エウラリア
さて瞳の色です。
ヘイロイタイだとたぶん茶かヘーゼルが主体になっていると思いますが、エウラリアの目の色はアンバー(狼の目)、グレー(アテナのグレー)の案もあったんですが、まあ無難にヘーゼルからの変色のグリーンになりました。
ただ髪の毛が・・・現代って染色のせいでカラフルすぎる髪の毛の時代なんですねー。基本4色をかき分けないときついです。
まだ日が昇る前の真暗闇な中、突然コリーダが音もなく跳ね起きた。
背中に寒気が襲ってきたおかげで、俺の目も覚める。
(……ご主人、剣)
小声でコリーダが呟くので、持っていた剣を渡す。
周囲に感覚を広げると、家の入り口に10数人が集まっていた。
(敵襲か?)
(ううん、敵意は感じないけど……)
(こんな朝早く何だろう?)
二人で小声で相談していると集団から一人の人物が離れ、我々の部屋に近づいてきた。
「失礼します、コイヌスです。朝早く申し訳ありませんが相談があります。起きていただけますか」
彼の声は緊張してはいるが、決意に満ちたものだった。
「門前の人々は誰だ!」
こちらからカードを切ったが、たぶん大丈夫だろう。
「お気づきでしたか、昨日、手当を受けた娘とその親族です」
そう言われ探ってみると、確かに何人か子供の感じがする。
コリーダを見ると彼女も頷いた。
「わかった。今行く」
彼の言葉に嘘はなかった。
そこには昨日の少女の家族らしい、老人、大人、子供が集まっていた。
「誠にぶしつけなお願いですが、彼女をもらってもらえないでしょうか」
彼女、誰?
「昨日、腕を切られた娘ですが、ショックで初潮が来てしまいました」
「それがなにか?」
「奴隷の成人は男は精通、女は初潮です」
「ああ、それは知っている」
彼女は今日から大人の仕事をしなくてはなりません」
ああ!
「しかし、仕事ができる状況でない上に、腕も、もとにもどるか、わからない深い傷です。おそらくクリプテイアに潰されます」
……
「そこでクリプテイアには昨日の傷で死んだと報告しますので、お連れ願えないかと……」
彼のまなざしは真剣なものだった。
「誠にご面倒をかけ申し訳ないのですが、最後まで頼らせていただくしか方法がないのです」
まてよ!
「わかったが、ただで協力するわけにはいかないぞ」
「……それは」
「交換条件がある。それをやるなら、請け合おう」
コイヌスの目が怪しく光った。……よしこいつは使える。
「条件次第ですな。村全体を危険に陥れるわけにはいきませんので」
「そんな危険なことはない……」
今春に運動競技がメッセニアで開かれる予定であること。
競技の目的は頑健な体を持つ者1000名を選び出し、ガレー船の漕ぎ手にすること。
その1000名はヘイロイタイの身分を捨て、アポロン教皇の個人所有の奴隷になること。
ここでコイヌスが愕然とした。
「スパルタが1000人ものヘロットを譲ったのですか!」
「ああ、アルゴスとの戦闘で苦戦していたのを、私兵で支援して勝たせた礼だ」
「く、なんでスパルタに、そんなことを!」
「神託だ」
「……いたしかたありませんな。納得しましょう」
「ただ神託には続きがある」
やがてペルシアとの戦争がやってくる。その戦争は海戦できまる。
アテナイが主力になるが、スパルタの船は俺が出す。
そして海戦に勝ち、生き延びたガレー船の漕ぎ手は解放奴隷になる。
「……解放奴隷ですか?」
「そうだ、デルフォイのアポロン神殿の巫女として断言しよう。生き延びれば彼らは解放奴隷になる」
「なぜ、そのような夢の話をなさるのですか」
コイヌスの顔は半分泣き顔である。
「それが、ヘレネスがペルシアに勝つ方法であり、参加したヘイロイタイへの報酬だからだよ」
聞いた話を信じきれないようなので続けて話す。
「交換条件は、お前にこの話をヘイロイタイに広めてもらうことだ。スパルタには解放奴隷の話はしてない。それを言ったら、たぶん断られていただろうからな」
その言葉を聞いてコイヌスがこっちを見つめた。
「スパルタの策略だと勘違いされると、こっちが困る。ヘレネスをペルシアの属国にしたくはない。だから手伝え、生き延びろ、報酬は奴隷からの解放だ」
「わかりました。受けましょう」
コイヌスとの相談が終了したのち、まだ暗い中を少女を馬に乗せてスパルタを目指すことにした。
彼女の服は予備のキトン(コリーダ仕様)があるので、それに着替えてもらった。
まだ10才程度の外観であるが、申告は11才である……これで大人か……どっちにしろアウトだろう……
明るめの栗毛の髪をおかっぱみたいにぱっつんと切ってある。
身長は130cmぐらい、体はかなり痩せている。24~5kgだと思う。
瞳は綺麗なグリーン、ちょっとびっくり。ヘーゼルじゃないんだ。
肌は日焼けしているが、もともとは白いほうだと思う。
「名前は?」
「まだ、ありません。家ではコリーナと呼ばれてました。」
幼名が乙女か。
「ではエウラリア(良い知らせの意)と名付けよう。」
それを聞いて、エウラリアの家族だけでなくコイヌスも泣いている……
彼女の父親らしい男性が前に出てエウラリアに話しかける。
「エウラリア、アーシア様にしっかりとお仕えしてくれ。ヘイロイタイのエウラリアなのだから」
「はい、命に代えて!」
なんか気恥ずかしい……
「では、また近く開かれる競技会で会おう。コリーダ急ぐぞ」
「はい!」
こちらはエウラリアを前に乗せ、抱き抱えるようにした二人乗りで、コリーダはいつもの旗付きの槍を手に、ネドンタス川を目指し薄暗い中、馬を走らせた。
=アーシアのスキル一覧表=
汎用知識(ギリシャ地域)
一般技能(鑑定)
一般技能(知識・メイド)
一般知識(公衆衛生)
専門技能(薬学)ランクD
専門技能(馬術)ランクD
特殊技能(尋問)ランクD
特殊技能(神学)ランクF
特殊技能(神聖文字)ランクF
特殊技能(法学)ランクF
特殊技能(料理)ランクD
特殊技能(詐欺)ランクD
特殊技能(弁論)ランクF
特殊技能(取引)ランクE
特殊技能(魔術)ランクB
特殊技能(演劇)ランクC
特殊技能(服飾)ランクD
特殊技能(知識・船舶)ランクE




