食をとることにして休憩することにした。

 コリーダがあたりの枯れ枝を手早く集めて、火を起こす。

 生木が多いせいで白い煙が立つが……まあ、メッセナから歩くと、ほぼ一日の距離だ。

 問題ないだろう。


 コリーダが携行食を調理している間に、エウラリアの腕の布を外す。


 ……


 「コリーダ。」


 俺の呼び掛ける声にコリーダが料理の手を止めやってくる。


 「何でしょうか、ご主人様?」

 「……みてくれ」

 そういってエウラリアの腕を見せる。


 「! ありえません!」

 「だよなー」


 エウラリアの腕は完治まではいかないが、すでに薄皮が張ってピンク色の太い線になっていた。


 「ご主人様の薬でしょうか?」

 「そこまで薬功の高いものではないと思うが……」

 (……あの傷なら全治1か月とみていたんだが)

 まるで、魔術を見てるようである。


 (試してみるか……)


 周囲に感覚を広げ小動物を探す。

 狐がひっかかった。


 「コリーダ。あっちに狐がいる」

 「わかりました」

 そういうとコリーダは投げ槍と紐を持った。

 「とどめは刺すな。薬を試す」

 「はい」


 横で何が起きているのか、目を白黒させるエウラリアの頭を撫でると、

 「腕の傷はふさがっている。痛みはどうだ?」

 「腕の中の方がしびれる感じで時々痛いです」

 「わかった」

 念のため添え木をして布を巻くと、昨日飲ませた丸薬を、もう一度飲ませる。


 「ご主人様、捕まえてきました」

 診察が終わるころにはコリーダが狐を捕まえてきた。

 見事に後ろ脚を投げ槍で貫いてある。



 「ありがとう。ここに置いて」

 口と両足を縛られた狐を泉の傍に置き、傷の付近の毛を刈り取り、水で汚れを洗い流す。

 そして傷口に薬を塗った……変化はない。

 少し待ったが、特に変化はなさそうだ。

 やっぱり薬じゃないのかな?


 コリーダが覗き込んできた。

 「変化ありませんねー」

 「みたいだな……だとすると何だろう?」

 「……そういえばもう一つ薬、飲ませてましたよね。あれって?」

 「鎮痛剤のことか……まあ可能性は低いが……」


 こっちは試す方法が……飲むしかないか。

 「今の狩りで擦り傷ができたので……私が飲みます」

 「わかった」

 コリーダに丸薬を渡す。

 彼女が丸薬を水で飲みほして10分……擦り傷がかさぶたができる前に治癒していた。


 「え?」

 「なんでしょう。この薬?すごく楽になるんですけど、若干疲労が……あと少し胸もつまるような……」

 「なに!」


 「いえ、大きな異常ではないです。気をつけていたのでわかった程度です」


 もう一度、丸薬を製造から思い直してみる。ミスったか?


 マショラムをベースにセージ、タラゴンをつぶして小麦粉に吸わせて葛根湯と一緒に混ぜて練り上げて…きな粉…小麦粉じゃなくて……きな粉?薬用黄粉(Flemingia vestita)?


 あ、やっちゃったかも。


 きな粉か。それでかなー?普通なさそうだが。


 丸薬をしげしげとみる。


 <鑑定・薬学>

 中・消炎鎮痛剤、弱・精神安定剤、強・経口避妊薬 強・細胞賦活剤 


 ……は?

 ……あれ?

 ……植物性エストロゲンのかたまり……みたい……なんで?


 そうか!この時代の薬草って、全部原種なのか!薬効が強くてもおかしくない。


 この薬効は女性ホルモン使用タイプのピルと大差ない。

 まずい。エウラリアに初潮が来たのって……


 「どうかしましたか、ご主人様?」

 冷や汗をだらだら流している俺をみて不安だったんだろう。コリーダが聞いてきた。


 「いや、なんでもない。すごい薬ができてしまったと思ってな」

 「そうですね、魔術といい、隠すことが多い大変なご主人様です」


 にこやかに笑ってくれるコリーダよ。申し訳ない……


 薬は使う前によく確認しよう、うん。

=アーシアのスキル一覧表=

汎用知識(ギリシャ地域)

一般技能(鑑定)

一般技能(知識・メイド)

一般知識(公衆衛生)

専門技能(薬学)ランクD

専門技能(馬術)ランクD

特殊技能(尋問)ランクD

特殊技能(神学)ランクF

特殊技能(神聖文字)ランクF

特殊技能(法学)ランクF

特殊技能(料理)ランクD

特殊技能(詐欺)ランクD

特殊技能(弁論)ランクF

特殊技能(取引)ランクE

特殊技能(魔術)ランクB

特殊技能(演劇)ランクC

特殊技能(服飾)ランクD

特殊技能(知識・船舶)ランクE

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ